5
「ではこちらへ。皆、もうやめい」
「しかし村長!」
「嘘だとしてもこのままでは村は終わるんだ。最後にこの者たちに賭けよう」
「……わかりました」
俺たちは村長の家へと案内された。
「それで内容だが、毎晩襲ってくる悪魔を退治してほしい」
「どういう悪魔か教えてもらえますか?」
「こう、角が生えていて肌がうす黒い悪魔だ」
「悪魔って大体そんなもんだけど……」
悪魔にもいろいろと種類がいる。
けど今の話しではどの悪魔か全然わからない。
まあどっちにしろ所詮悪魔。
俺たちの敵にすらならないだろう。
「その件はわかりました。それと質問したいんですが」
「答えられる範囲なら答えよう」
「みなさんのステータスってどうなっているんですか?」
「ステータス……?レベルのことか?」
「あ、そうです」
レベルだけではなくステータス全体について言ったつもりなんだけど。
「このように皆レベルを持っている。わしはLv.11」
「平均だとどれくらいなんですか?」
「わしら人間は大体10だ」
そうなると俺たちのレベルはゴミみたいなもんか。
でもステータスがバグっている。
ステータスのほうは試してみないとわからない。
「わかりました。夜まで自由にしていいですか?」
「ああかまわない。ただし戻ってきてくれよ?」
「わかってます。ではまたあとで」
俺たち3人は外へ出た。
「それでどうなの、ディラ?」
「ああ、それより俺のほっぺたをつねってくれないか?」
「「……うわぁ」」
「そういう意味じゃないよ!調べたいことがあるから!!」
ドン引きしてるし!
決して美少女だからいじられたいというわけではない!
……まったくないというわけではないけど。
「えいっ!」
「いててててててっ!」
「えっ!?やっぱり痛いの?」
「ああ、いててて。どうやら俺たちはこの世界に、アバターの姿で別の世界に来てしまったかもしれない」
ありえない、こんなことはありえない。
だが、いま現に起きている。
それ以外に考えられない。
ゲームで痛みを与えることはできない。
痛みがあればフルダイブする機械のほうで異常ありとされ、強制終了される。
「だから先に試しておきたいことがあるんだ。とりあえずいこう」
「どこへいくのよ」
「村へ影響がでない森の中だよ」
俺たちは森の中へと入って行った。
ちょうど練習できそうな場所を見つけ、そこで止まった。
「ファラ、たしか使える魔法全部覚えているんだよね?」
「ええ。でもなんで?」
「試しに使えるかやってみてもらえる?」
「ええ、いいけど」
そういうとファラは一歩前へ出た。
魔法を覚えていなくてもリストを見れば魔法を使える。
だけどそれは時間がかかるため、使えそうな魔法は大体覚えている。
全部覚えたファラはおかしいと思うけど。
「地獄の黒炎地帯」
魔法を使うと辺り一面が黒い炎で包まれていった。
黒い炎は火の中でも一番の火力である。
そのため周りの地面をも溶かしていき地獄絵図となっていく。
「まさか魔法Lv90以上の魔法をいきなり使うと思わなかったよ」
「いきなり魔法Lv.100のカンスト魔法を使うのはさすがに躊躇したわ」
「でも森がどんどん消えちゃうよー?」
「「あっ」」
火はどんどん新しい木へと燃え移っていった。
「おいおい!早く消さないと!」
「わ、わかった!」
魔法を解除すると火は消えていった。
周りは地面も溶かしたため、そこらじゅうデコボコだらけ。
「とりあえず、戻そうか」
「そうね。時刻復元」
「カンスト魔法使ってるじゃん……」
ここを戻すにはこれが一番、しかたない。
でもこれでわかった。
たとえLv.1でも魔法の制限がない。
「じゃあ次にメル」
「僕?武器でも出せばいいの?」
「話が早い、そうしてくれるか?」
「わかった!霊槍クリスタルフレイム!」
武器も問題なく出せた。
見た感じ変化もない。
レベルだけ変わって他は今まで通りの状態で俺たちがここに来たってことか。