195.何があったのか
「分かったのならいいよ。……とりあえず相手を知るためにユアが覚えている範囲でどんな人がいたのか孤児院でどんなことがあったのかを教えて欲しい」
「分かったの。……」
ユアはそう言うと私と別れた後どんなことがあったのかを話し始めた。
ユアの話を聞いてそれをなるべく簡単に言うとユアはルミアと会ったけど、会話の切り出し方に困ってまだ話をしていないみたい。そんな時に孤児院に誰かが来てルミアが様子を見に行ってしばらくするとルミアの悲鳴が聞こて急いで様子を見に行くと、ルミアが男に捕まって担がれていたとのこと。それから男と戦っていると背後から別の人物に刺され意識を失って、目を覚ましたら今いる部屋にいたそうだ。すると男がやって来てその時に縄で縛られていた院長先生と会ったらしい。男は私と院長先生が知り合いだと知ると院長先生を剣で殴ってから胴体を真っ二つに切ったらしい。それからのことはほとんど覚えていないらしく背中を刺されたところまでは覚えているけどその後、意識を失って目を覚ましたら私が居たらしい。
「なるほど。そんなことがあったのね……」
「うん……」
……ユアの出来事については何とも言えない気持ちになるけど、とりあえずユアが会ったと言う男の人は2人。1人は先程亡くなったから後はシャフナーだけだけど、本当にその人以外いないのかは分からないのよね……。でも、ユアの血痕の後を追った時の2人の男の人のことも少し気になるけど……。
「とりあえず、どんな人と会ったのかは分かったからルミアがいるかもしれない所に早く行こうか?」
「うん!」
「多分だけど拠点には1人しかいないと思うけど、もしかしたら他にもたくさんの人が出て来るかもしれないからそのことも考えて行動してね?」
「分かった。……!?」
ユアはそう言うと扉に視線を向けようとしたとき壁際で倒れている男の人を見て吃驚したようだが男の人の方へ向かって歩き出した。私はそんなユアの後について行くとユアは男の前で立ち止まり男の人の首に触れた。
「……これはレーナちゃんがやったの?」
「まぁ、そうだけど」
「そ、そうなんだ……。レーナちゃんにこんなことをさせてごめんね?」
もしかして私が男の人を殺したとか勘違いをして謝っているのかな?
「……私はこの男の人殺していないよ?」
「……え?」
そういうとユアは驚いたように私の方を見て来た。やっぱり勘違いしていたのか……。とそんなことを思いながら何があったのかを説明することにした。
「まぁ、この男の人の怪我は私がやったものだけど、男の人が死んだ理由は同じ組織の人に殺された。と言った方が正しいかな?」
「それって?」
「この男の人は組織の奴隷だったみたい。それで依頼を失敗したから殺された感じかな?」
「そ、そうなんだ……」
ユアはそんなことを言いながら暫くの間その男性を見ていた。
「……レーナちゃん、ルミアがいると思う所に案内して欲しい」
「分かった。それじゃあ、行こうか?」
そう言ってユアに短剣を渡した。するとユアは驚いた顔をして私の方を見てお礼を言ながらその短剣を受け取った。
「ありがとう」
それから部屋を出てシャフナーが入っていた地下へ続いている場所へと向かった。




