141.ユアの異変 理由4
「これで大体綺麗になったかな? 目元とかはまだ赤いままだけど……」
「あ、ありがとう」
「……う、うん。そ、それよりおでこの傷はどうしたの?」
とお礼をされた恥ずかしさを先程気が付いたことで誤魔化しながら聞くとユアが少し硬い表情をした。
「……もしかして聞くのは不味かったかな?」
「い、いや、そこまでじゃないけど……。孤児院を出てきたことに少しだけ関係があるから……」
とユアはそんなことを言った。このおでこの切り傷が孤児院を出てきた理由に関係があるの? と思いながら首を傾げているとユアが少しずつ何があったのかを話し始めた。
「……さっきも言ったかもしれないけどオークの件の後、孤児院に行くのも気まずいと思いながら帰って自分の部屋に向かう途中でルミアの声がしたの。でも話すのも怖くて目を合わせることもなくさっさとその場を通り過ぎたの。一応チラッとだけ確認していたけど私が帰って来たことに驚いているみたいだった。それは、あんなこともあったのに帰って来たから吃驚したのかもしれないけど……。その後私の部屋の前を少しうろうろしていたけど……」
多分だけどルミアはそのことで吃驚したわけじゃないと思うけど……。どちらかと言えば数日いなかったわけだから急に帰って来て吃驚しただけだと思うけど? それにユアの部屋の前をうろついていたのなら謝ろうとしていたのでは? と思った。
「それから夜まで寝ちゃって喉が渇いたから井戸へ行って水を飲んでいるとね。一番下の男の子が2人来たの」
「……水を飲みに?」
「うん。まぁ、私のことを気持悪がっているから私と遭遇したら驚いて倒れちゃったの。流石に怪我をしていないか心配になって起こしてあげようと思ったら一番上の男の子が来て私が何かしたと勘違いして怒ったの。その後一応男の子の話を聞いたかと思ったら途中で切り上げて私が悪いことをしたことになって石を投げられたの」
「それでおでこに傷が……」
そう言うとユアが頷いた。
「それから私が彼等をいじめた。とかオノマ達の同類だと言われて孤児院を出て行け! と言われたの。そんなことがあって荷物を持って出てきたの……」
そんなことがあって孤児院を出てきたのか……。それにしてもユアをオノマ達と同類と言われたユアはかなり精神的にきていたいたかもしれない。オノマ達のせいで奪われたものが多いはずだから……。




