第2話 村長の話
ある村にて。
その村にある一番大きい建物の中で咲は連れてきてくれた女の人とこの村の村長とその奥さんに
話を聞かせていた。
「・・・それで私、ここに異世界転移したんです。」
咲は、そう話し終えた。
「そうだったのか。あ、そういえばあなたの名前をまだ聞いていなかったな。」
咲に村長が言った。
「あ、そうでしたね。私は彩瀬咲です。サキと呼んで下さい。」
「ふーん。サキっていうんだ。あたしは、セナ。そこにいる村長の孫よ。」
セナが言った。
「セナ、お爺さんのことをそんな風にいっちゃダメでしょ。」
村長の奥さんがそうセナに言うと、セナはとなりで別にいいじゃんと言っていた。
「ごめんなさいね、サキさん。遅くなっちゃったけど、私はサルビアっていうのよ。」
サルビアはにっこりと微笑みながら、そう言い、棚からある巻物を持ってきた。
「サキさん、この巻物を見て頂戴。」
サルビアはそう言って、サキの前にその巻物を広げた。
サキは巻物を広げてみた。
巻物は、意味わからない言語と絵が混じり合いながら、書かれていた。
「この巻物はね、私達、風牙族がね、どうやって生まれたかが描かれているのよ。
ほら、あなた、話してあげて。」
サルビアはそうやって、村長に話を振った。
そうして、村長は話始めた。
・ ・ * ・ ・
「わしはな、父と母と姉と妹の4人で暮らしていたのだ。
その当時、わしらはまだ普通の人間だったのじゃが、ある日、わしらの村を、ばけもんが
襲ってきたのじゃ。確か、そのばけもんは大鬼じゃった。たったの1匹じゃなかった。
大鬼帝とその手下、合わせて1万の大軍じゃった。大鬼達の力は凄まじいもの
だった。われらの村の者らは次々に殺されてった。わしは目の前で父と母と妹を殺された。
わしは怖くなって、その場から動けなくなって、殺されそうになったのだったのじゃ。
そんなときじゃ。目の前に勇者が現れたんだよ。男の勇者だった。
大鬼をたくさん殺していった。その勇者は、それから伝説の勇者になったんじゃ。
そこでわしは、あることを思い出したんじゃ。
100年に1度、伝説の勇者が現れるということをな。
その勇者は100年に1度、現れて、この世界を救うのじゃ。
もしかしたら、サキさんも伝説の勇者になるのではないかの。ちょうど、100年目じゃし。」
そう村長は長々しく話した。そして、サキを見て、にっこりと微笑んだ。
長くなっちゃいました。