178.説得2
私がそう言ったらユアは俯いたまま顔が赤くなっているのが見えた。
「ユア」
私はユアの名前を優しく呼びかけるとユアはゆっくりと顔を上げた。
「ユアはルミアに拒絶されることを凄く恐れているけど反対にルミアはユアにしたことをどう思っているのかな?」
「そ、それは……」
と言いながらルミアのことを考えているのか困ったような表情をしていた。まぁ、私は実際にルミアから聞いて来たから分かるけど、ユアから聞いた話だけでもルミアはユアのことを気にしていることはある程度は分かると思うけどなぁ……。とそんなことを思った。でも、まぁ、近い人だと分からないこともあるみたいだから一概には言えないけど。
「……わからない?」
「うん……」
「多分だけどルミアもユアと同じようなことを思っているんじゃないかな?」
そう言うとユアは驚いた顔をしたけどすぐに不安そうな顔をしていた。
「どうしてそう思うの?」
「どうして? と聞かれると少し困るけどユアが一方的にそう思っている部分が強いじゃない? そんなことを思っていたらいつまでたってもルミアと話すことはできないよ? ユアはルミアと以前のように付き合えたらいいなぁって思っているでしょ?」
そう聞くとユアは頷いた。
「それならそろそろ話し合って来てもいいんじゃない? 孤児院での出来事からそれなりに時間が経っているしユアも大分落ち着いて来たでしょ? 恐らくだけどルミアも冷静になれるだけの時間は空いていると思うから」
「それはあるかもしれないけど、どうやって会いに行けばいいの?」
ユアの言葉から考えるとルミアに会いに行く気にはなってきたってことだよね? でも、どんな顔をして会いに行けばいいのか分からないみたいだけど……。
「それは自分で考えて? とりあえず明日の朝に会いに行きなさい」
「え!? そ、そんな急には無理だよ!」
ユアは私が言ったことに驚きながら首を横に振りながらそんなことを言って来た。
「そうやって先延ばしにしようとしていないでしょうね?」
そう言うとユアが少し気まずそうな顔をしていた。その様子を見てやっぱりと思いながら強引にことを進め過ぎたかな? でも、これくらい言わないとユアはいつまでも行きそうになさそうだし……。とりあえずユアがルミアに会いに行けばうまくいくけどユアにしてみたらそんな確証があるわけじゃないから不安なのよね……。
「……ユアがルミアに会いに行って来てもし上手く行かなかったら私がユアのことを慰めてあげるから勇気を出して会いに行きなさい」
「……本当に?」
ユアは不安そうにしながら私が言ったことを確認して来た。
「そうだよ」
「そ、それなら、その、上手く行ったときも何かして欲しい……。駄目、かな?」
それって上手く行った時も何かして欲しいってこと? 絶対上手く行くと思っていたからそんなことは考えていなかった。まぁ、それくらいのことでユアがルミアと話してくれるならいいかな?
「……分かった。そうしてあげる。でも、私にできることだけよ。明日、ちゃんと会いに行くのよ? いい?」
私がそう言うとユアは満面の笑みを浮かべながら頷いた。
「うん!」
「じゃあ、明日ルミアに会いに行くことを頑張るのよ?」
「頑張る」
そうして私達は明日に備えて早めに眠りについた。




