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闘技の街の赤竜編~領主ととある人物~

 ナンパ男と別れた俺達はしばらく歩き、侯爵家に到着した。

 屋敷に入ろうとしたら前回と別の門番だったため、こちらを怪しんで止められた。

 仕方がないので俺はカバンから侯爵家公認の証を取り出して見せてみると門番は慌てて屋敷の中に入り、取り次ぎ始め、少しすると中から前回も来たメイドの一人がやって来て中に通してもらうことができた。

 そしてメイドさんに案内されるまま前回案内された応接室に連れてかれる。


 「旦那様らレンリ様とシーラ様がお越しになりました」


 部屋の目の前に来たメイドさんがノックをして扉越しに声をかける。


 「わかった。二人を通してくれないか」


 中から領主様の声が聞こえ、俺たちはそのまま部屋のなかに案内されメイドさんはそのままどこかにいってしまった。

 目線を部屋に戻すと部屋の中に思いもよらない人物が領主様の対面に座っていた。


 「よう、坊主。昨日ぶりだな」


 その人物はスラムにいるはずの裏組織のボスだった。


 「貴方は……。すいませんが領主様と酒場のマスターはどんな関係なんですか?」


 「ねぇ、レンリ。なにかあったの?」


 俺の強ばる顔を見たシーラが心配そうにこちらを見ながら聞いてくる。


 「それに関しては私が答えようかな。彼と私は幼なじみでね。先生の生徒でもあったんだ」


 「えっ、おじさんの!?」


 「おじさんって……オーディス、この嬢ちゃんはなにもんなんだ?」


 ボスがシーラを見て首をかしげながら領主様に聞いている。


 「先生が娘同然に可愛がっている子だよ。君の部下にもこの子に手を出さないように通達しておいた方がいいんじゃないかな?」


 「げっ、マジか……わかった。あとで伝えておこう。下手に手を出したらスラムまるごと凍らされそうだしな」


 ギルドマスターのことを思い出しているのか領主様と同様に二の腕を手で擦っている。

 こんな強面の人も怯えさせるなんてどれだけの事をやったんだろうかあの人は……。


 領主様のいうにはスラムのボスは小さい頃から屋敷から抜け出して共に遊んで、ギルドマスターのもとで学んだ親友らしく、領主様が侯爵家を引き継いだ後も親交は続いているそうだ。

 スラムのボスはその立場のため、表立ってはいないが裏の部分を取り仕切り、この町の治安を守っていいるそうだ。

 その代わり、多小なりの事は目を瞑ってもらっているらしい。

 恐らく裏の賭けのことも目を瞑ってもらっているのだろう。


 確かに領主様は裏の組織と繋がっているが悪い事ではなく治安を守るためにしていることとわかり安心した。


 「はっはっはっ、そういえば聞いたよ。スラムで絡んできた相手を一瞬でのしたらしいね」


 「え、えぇ。あぁ、でもしないと引き下がろうとしませんでしたから……それにそちらの方が後処理を派遣してくれたので助かりました」


 ボスの方を見てそう答える。

 酔っぱらいを引き取ってくれたので衛兵を呼ぶ手間が省けて助かったのは間違いはない。


 「スラムの治安を守るのが俺の仕事だからな。それぐらい当たり前だ。そういえば俺の自己紹介がまだだったな。俺はバルガナ・ラーシュだ。よろしくな、坊主と嬢ちゃん」


 口角をあげてにやりと笑いながら俺とシーラを見る。

 凶悪そうな顔のこともあって迫力のある笑顔になってしまい、シーラが少し緊張してしまっていた。


 「そういえば、君達は昨日宿は取れたのかい?大会のこともあって手頃な宿なんてなかなかとれないだろう?」 


 そんなシーラを見て安心させようと気をつかって領主様が聞いてくれる。

 

 「少し縁があってこの町の孤児院に泊めさせてもらってます」


 「ふむ、孤児院というと少し前に娘さんに引き継いだところかな?」


 「えぇ、そこの院長がちょっと絡まれていたので、その関係で……」


 俺はそのままことの経緯を説明した。

 この件に関しては当人同士で話し合い、解決しているのでよかったのだが別の問題が発生した。


 「ふむ、おかしいな。あそこの孤児院にはうちから補助金を出していたはずなんだけどね……少し調べるとしよう」


 「横領でしょうか?」


 「恐らくね。担当のものを探して取り調べを行うことにするよ」


 俺が聞くと領主様が神妙な面持ちで頷いた。

 レシアさんに昨日聞いていたのだがあの孤児院には補助金は確かに来ていたが微々たるもので食材を買ってしまえばすぐになくなってしまうほどだ。

 なので孤児院の庭の一角では家庭菜園の者が作られており、それを利用して生活をディアが来るまておくってきたそうだ。

 だからその担当の人はレシアさんが補助金の事を知らないことを良いこと中抜きしている可能性があるかもしれないと思ったのだ。


 「オーディス。もし担当者がわかれば俺にも教えろ。うちのもん使って、裏取りをしてやる。ったく、大事なガキどもの金をなにに使ってやがるんだ」


 ボス……バルガナさんが俺達の方を見て、苛立った様子でいう。

 この人この風貌のため勘違いされ易いのだろうが言葉のはしばしから実は結構いい人だということがわかる。

 領主様の話の感じからしても結構面倒見もよく、子供好きのようだ。


 「バルガナ、そちらの方はわかり次第こちらから連絡しよう。よし。この話は一度終わらせて……レンリ君、なにかわかったことはあったかい?」


 「いえ、大したものはないですがギルドでの捜索依頼の量からすると領主様から貰った資料より拐われる人が多いみたいです」


 「なるほど、あとからギルドに問い合わせて確認をするとしよう」


 あ……っと声を小さな声だったが静かにしていたシーラが俺達に話かけてきた。

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