143.ユアの様子
翌朝
外が少し明るくなってきた頃に目が覚めて体を起こそうとしたときにユアが私に抱きついていることに気付いた。
(そういえば昨日はユアの事情を聞いていたんだ)
と昨夜の出来事を思い出し少しでも元気になるといいなぁ。と思いながら私の胸元に顔を埋めているユアを少し横から覗いた。
「え?」
横からユアの寝顔が少し見えるかな? と思って覗いて見るとユアの目元から涙が流れていた。
「……」
その様子を見てユアの心に負った傷はあまりにも深く寝ている今も尚、悲しんでいるのだと知った。
「私なんかでユアを励ますことができるのかな……」
そんなことを少し不安に思いながらも泣いているユアの頭を撫でてあげるとユアが私を抱きしめる力が強くなった。そのことに少し驚きながらも私にこうして甘えて? 懐いて? くれるのはかなり嬉しく思いながらユアが起きるまで頭をなでながら待っていた。
それからしばらく経ち、日がそれなりに上ってきた頃ユアが目を覚ました。
「んっ」
と言いながらゆっくりと目を覚ました。
「おはよう」
「……? ――っ!? お、おはよう」
私が声を掛けると不思議そうな顔を一瞬したけどすぐに驚きながら私の胸元から顔を離して挨拶を返してきた。
「……大丈夫、なのかな?」
「? どうしたの?」
「その、少し前に起きたけどユアが泣いていたから悪い夢でも見ていたのかな? と思って……」
「え?」
と言ってユアは手で顔を触り出すと一部濡れていることに気付いたみたい。するとすぐに私の方を見た。
「!? ご、ごめんなさい。私が泣いたからレーナちゃんの服が……」
と言って少しおどおどしだした。ユアに言われて自分の服を見ると濡れたいる所や濡れた跡が所々残っていた。
「気にすることないよ。放っておけば乾くと思うし」
「そ、そういう問題じゃないと思うけど……」
と言いながら私が怒っていないことを知って少し安心している様子だった。私、そんなことじゃあ怒らないけどなぁ……。
「……それより今日はどうする?」
「? 今日も狩りに行くんじゃないの?」
「まぁ、私1人ならそれでもいいけどユアもいるから何かしたいこととかないかな? と思って……」
「……私なんかが決めてもいいの?」
と『いいのかな?』みたいな感じでユアに聞かれたので頷く。するとユアは少し嬉しそうにしながら何か考えている様子だった。




