ユア視点8 過去8(2022/12/2)
私は、その話を聞いてギルドが行っている戦闘訓練に参加してみようと思った。ほぼほぼ間違いなく彼等に連れて行かれると思ったからだ。それならちゃんと戦えるようになった方が自分の為になるはず。ただ、それには、1つ問題がある。孤児院の仕事についてだ。
今は、私の次に年上の子に仕事の仕方を教えながらお手伝いしてもらっている。その子に頼めばできなくは、ないと思うけどやってくれるかが心配だ。他にも下の子達を見てもらっていたりするからその子の負担が増えてしまう。とそんなことを考えていたが訓練の時間帯を聞いていないことに気付いた。
「因みにですがギルドが行っている戦闘訓練は、いつ行っていますか?」
「それは、日が昇ってからしばらく経ったくらいからお昼までです。基本的には、毎日やっていますが全部参加しなくても問題ありません」
それなら孤児院での仕事はなんとかなるかもしれない。でも、念の為、教えている子にも確認を取って置こうと思った。
「私はギルドの戦闘訓練を受けたいと思います」
「……本当にそれでいいの?」
とエレナさんが確認の意味を込めて聞いて来たので私は、力強く頷いた。
「はい」
「……分かったわ。できる限り彼等と会わないようにサポートしようと思うけどあまり期待は、しないでね?」
とそんなことを言われて私は少し驚いた。
「そんなことしても大丈夫ですか?」
「それくらいなら大丈夫だからあなたは、自分のことだけを考えて?」
「……分かりました」
「他に何か私に聞きたいことある?」
「それなら冒険者ギルドの仕組みとか注意事項とか聞きたいです」
「? それってギルドに加入したときに説明されなかった?」
とエレナさんが不思議そうに聞いて来た。
「それは、説明しようとしていたところをオノマ達が「俺達で説明するからいい」と言ったから聞けていないです」
「彼等は、そんなこと言っていたの……。分かったわ、これからギルドについて説明するわ」
エレナさんは、そう言ってギルドの仕組みなどについていろいろ説明してくれたのだった。
「説明は、これで終わりだけど何か聞きたいことは、ありますか?」
「だ、大丈夫です」
と長い説明をようやく聞き終えた。今の話どれだけ覚えることができたのかが不安だ。そう思っていた。
「まぁ、一度に全部覚えることは、難しいと思うから分からないことがあったらまた聞いてくれればいいからね?」
エレナさんのその言葉を聞いて少し安心した。
「はい、その時は、お願いします」
それからは、当たり障りない話を少ししてエレンさんと別れた。
孤児院に戻るとみんなに心配されたが「大丈夫」と言っていると院長先生に呼ばれて何があったのか説明をした。院長先生は渋い顔をしていたが、私が冒険者ギルドで戦闘訓練を受けに行くことに納得してもらえた。
それから左腕と右掌のやけどを見てもらったが、あまりにも酷かったのですぐに治療院に連れられて治療をして貰った。恐らくこれで悪化することは無いと思うけど、腕の痕はそのまま残ると言われた。でも、火を消そうとした方の手は、それほど酷くなかったので、痕はほとんど残らないだろうと言われた。
あれだけのことがあって、左腕だけで済んだことは、良かったのかもしれないと私はそう思うことにした。
そうして治療が終わって孤児院に戻ると。
「ユアお姉ちゃん!」
と言って女の子がこっちに向かって飛び込んできたので、私はその女の子を受け止めた。
「おっとっと」
と思ったより勢いがあったからちょっと危なかったが何とか受け止めることができた。
「ルミアどうしたの?」
そう聞くとルミアは、顔を上げると目に涙を浮かべていた
「ユアお姉ちゃんがもう帰ってこないかと思った」
「そんなことは、ないよ。だから泣かないで?」
そう言いながらルミアの涙を手で拭った。
「だってレインお姉ちゃんが帰ってこなかったから……」
そのことに少しドキッとしながら「私は大丈夫だよ」と言ってルミアが落ち着くまで宥めていた。
 




