136.古傷
それから食堂でご飯を食べてからお風呂場へ向かう。そしてお風呂に着くと服を脱ぐ。一方ユアは服を脱いでいるのだが左腕を気にしながら脱いでいた。
(もしかして、未だに痛いのかな?)
そんなことを思いながらユアの左腕を見ているとユアが不安そうにしながら聞いてきた。
「……やっぱり私の左腕は気持悪い?」
「そんなことはないよ。どちらかというとムカつくかな?」
「……ムカつくの?」
とユアは首を傾げながら少し不思議そうに聞いてきた。
「うん。だってオノマ達がそれをやったでしょ?」
「……うん」
「多分だけど理由もないただの暴力がここまで発展してと思うけどそんなことでかわいいユアに火傷の痕を残すほどやるなんてあいつ等のことを思い出してムカつくわ」
「(か、かわいい!?)」
ユアは一瞬で顔を真っ赤にして俯いた。
話している途中で俯いたから何か不味いことでも言ったのかと思ったけど顔が赤くなっていることが分かった。多分だけど何かに照れたのかな? でも、照れるようなこと言っていないと思うけど……。とそんなことを思いながら先ほど気になったことを聞いてみた。
「その火傷の痕、未だに痛むの?」
「え? そ、そんなことはないよ?」
と一瞬何を言われたのか分からないような表情を見せたけど理解したのか少し言葉に詰まりながら否定をしてきた。その様子にちょっと怪しいと思ってユアを見つめながらもう一度聞いてみる。
「……本当に?」
それからしばらくユアを見つめていると少し気まずそうに答えた。
「……今日は痛くないよ」
「それって痛い時もあるってことだよね」
そう聞くとユアは小さくだが頷いた。
「……もし痛むときがあったら私に言うかこれを渡しておくから使いなさい」
そう言ってポーションを2つ取り出した。因みにこのポーションはギルドで売っているものよりも効果が高いポーションだ。そうそう使うことも無いからユアが使ってくれると嬉しいかな? と思って渡してみた。
「こ、これポーションだよね? こんな高価なもの受け取れないよ!」
と言いながら受け取りを拒もうとしてきたが無理やり渡した。
「別に高い物じゃないから気にしなくてもいい」
「でも……」
「……それは私が作ったものだからお金はほとんどかかっていない」
「え? レーナちゃんが作ったの?」
と言って受け取ったポーションを見てから私の方を見て来た。私はユアの視線から逃れるように視線を逸らして頬を掻きながら少しアレンジしていることを話した。
「……まぁ、作り方を教わったから。それに少しアレンジはしたけど……」
「そ、それは凄いね? レーナちゃんって何でもできるの?」
「そ、そんなこと無いよ。うまく作れないこともあるしそれも上手くできているとは限らないけど気休め程度にはなると思う……。多分、……だから使ってくれると嬉しいかな?」
「ありがとう、レーナちゃん」
そう言ってユアは私が渡したポーションを大事そうに抱えていた。その様子をみていると何だか恥ずかしくなる。
「さ、先にお風呂入れてくるね?」
と言って私はその場を去った。




