(9) 学校を見て回った ~屋上~
「全員教室から出たわね。トトさん、端末持ってる?」
「はい!フィランが首掛けストラップをくれたッス!...ダサいッスけど」
「仕方ないんじゃありません?貴女、いかにもやらかし体質ってオーラ出てますわよ」
「失礼ッスね。自覚はあるッスけど!」
「あるんですのね」
「ほらそこ、すぐ喧嘩するんだから。まずは屋上からね、行くにはこの目の前の階段を使って。セキュリティシステムは端末から解除できるから」
そう言ってる間に屋上に着いた
「おお!フィラン、屋上ッス!あっちまで競走ッス!」
「あ、こら待て!トト!」
光の速さで走っていったトトをフィランが追いかける。
「風、涼しい」
「そうですわね、少し肌寒いですわ」
「一応ブランケット持ってきた」
私は彼女の肩にブランケットを掛ける
「あ、ありがとうございます。アルダさんは寒くないんですの?」
「これぐらいならまだ全然大丈夫」
「お優しいのですね、アルダさんは」
「そんなことない、普通」
「ふふ、そうですわね」
この時間、とっても心地いい。これが屋上の力なのか?
「青春、いいわねぇ。いちゃいちゃしてるわねぇ」
ルーナの隣にセスレイが現れた。
今までどこにいたのだろう。
「いっ、いちゃいちゃだなんてしていませんわ!」
「良かったじゃないの、ルーナさんは。アルダさん、今の時間楽しかった?」
「楽しかった。セスレイが来なければもっと楽しかったかもしれない」
「あ、っそうですか。ごめんなさいねぇ、お邪魔なようで。そろそろ移動するから私は二人を捕まえてくるわ。頑張ってねルーナさん」
「な、何がですの?」
「だってあなた、一目b」
「ちょおおお!セスレイ先生、やめてください、何でわかったんですの!」
「あなた、表情に出やすいから。すぐ分かったわよ?」
「そ、そうなのですか?そんな事はないと思いたいのですが」
「じゃ、ごゆっくり」
セスレイの後ろ姿を見つめるルーナ、長い髪から見える耳は少し赤い。
「ルーナ、耳赤い。具合悪い?」
「い、いえ。大丈夫ですわ。それよりアルダさん、先程の話は聞いていましたの?」
「聞いてたけど、よく分からない」
それもそのはず、私の知能パッチは生活出来るぐらいに設定されていてあとは覚えていく、というものなのだ
「ルーナ、さっきの会話はどういう意味?」
「え?あ、いや。まだ知らなくていいことですわ!」
「いつか教えてくれる?」
「えっと、その...ご、ごめんなさい!」
そう言うとルーナは屋上から出て行ってしまった。
「アルダ、ルーナ、すまねぇ。迷惑かけたって、ルーナは?」
「出て行った」
「あー、恥ずかしかったのかしら?」
とりあえずみんなで屋上を出ると、壁側で蹲っているルーナがいた。