183.ヘルガさんとのお話
そして東門に着くと近くにいた門兵の人に声を掛ける。
「すいません、ヘルガさんはいますか?」
「ん? 何だ嬢ちゃん? 隊長に何の用だ?」
と私が声を掛けた門兵の人は明らかに私のことを怪しんでいた。この前ヘルガさんが調べると言ったことがどうなったか聞きたいだけなんだけどこの状態じゃ聞けそうもないかも……。どうしょう…。そんなことを考えていたら後ろから声が掛けられた。
「どうしたんだ?」
この声はヘルガさん? そう思い後ろを向くとそこにはヘルガさんが立っていた。
「隊長」
「ヘルガさん」
「何かあったのか?」
そう言いながら私達を見たので聞きたかったことを聞こうとした。
「えっと「たいしたことはありません。隊長はお気になさらずに」」
私がヘルガさんに何かを話そうとしたら門兵の人に話を遮られた。思わずムッとしたがその男の人は気にしていないかのようにヘルガさんを見ていた。
「そうか……。じゃあ他の仕事もあるから」
ヘルガそうはそう言ってその場を去ろうとしたので私は咄嗟に聞きたいことを尋ねた。
「西門の件はどうなりましたか!?」
私がそう言うとヘルガさんが歩みを止めて私の方に向かって歩いて来た。
「……レーナの嬢ちゃんか?」
「え、ええ」
ヘルガさんが私の名前を覚えていることに少し驚きながら頷いた。
「隊長?」
門兵の男性は不思議そうに私とヘルガさんに視線を彷徨わせていた。まぁ、私とヘルガさんが知り合いであったことに驚いているんだろうけど……。
「(ここじゃあ、ちょっとあれだから付いて来い)」
そう言われてヘルガさんの後をついて行った。
それから道中他の門兵の人に何やら話してから詰め所にある部屋に通されて、しばらくすると2人の衛兵が部屋にやって来た。
「隊長。どのような用件でしょうか」
「この前話した件について少し話すこの部屋には誰も通さないようにしてくれ」
「「わかりました」」
そう言うと2人の門兵さんは部屋を出た。そして私はヘルガさんと向き合うと話を時始めてくれた。
「とりあえず、レーナの嬢ちゃんに感謝をしたい。西門の件を教えてくれてありがとう」
そう言ってヘルガさんが頭を下げた。
「そ、そこまでして頂かなくても……」
「いや、レーナの嬢ちゃんが教えてくれなければ規則通りに仕事をしていないことが分からなかった。それに、それ以外にも分かったことがある」
「それ以外に分かったことって?」
それ以外のことって何にかな? もしかして誘拐とかもその括りで入っていないか気になったので
「流石にそのことは言えない。一応、それ以前に言ったことを広めないようにして欲しい」
「……わかりました。それと聞きたいことがあるけど街とかで誘拐事件とか起こっていますか?」
「一応、報告では数件あるが犯人は分かっていない。報告にあったここ数日で誘拐されたのは子供だったから嬢ちゃんも気を付けろよ?」
「は、はい……」
もしかしたらフローラに繋がる情報が何か掴めるかも? と思って来たけどその事件が起こったのは最近だった為たいして情報が無いみたい……。どうやってフローラのことを探そうか考えながらヘルガさんと少し話をしてから別れた。とりあえずユアと合流しようと思って孤児院へと向かった。
それから孤児院に向かって歩いていると孤児院の近くで、孤児院がある方向からどこかに向かって血痕が続いていた。
 




