160.フローラのもとへ
そして服屋さんに着いて店内に入るとローナさんが私達に気が付いて声を掛けて来た。
「レーナちゃん達、来てくれたのね」
「はい。約束なので」
「うちの娘の為にありがとうね。ここ最近レーナちゃんと会えなくて寂しそうにしていたから……」
ローナさんはその時のフローラの様子を思い出したようで少し苦笑いを浮かべた。
「ユアちゃんもできればレーナちゃんみたいに私の娘とも仲良くしてくれると嬉しいかな?」
ローナさんにそう言われとユアは少し緊張気味に返事をした。
「は、はい」
「でも、無理にじゃないよ?」
「……はい」
ユアは無理に仲良くして欲しいと言われた訳じゃない、ということが分かると少し肩の力が抜けたようにみえた。ユアは先程フローラと会っているけど、ほぼ初対面みたいなものだから私が何とかして少しでもフローラと仲良くなってくれるといいなぁ。とそんなことを思った。
「……それでフローラはどこに居ますか?」
「自分の部屋にいるはずよ。ほら、2人とも付いて来て」
ローナさんはそう言うと店の奥へ入って行ったので私達もその後に続いた。
そしてローナさんがフローラの部屋の扉を軽く叩く。
「フローラ、お母さんだけど入るわよ?」
「いいよ」
そう言われて扉を開けるとフローラはローナさんを見てから後ろにいる私のことに気付いた。
「!? れ、レーナちゃん、来てくれたんだ……」
そう言うと私の後ろを見て何か声を掛けようとして口を少しパクパクさせて困ったような表情をしていた。
「それじゃあ、私は仕事に戻るからレーナちゃん達はゆっくりしていってもいいからね」
ローナさんはそう言って部屋を出て行った。
「と、とりあえず、座って」
フローラにそう言われて私はフローラの向かい側に座るとユアは私の隣というかやや私の背中に隠れるように座った。
「「「……」」」
それからしばらくの間、沈黙が続きどうしようかと考えていた。そう言えば私に話したいことがあって約束をしたのだから先のそのことを済ませようと思った。
「……先にフローラが私に話したいこと済ませようか?」
「えっと……」
ユアはどうしようか悩みながらユアの方に視線を向けた。もしかしてユアのがいると話しにくいのかな?
「私のことは気にしなくても大丈夫です。お2人で話してください」
「ありがとう」
フローラはユアの方を見ながら笑顔でそう言うとユアは俯いた。ちょっと私からの位置からでははっきりとユアの表情は見えないが髪の隙間から見える肌は薄っすら赤くなっていた。そんなユアの様子を微笑ましく思いながらフローラへと向き直った。




