123.エギルさんとの話
誤字指摘してくださった方、ありがとうございます。
一部表現を変えたりあえてそのままにしてあるところもありますが自分なりの判断で行っている部分もあるのでその部分は、ご了承ください。m(__)m
エギルさんのお店に着くと早速、声を掛ける。
「エギルさん、いますか?」
そう声を掛けてしばらくすると奥からエギルさんが出てきた。
「また嬢ちゃんか、今度はどうした?」
「もう一度この刀見ていただけませんか?」
そう言って刀を差し出すとエギルさんはその刀を受け取り抜いた。
「(!?)」
すると驚いたような表情をした。それからじっくりとその刀を見たかと思ったらこんなことを聞いた。
「完全に魔鉄化している。それに、この純度は間違いなく一級品はある。これを嬢ちゃんがやったのか?」
「ちょっと試してみたらできました。でも、完全に魔鉄になっているのかわからなくてエギルさんの所に来ました」
「そうなのか……。これは、人前でやるなよ? 間違いなく面倒ごとに巻き込まれる」
人前でやるつもりはないけどそこまで面倒なことに巻き込まれるのかな?
「そうなの?」
「ああ、実験していた人たちはそれなりにいてそいつらを貴族が抱え込んで大掛かりなことをやっていたらしいからな。それを嬢ちゃんが1人でやったみたいだが……」
「なるほど……」
それは、確かに面倒なことに巻き込まれるかもしれない。人数も多くて大規模な実験もしている。そうなると莫大なお金も使っていることにもなるから私みたいな子供がそんなことができたら間違いなく目をつけられる。まぁ、よっぽどのことが無い限り捕まえられるとは思わないけど知り合いを人質に取られたりしたら面倒かもしれない……。
「別に難しいことはしていないけど……」
「そうか……。お金が欲しいなら魔鉄を作ってくれたら買い取ろうか?」
「え? そんなことしてくれるの?」
エギルさんの提案に私は少し驚いた。お金は確かに欲しいけど魔鉄がどれくらいの価値があるのかが分からない。
「因みにどれくらいで買い取ってもらえますか?」
「そうだな……キロ金貨10枚あたりか」
……多いのかな? ちょっとよく分からないけど今までの収入を考えればかなり多い事になる。それに魔法の訓練だと思えばお金がもらえていいかもしれない。
「もちろん鉄はこちらが用意するから気にしなくてもいい」
「分かりました。どこか人がいなくてちょうどいい場所ありませんか?」
「……付いて来い」
そうして着いた部屋はそこまで広い部屋ではないが訓練場みたいな部屋だった。
「ここならほとんど人に会わないはずだが、嬢ちゃんが良ければの話だ」
「ここ借りてもいいの?」
「ああ、ほとんど使わない。何かあれば声はかけるが……」
エギルさんは少し言いづらそうにしていた。声を掛けるという事は私が作業をしているときに入って来る可能性があるということを気にしているのかな? エギルさんの場所を借りることになるのだから別に見られても構わないけど……。
「別にエギルさんになら見られても問題ないですよ?」
「そうか……。何かあるなら魔鉄を作る以外にも使っても構わないし、見ることに対しても対価を払おう」
「別に対価を求めるようなことはしないです。ただ方法を内緒にしておいてください。先程エギルさんがあんなことを言ったので一応気をつけるようにしますから。それと魔鉄を作る以外にもこの部屋を使っていいの?」
「それくらいなら構わんがその技術に見合った対価は払う」
「それは別に」
「受け取っておけ。金はあっても困らんだろ?」
「……わかりました。それじゃあ試しに作るので使ってもいいものはありませんか?」
「ちょっと待っていろ」
そう言ってその部屋を出て行ってしばらくすると戻って来た。
「これでもいいか?」
そう言って渡されたの店の入り口にたくさん置いてあったような剣だ。まぁ、どんな剣でも大丈夫だと思うから気にしないが。
「じゃあ始めますよ?」
そう言って先程と同じように魔力を流していく。
それからどれくらいが経ったかな? もうそろそろいいかな? と思って魔力を流すことをやめてエギルさんに渡した。
「……魔鉄になっている」
「まぁ、こんな感じです」
「こんなにも早くできるとは驚いた。それも無理やり魔力を通しているわけではないのか」
「そんなことまで分かるの?」
「ん? まぁ、一応な。とりあえずこの部屋に鉄を用意して置こう。それと対価の事だがしばらく待っていてくれ近いうちに用意しておく」
「分かりました」
「とりあえずこの剣の分は払う。店の入り口で待っていてくれ」
そう言うとエギルさんはその部屋から出ていったので私はエギルさんに言われた通り店の入り口へと移動をした。
店の入り口で待っているとエギルさんが戻って来てお金を渡してきたので中をみるとそこには金貨10枚が入っていた。
「え? こんなに?」
「たいして多くないから気にするな」
「え? でも」
「気にすることはない。それに今日はもう暗いから帰れ。先程のことはやりたいときだけで構わん。あの部屋は好きに使ってくれ」
エギルさんはそれだけ言うと奥に消えて行ってしまった。
魔鉄がどれほど高価なものなのかは分からないけど好待遇過ぎない? とそんなことを思っていた。それからしばらくして私は宿へと戻った。




