(1) 私が誕生した
「......よし、完成!」
「おぉ、これ凄い出来ですね。こんなに綺麗な個体、今まで見たことないです。」
「でっしょー!私だってこれ創るのに10年も費やしたんだから」
「でもなんでこの容姿にしたんですか?この子の顔パーツ、どの資料ページにも載ってないですよね?」
「載ってないから創ったの。これからの世代、これぐらい出来なくっちゃね」
「なるほど、勉強になります」
「さ、今日はもう遅いから明日起動させましょ」
そんな会話が聞こえた気がした。
翌日。
パシュン、という音と共に私が入っていたカプセルの扉が開いた。
「おはよう、目覚めはどう?」
そう言われてゆっくりと目を開ける。目の前には若い女の人がいた
「......誰?」
「はじめまして。私はシダラ。貴女の製作者よ。主とでも呼んでくれればいいわ。」
「シダラ......主」
「そう。これからよろしくね」
「よろしく......私は誰?」
「あ、そうね忘れてたわ。貴女はアルダ...アルダよ」
「私はアルダ」
「アルダ、早速だけど動作確認したいからそこら辺をぐるっと歩いてきてくれる?」
「分かった」
カプセルから起き上がり、地面に立つ。冷やっとした感覚がある。
そこから部屋を見渡す。グレーのコンクリートで囲まれた窓のない部屋だった。端に上へと繋がる螺旋階段があるため、おそらくここは地下なのだろう。
「どうしたの?」
「何でもない」
きょろきょろしていた私が気になったのか主は心配そうに聞いてきた。
私はゆっくりと歩を進める。
しばらくすると歩くことに慣れ、さっきより早めに歩き主の元へ戻った。
「言語理解も出来てる。歩きに問題は無い。......アルダ、手をこうやってグーパーしてみて」
「こう?」
「うん上手......よし、初期動作だけでいいかな」
主はパソコンに何かを打ち込んで満足そうに笑っていた。そういえば昨日はここにもう一人いたはず
「主、質問」
「ん、何?」
「もう一人は?」
「もう一人?あぁ、あいつなら自分のところでアンドロイド創作するって言って出てったわ。というか意識あったのね」
「ダメだった?」
「ううん、いいんだけど驚いただけ。よし上に行ってしばらくは様子みながら二人暮らし、しようか」
「分かった」
こうして私と主の生活が始まった。