(5) 自己紹介をした
「では早速、自己紹介をしましょう、フィランさんからクルッと反時計回りに」
フィラン、と呼ばれた私の前の子が席から立った。
「あたしだな。えー、フィランです。製作者はココ、よく正義感が強いって言われるな」
一言そう言うと席に座る。
次は私。
「私はアルダ、製作者はシダラ。口数が少ないのと無表情なのは仕様。主がそう言っていた。」
「次は私ですわね。私はルーナ、製作者はリスリック様ですわ。ところでアルダさん、先程貴女の製作者はシダラさんと言いました、それ本当ですの?」
ルーナが渋い顔でそう聞いてきた。
「本当。何で?主、悪い人?」
もし主が悪い人だったら私はどうすればいいのか、不安になってきた。
「いえ、ただシダラさんのとある噂を耳にしまして。でもそれに関しましてはアルダさんではなくセスレイ先生にお聞きします。私たちより長く生きてますから」
「そうそれ!さっき言おうとしたんだけどね、アルダさん、気を付けてね。彼女はとても心優しかったぺティア学長を3日程でいたずら大好きにさせてしまったの」
なんだその程度か、でも大事じゃなくてほっとした。
「思ったよりたいした事じゃない。それにいたずらならよくされてた、もう手遅れ」
「手遅れって...無表情で肩すくめながら言わないでッス...お、面白くて」
「てことはアルダもいたずらとか好きなのか?それとこの馬鹿は無視していいから」
「分かった。いたずらの事だけど、それはない。楽しそうと思ったこともない」
「ならよかったッス!問題児はフィランだけで十分ッスから!」
「おい、てめぇそれ本気で言ってたら口縫うぞ」
「じょ、冗談ッス。いっつトトジョークッス」
今のフィランの顔は世間で言う鬼の形相という顔だ。迫力がある。
「ちょっと予定よりも長くなっちゃったけどこれで全員が自己紹介終わったわね」
「ん?」
「えぇ、申し訳ないですわ、話を大きく反らせてしまって」
「あの...」
「大丈夫だって、今日が逃げる訳じゃねえからな」
「ちょ」
「それに主のことも少し知れた。だから感謝」
「まだ自分の自己紹介終わってないッス!」
「知ってる。トト」
「製作者はファナだろ」
「周りからは、そうですわね...元気が取り柄と言われません?」
「あ、その通りッス。返す言葉もないッス」
トトは目を点にしていた。
ルーナが言った言葉は他人に馬鹿とは簡単に言えないし、精一杯の褒め言葉なのだろうと予想がついた
「これで自己紹介は終わりね。次の時間は施設の案内をするわ。それまで10分は休憩」
そう言ってセスレイは教室を後にした。