142.ユアの異変 理由5
それにしても今の話の流れだと昨夜に孤児院を出たことになる。ちゃんとどこかで泊まっていたのかな?
「……夜はちゃんと宿に泊まったの?」
「……宿ではないけどエレナさんの家に……」
「エレナさんが泊めてくれたの?」
「うん。本当はギルドで一晩過ごそうとしたけどギルドの前でエレナさんに会って……。その時に傷の手当てをエレナさんの家で受けて、その時に外にいる理由を聞かれてちょっと揉めて出てきたと言ったら遅いから泊まって行くように言われて……」
なるほど。エレナさんならそんなこと言いそうかも?
「エレナさんらしいかも。……それだったら早くからギルドに来ていたんじゃあ?」
そう言うとユアは気まずそうに視線を逸らした。
「ユア?」
とユアに声を掛けたがこちらを向くことはなかった。どうやら私が思っていたみたいに早くからギルドに来て待っていたようだ。ユアは気まずそうにしていたけど多分ギルドで会った時のことがを気にしているのかな? と思った。
「……まぁ、ユアにもいろいろあったみたいだけどちゃんとしたところで寝れていたのならよかったわ」
「う、うん」
「それにしてもユアが居た孤児院はどこにあるのかな?」
一度ユアが住んでいる孤児院に行こうとは思っていたけど結局行けていない。でも、先程の話を聞いている限り、ルミアって子はユアのことを気にしていると思うからそれとなく話を聞いて見たいと思った。それにユアも彼女のことを凄く気にしていたから……。
「? その、私が座り込んでいた辺りを少し先に行ったところに孤児院はあるよ。でも、もう行くことはないかもしれないけど……」
ユアは私がどこに孤児院があるのか聞くと不思議そうにしていたが場所を教えてくれた。うん、ちょっと聞き方があれだったかもしれない。一応教えてくれたことに少しだけ安堵したけどそれでユアが暗い表情した。やっぱり聞くのは不味かったのかもしれない。時間があればせめてルミアってことぐらいは仲直り? をできるようにしたいと思う。
「……今日はもう寝ようか?」
「うん」
とユアが頷いたので私達は横になった。
「ユア」
「?」
「……私にできることは少ないかもしれないけど私にできることなら頼ってくれてもいいから。だから、その、泣きたいことがあったら泣いてもいいし甘えたかったら私に甘えてくれてもいいから少しでも元気を出してくれると嬉しいかな?」
「……レーナちゃんに迷惑を掛けちゃうかもしれないよ」
「迷惑じゃないよ? どちらかって言うと何でも我慢しちゃうユアのことが心配だよ」
「本当にいいの?」
「うん。だからおいで?」
と言うとユアが近づいて来たので抱き締めてあげるとユアは私の胸元に顔を埋めながら静かに泣き出した。私はそんなユアが少しでも楽になってくれたら嬉しいなぁ。と思いながら眠りに就くまで撫でていた。
 




