ユア視点9 過去9(2022/12/2)
それからしばらくするとルミアは大分落ち着いた。
「もう大丈夫?」
「うん! ありがとう」
「どういたしまして」
とそんなことを話していたけど彼女にお願いしないといけない。でも、このままルミアに伝えても大丈夫かな? と少し不安になっていた。
「どうしたの?」
と聞かれてルミアに心配されていたので不安に思われないようにちゃんと話そうと思った。
「ちょっとルミアにお願いしたいことがあるの」
と言って冒険者になったことや訓練をしに行きたいと考えていることを話した。
「それでルミアに少しお願いがあるのだけどいいかな?」
そう私が聞くとルミアはすぐに返事をした。
「私にできることなら何でもするよ」
と私の目を見ながらそう言ってくれたのだった。
「それなら今、午前中にやっている作業をルミアにお願いしたいけどできるかな? 難しいようならできる範囲でいいからどうかな?」
「それくらいなら頑張る。だからユアお姉ちゃんは、頑張って来て?」
「ありがとう」
そう言ってルミアの頭を撫でてあげると彼女は、照れながら嬉しそうにしていた。
そうして私は冒険者ギルドの戦闘訓練に参加することになった。
それからの日々は、朝早起きしてから途中まで一緒に仕事をしてギルドの訓練場に行くのが日課となった。結局ほぼ毎日通うようになってそれなりに上達していると思う。それとエレナさんのおかげかオノマ達とは、会うことが少なかったため何とか外に連れて行かれることなく過ごすことができていた。
ギルドの訓練では、何度か実戦訓練としてゴブリンの討伐できるように頑張って8歳の時に初めてゴブリンを倒せた。それから受けた昇級試験に無事合格してGランク冒険者になることができた。
Gランク冒険者になれたら、すぐにオノマ達に知られて、案の定というかオノマ達のパーティに無理やり加入させられた。そして雑用要員としていろいろとやらされた。ただ、彼等にいろいろ言われてやっていたら気付いたことなのだが彼等は、文字が読めなくて計算ができないようだ。「依頼書を読め」や「計算をしろ」だのという事が多かった。そして、たまたま彼等が会話をしているときに「あいつが入るのに時間がかかったせいであまり稼げなかった」と言っていた。それを聞いて私を連れて行こうとした理由には少し納得した。どうしてすぐに外に連れて行こうとしたのかは、相変わらず分からないけど……。
そんな彼等と依頼をこなしていたが毎日依頼をこなすと言うわけではなく1日か2日置きに休みがあったためその都度ギルドの訓練に参加してゴブリンを安定して倒せるようになった。
そうやって活動するようになってルミアと一緒に仕事をこなさなくなってしまったけど、彼女が1人でできるようになったので今は安心して冒険者として活動することができている。
そんなことがありながら彼等と依頼をこなしていた。そんなある日、私が1人でもゴブリンなら2、3匹なら何とか相手ができるようになったとき、オノマ達に「俺達より前を歩け」と言われるようになってきた。急に魔物と遭遇することが増え、そのせいで怪我をすることも増えて来た。そんなことが増え続けたのでエレナさんに相談すると、今まで戦闘についていろいろ教えてくれた人が先頭を歩く上で必要なことをたくさん教えてくれた。でも、それはどれも実行することが難しくて形になるまでに2年ほどかかってしまった。でも、そう言ったことを教えてもらったから怪我をすることが減ったので早い段階に聞いて良かったと思っていた。
それから11歳になり彼等とパーティを組んで3年が経とうとしている。パーティ内で暴力を振るわれたり無理やり敵を引きつける役をやらされたりと言った感じで大変なことも多いが何とかやっていくことができている。
毎日彼等といるわけじゃないから何とかなっている部分もあるけど1人で稼げるようになったことで孤児院にお金を入れられるようになっていた。
オノマ達は、というと基本的には、今までと特に変わらないけど受付にセリルさんがいるときは、必ずセリルさんの所で素材を売却して、報酬を受け取ると私に渡すことなく彼等で全部持って行くことが多かった……。まぁ、自分で倒した魔物の魔石だけは、持っているからそこまで大きな影響には、なっていないと思うけど……。
そんなある日のことだ。森の中で魔物を探して歩いているとフードを被った女の子が木の根元に腰を掛けて干し肉を食べているところを発見したのは……。




