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闘技の街の赤竜編~大会参加への報告と練習場の確保~

俺は領主様の所であったことを伝えた。

補助金が横領されていたが、それが今後はちゃんとした支援金が入ることがわかった時にはレシアさんの頬に涙が流れる。

恐怖や辛さから泣くわけではなく、安堵から来るものなのか嬉しそうに泣いていた。


「……良かった。これからはあの子達に苦しい思いをさせなくて良いんですね」


右手の指で涙を拭い、レシアさんは微笑んでいた。


「はい。領主様から使いの人が来るそうなので、詳しい話はそこで聞いてもらえると助かります」


そういうとレシアさんはこくりと頷いてくれた。

俺はそして次にディアの方をみる。

そして、大会参加の意を告げる。


「ほぅ、それは楽しみだな」


口角を上げてディアはニヤリと笑う。

その姿はまるで獲物を捉えた獣のようで、背筋がゾクッとなった。


「だが、急にどうしたんだ?昨日は悩んでいたろう?何かあったのか?」


獰猛な笑みをやめてディアは眉をひそめて俺達を心配そうに見る。


「あぁ、それは……」


俺はあの男のことを説明し、元々受けていた依頼者にも許可をもらったことを伝える。


「なんと言うか……それは災難だったな。レンリとしても負けられない闘いになってしまったようだ」


ハハッと呆れるような乾いた声で憐れみに満ちた目でこちらを見てくる。

こちらもそうしたい気持ちはわかるがもう


「あぁ、あんな男にシーラを任せられないし、負けるつもりもない。俺も出場する以上全力で尽くしてあいつを倒して上位入賞を狙うさ」


「それは楽しみだ。その時は事情関係なく相手にするつもりだから覚悟しておけよ。……それにしても任せられないとはずいぶん大切に思っているんだな」


ディアがにやにやとこちらを見ている。


「えぇ、確かにレンリさんとシーラさん仲良いですもの」


レシアさんもなんだか微笑ましようなものを見る目でこちらを見ている。

なんだろう……むず痒いのだが。


「わ、私たちはそんな関係じゃありませんよ!」


「そうだぞ。俺なんかじゃシーラに釣り合わないだろ?」


美少女とそんな関係になりたいと思っているが実際に自分の身になってみると自分なんかじゃ釣り合わないと思えるである。


「そ、そんな事……」


シーラは耳をペタンと伏せ、尻尾もいつもより動きが小さくなってなにかを言っていたが、俺はディアの方を向きあることを聞くことにした。


「ディア、どこかに思い切り体を動かせるところってないか?本気で戦うならシーラも剣を振るわなきゃいけないし、色々危ないだろう?」


「ふむ……」


ディアは顎に手を当てて少し考える。


「あ、あの……」


その様子を見ていたレシアさんが声をかけてくる。


「うちの敷地とかはどうでしょうか?ある程度の広さはありますから武器を振るっても大丈夫と思いますよ」


「けどそれだと子供たちが遊べないんじゃ……」


レシアさんの提案にシーラが心配そうに答えると彼女は首を横に振る。


「それなら大丈夫ですよ。みんな三人が手合わせしてるのを興味深々に見てるので見させてあげてもらえるときっと喜ぶと思いますよ!」


「確かに二人に刺激されて興味を示している子はいたな……特に上の男の子」


レシアさんの話に乗っかるようにディアが言葉を続ける。

男の子だし興味をもつのも分かる。

あとはシーラとかでかな……確かハルヴェって子だったよな。

シーラで赤くなったのは。


「二人がそういうなら……こちらこそよろしくお願いします」


「よろしくお願いします!」


俺とシーラは深く頭を下げてお礼を言う。

せっかく了解が取れたなら存分に使用させてもらおう。

もう俺達に出来ることは領主様の言う通りに大会で上位入賞を目指し、あの男に負けないようにすることだ。

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