131.狩り2
ユアの方にも1匹行ったのを確認した。ユアのことだし1匹くらいなら大丈夫だろうと思い、自分に向かって来るウルフへと視線を向ける。するとウルフは進路を変え背後に回ろうと大回りをし始めたので私は目で追いかけながらウルフがやって来るのを待っていると急に進路を変えて私の方に向かって来た。迎撃の準備をしていると後ろから何かやって来る気配を感じてチラッと見るとユアに向かっていたはずのウルフが私の方に進路を変えたところだった。
「レーナちゃん!!」
まさかの挟み撃ちに驚きながら左手で刀を抜く。すると背後から迫って来たウルフを刀で弾くと正面にいたウルフが前足を振り下ろしてくるところだった。すぐさま右手に握っている小太刀を私とウルフの間に持って来て衝撃を和らげるようにしながら左手を弾いた反動を利用してウルフの首へと刀を振いながら屈む。そして頭上をウルフが通過するとそのまま地面へと落下して少し間を置いてウルフの頭部が落ちた。
それから先ほど弾いたウルフを見ると私から少しずつ離れていた。ユアの様子を確認すると私の無事が分かって安心したような表情をしていた。すると私からじりじりと離れていたウルフが急に方向転換してユアの方へ向かって走りだした。私はそのウルフを追うように走り出す。ユアはというとウルフが向かって来たことに若干逃げ腰になりながらも私と視線が合うと覚悟を決めたような表情をして武器を構えた。
私はその様子をみて大丈夫……かな? と思いながらもウルフは1匹しかいないからユアの戦いを見守ろうと思った。でも、もしもの為にいつでも助けれるように準備もしておく。
ユアはウルフが飛びかかってくると少し下がって短剣を振り上げる。一方ウルフは前足を振り下ろしている途中を短剣で下に弾いた。
「フギャ!?」
ウルフは爪を下に弾かれたことにより体勢を崩して前のめりになった。するとユアは短剣を切り返して右腕の付け根を斬り裂きながらバックステップして一旦距離を取った。
ウルフは悲鳴を上げながらそのまま顔から落下して変な声を上げると同時にユアが急いで近づき後ろ脚の付け根辺りを切りつける。とウルフは悲鳴を上げながら尻尾でユアを叩く。
「キャッ!」
とユア悲鳴を上げて転がるが直ぐに立ち上がった。
「大丈夫?」
「う、うん」
と言って私の方をチラッと見るとすぐにウルフへと視線を移す。
「大怪我はしないように気をつけてね」
「わ、わかった」
そんなことを話しているとウルフは何とか立ち上がってこちらの様子を窺っている感じだった。しばらくユアと見つめ合っているかと思ったら正面からゆっくりと近づいて行く。すると急に駆け出して飛びかかって来た。しかし今度は両前足を使って攻撃をしてきたためユアは怪我している足の方に避けて横から斬り裂くと今度は足が一本落ちた。するとウルフは悲鳴を上げながら怒り狂ったようにユアの方へ突っ込んで行った。
片足が無くなっている分、速度自体は遅くなっているが先ほどとは迫力が違う。ユアは、ウルフの様子の変化に気が付いて気後れしているようで後ろにゆっくりと後退していた。そしてどんどん近づいて来るウルフに覚悟を決めたのかその場に止まりユアはウルフを待ち構えた。そしてウルフが降り下ろしてきた攻撃を短剣で逸らしながらそのまま首を切りつけた。かなり深く入っているように見える。
「グギャ!!」
「キャッ! うっ!」
そしてウルフとユアの悲鳴がほぼ同時に聞こえた。ウルフは走った速度を保ったままユアとぶつかりユアが倒れるとその上にウルフが倒れた。




