154.服屋さん
私はこの街のことをあまり知らないのでユアが知っているお店を教えてもらいながら、気になるお店を覗いたりしていろいろなお店を見て回った。そうしてぶらぶらと歩いているとローナさんのお店の近くにいることに気付いた。そういえばユアはあまり服を持っていなかったから少し買い足すのもいいかも? と思いユアに声を掛ける。
「ユア、あそこのお店も行こう?」
「……あれは服屋さんだよね? 確か靴下とかを買ったお店の」
「そうそう。せっかくだし、行ってみよ?」
「うん」
そうして私達は服屋さんへと向かった。
服屋さんの店内に入ると中には数人ほどお客さんがいた。するとローナさんが私達の事に気付いたようで私達の方にやって来た。
「レーナちゃんいらっしゃい。それとあなたは……。この前、レーナちゃんと一緒に来ていた子だよね?」
「そ、そうです。ユアと言います」
と言ってユアは軽く会釈をした。
「私はローナよ。何か欲しい物とかあったら私に声を掛けてくれれば、いろいろと見繕ってあげるから気軽に声を掛けてね?」
「は、はい」
とそんな会話をしているとローナさんが他のお客さんに声を掛けられて、私達に一言断りを入れてからそのお客さんの元へと向かっていた。
「気さくな人だね?」
「そうだよ。だからユアも欲しい物があったらいろいろ聞いてみるといいかもよ?」
「……何か欲しい物があったら聞いてみる」
「とりあえずいいものがないか店内を見て回ろう?」
そう言うとユアが頷いたのでめぼしい物がないか探し始めた。ついでにユアに似合いそうな服とかあったら買ってあげよう。そんなことを思いながら店内を見回っていた。
店内を見ていると温かそうな服が多いことに気付いた。
(そういえば最近、冷え込んできたからかな? 確か今は11月だったからもう冬かもしれないし……)
日中は太陽が出てそこまで寒くは感じないけど日が沈むとそれなりに寒くなる。温かそうな服とか買った方がいいかもしれない。そんなことを思って私の大きさに合う良さそうな服をいくつか選んでいるとユアが私の方へやって来た。
「レーナちゃんいい服でもあったの?」
「まぁ、そんな所かな? 少しお金にも余裕があるから温かそうな服でも買ってみようかと思って……。せっかくだしユアも買おうよ」
「え? でも……」
ユアは少し困ったような表情をしていた。多分お金のことでも気にしているのかな?
「大丈夫だよ。多分だけどそこまでは高くないから。もし高ければいくつかは私が買ってあげるから」
「……自分で買える範囲なら」
少し悩んだ様子を見せたが自分で買える範囲なら買うと言ってくれた。まぁ、ユアだしそうなるか……。と思いながら何か1つ買ってあげようと思いながら一緒にユアに似合いそうな服を選んでいた。




