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手紙を開くと、ゲームのウィンドウには【承認】と【拒否】に2択がでてきた。
先に他のギルドを全部拒否にして最後に黒狼の牙だけを承認した。
すると、俺たちは待機部屋へとワープされた。
本当は全員承諾状態じゃないと移動しないけど、こっちと対戦相手全員が承諾していたため早かった。
「ルールはデスマッチ。リングの上から落ちないように戦うシンプルルールみたい」
「なーんだ。これじゃあ僕たちのほうが有利じゃん」
「そうね。これでは敵にならないわ」
「まあまあ。せっかくだし楽しもうよ」
今いる部屋は待機部屋と呼ばれる戦闘準備室。
本来なら武器やアイテムをセットしたり作戦を練ったりする場所。
しかし、俺たちは何もしない。
なぜそこまで余裕なのか。
それは見ればわかる。
「カウントダウン始ったよ!」
「5、4、3、2、1……0!」
カウントダウンが終わるとリングへワープされた。
俺たちは3人。
向こうはデスマッチルール参加人数上限の100人までいた。
見たところ、あちこちにプレイヤーランキングで見た顔がある。
惜しくも個人の世界大会のランキングに載らなかった者たちだ。
普通に考えたらこの人数相手にそのガチ編成、めちゃくちゃ本気じゃん。
敵は俺たちを確認すると、数で押そうとみんなで襲いかかってきた。
「「「「「うおおおおおお!!!」」」」」
「すこし数を削りましょうか。神の雷墜」
多くの悲鳴とともに半数ぐらい倒れた。
戦闘不能になると別の場所へ自動でワープされる。
リングから落ちたと同じ扱いで戦闘不能は負けとなる。
「やっぱり耐性を持っている人が多いわ」
「じゃあ次は僕が行くよ!霊槍クリスタルフレイム、やあああ!」
「ぐあっ!」「ぐはっ!」「がはっ!」
ザクザクと敵を切り捨てていく。
だが全員とまではいかず、一人の男が防いだ。
「うおおお!岩の拳!」
「おりょ?」
メルの槍は見事に砕かれた。
「ふははは!これで攻撃はできまい!!」
「ありゃりゃ、やっぱりクリスタルじゃ脆いから無理だよね」
「何をぶつぶつといっているんだ?」
「モード!ファイヤーフレイム!えいっ!」
「なっ!?あちゃああああ!!」
うわあ、えっぐ。
槍で刺しただけではなく、燃やした。
燃えた奴以外もドンドン倒していく。
残り数人とまで減らされた。
「おいおい、俺まだ何もやっていないんだけど」
「あっ、ごめんねー!」
「じゃあ最後は譲るわ。これでいい?」
「それならいいぜ!じゃあビシッと決めるか!」
俺は残りの敵の前へと歩を進めた。
さっきの二人のせいで完全に怯えている。
もう戦意喪失かよ、そっちから挑んできたのに。
「ん?みんな、落ち込むのはまだ早い!あいつのステータスをみろ!」
「なっ!Lv.1だと!?」
「雑魚中の雑魚じゃないか!!」
今のようにステータスを人に見せることができる。
ただし本人が許可しない限り全体公開はされない。
俺はあえて常に見えるようにしてある。
「みんなかかれー!!」
「「「「「うおおおお!!!」」」」」
はあ、やっぱりステータスを見たらこんな反応か。
動きも所詮ランキング外、俺たちにとっては雑魚と変わらない。
みんな油断している。
「ぐはっ!」
俺は襲いかかってきた一人を殴った。
それと同時に戦闘不能になり消えた。
「どういうことだ!Lv.1のやつがなぜ即死攻撃を!」
「これ知ってるだろう?」
「それは呪われし死神のネックレス。なぜそんなゴミアイテムを……!」
そう、世間一般的にはゴミアイテム。
付けると即死攻撃ができる代わりにLv.1になり、ステータスは初期値に。
序盤はよくても、だんだん当てるどころか近寄ることすら困難になる。
今の俺の状況は初期装備でラスボス戦ってところだ。
「遠距離から攻撃しろ!そうすれば近寄れないはずだ!」
「火炎弾!」「氷の槍!」「電撃!」
数々の魔法が一斉に俺へと飛んできた。
……遅すぎる。
「がはっ!」「なはっ!」「ぐわっ!」
「ど、どうしてだ……どうしてLv.1がこんなに速いんだ!!」
「いや、ただ単に慣れただけ」
「そんな馬鹿な話があってたまるかああああ!!」
最後の一人は叫んだ。
叫びとともに姿を消した。
同時に勝利コールが鳴った。