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森の白狼編~エピローグ・勇者召喚~

 私は御門詩織みかど しおり

 星城高等学校で生徒会長をしている。

 父は御門工業という少し大きな企業の社長をしており、私はいわゆる社長令嬢という奴だ。

 そんな私のいる星城高校ではある異変が起きている。

 それは一人の生徒が行方不明になっていると言うことだ。

 ただの行方不明ならもっと大事になるのだが、今回起きた異常なところは消えた生徒に関する情報、記憶、物の全てが皆からなくなっているという状況で何故か私だけ覚えている。

 消えた生徒の名前は霧生連理。

 私の後輩で、友人だ。


 「お嬢様、どうかなされましたか?」


 声の掛けられた方向を見ると、長身のショートヘアの女の子が私に話しかけてくる。

 彼女は我妻由梨がさいゆり、私の小さい頃から幼馴染みでこの家に仕える従者でもある。

 私と同じ生徒会で副会長を担当している。


 「ううん、なんでもないよ。気にしないで」


 そういうと由梨は納得してくれたのかまた黙々と生徒会の仕事を進める。

 彼女と行方不明の生徒は知り合い同士であり、彼女の誘いもあり、彼には生徒会の仕事を手伝って貰ったこともあったりして私も彼と友人になることができたのである。

 そんな彼との出会いを話すにはまず私の趣味から話す必要がある。

 それは自作の小説を作ることだった。

 昔から大量の習い事や勉強を親から押し付けられ、そのストレスを発散することができたのが小説を書くことだった。

 元々オタク趣味ではあったけど厳しい親の目をかい潜らないといけないので、今まで一生懸命隠してきたのでこの事は親も知らない。

 この事を知っているのは彼と由梨の2人だけである。

 由梨は昔から私の趣味に付き合ってくれるので隠してはいなかったが、彼にはあることがきっかけに知り合い、小説の事を話したりするようになった。

 

 

 あれは1年前、春の入学式が終わり放課後、1人で生徒会室で書類整理していると、不意にノックされたので入室許可を出すと男子生徒が入ってきた。

 ぶかぶかな制服と上着の校章の色からして入学したての生徒だろうと思った。


 「御門詩織先輩……ですよね?あの、これ落ちてました」


 彼の手には見覚えのあるクローバー柄の手帳がある。

 私が慌てて鞄の中を探すといつも小説を書くためのネタ書く手帳が無くなっている。

 多分どこかのタイミングで落としてしまったのだろう。


 「あー、えーと。君、それの中身見た?」


 「あー、はい。すいませんが誰の確認するのに見ちゃいました」


 お、終わった。

 これでもオタク趣味をばらさないように気を付けてきたのに見つかってしまうなんて。

 周りのイメージもあるから隠してきたのだがもう終わりだ。

 そんなことを思っていると、また扉がノックされ由梨が中に入ってきた。


 「お嬢様。そろそろお帰りの時間ですが用意は……ってどうなされたんですか?それに何故レンがここに?」


 「あれ、由梨姉ぇ?俺はこれ拾ったから渡しに来たんだ。由梨姉ぇはなんでここに?」


 「なるほど。私はお嬢様の家に仕えてるのでボディーガードを兼ねて従者をしているの」


 2人が仲良さそうに話している。


 「え?2人とも知り合いなの?」


 「はい。レン……霧生連理は私の習った五行無想流の師匠のお孫さんで、小さい時からの知り合いで弟のようなものです」


 なるほど、武術の知り合いなら私は知らない筈だ。

 一応私は実践向けの剣道を習っていたが素手での戦いはできない。


 「で、レンがお嬢様のネタ用の手帳をみてしまったみたいだけど、レンはどう思った?」


 由梨が連理君(?)に話しかける。


 「すごく面白そうだった!御門先輩、あの後主人公はどうなるんですか?」


 子供のようにワクワクした感じで聞いてくる彼に私は少し気が抜けて、まだ手帳には書いていない設定などを説明すると彼は真剣に聞いてくれた。


 「お嬢様、レンなら秘密を守ると思いますし、安心していいと思います。むしろレンは私よりもお嬢様と気が合うかもしれませんよ。最近、小説を含めて色々なものにはまってますし、うってつけの人物だと思います」


 由梨がそこまで言うのだ。

 私は彼に話し掛ける。


 「えっと、連理……君だったよね?私としてはこの趣味のこと内緒にしてもらえると嬉しいな」


 「あ、はい。大丈夫ですよ。人の趣味を言いふらすような趣味はないですし」


 すごくあっさりと了承してくれたので、一瞬呆然としてしまった。

 由梨が勧めてくれたのもあるし、連理君とはオタク趣味を言い合えるいい友達になれるかもしれない。

 その事を連理君に言うとすぐに色よい返事が返ってきた。

 それから私は由梨を交えて連理君と話すことが増えていった。

 連理君がどんな人物か気になったので由梨に聞いてみると、普段の明るい彼からは想像もつかなかった人生を送っていたことに驚いた。

 小学生の時に親を交通事故で亡くし、親戚すじには受け取り拒否のたらい回しにされた後、お祖父さん達に引き取られたそうだ。

 引き取られてからは、お祖父さんに武術を仕込まれているらしくその時に由梨と出会ったみたいだ。

 聞いて驚いたけど、中学生の間も長期休暇には山でサバイバルしているらしい。

 そこまでする必要があるのだろうか。

 後で調べてわかったのだけど連理君のお祖父さん、久方 宗之助さんは武術のする人の中で知る人ぞ知る達人だった。

 数々の武術家を倒し、最強とも言われていると由梨から聞き、連理君からは知り合いを助けるために武装したヤクザの事務所に1人で突撃して懲らしめたって話も聞いた。

 そんな人に鍛えられた連理君の実力を聞いてみると由梨は遠い目をして答えてくれた。


 「一言で言うなら天才ですね。五行無想流はその名の通り五つの型があり、普通の人なら2つ程の型を修めて一人前になりますが、レンはあの年で師匠と同じ五つの型を全てをある程度修めてます。下手な大人より強いですよ」


 昔手合わせしたらしく、その事を思い出した由梨は浅くため息を吐いていた。


 「そうなんだ。そういえば由梨はなにを修めたの?」


 「私ですか?私は柔拳の水と迎撃の土ですね。あくまでお嬢様を守るために効率が良かったのがその2つなので、この2つを修めました」


 家からの命令とはいえ、由梨には迷惑掛けてしまっていることが私には心苦しかった。

 だって私の事がなければ由梨はもっと女の子らしいことも出来たはずなのに私がそれを潰してしまったからだ。

 その事を由梨にいうと由梨はなにも気にしていないと言ってくれた。


 「私はお嬢様といれて結構楽しんでいるんですよ。本当に嫌なら私以外の人があてがわれますしね。……お嬢様は私が従者であることが迷惑だったでしょうか?」


 「そんなことないよ。私は由梨がいてくれるから今を楽しめるし、趣味だって話せる由梨の事、信頼してるよ」


 これは本心から思っていることだ。

 由梨がいなければきっと私は家の指示だけに従う人形のようになっていただろう。

 そんな私を変えてくれたのは由梨だ。

 だからいつか由梨に恩返しがしたいと思っている。

 とそんなことを思っていると。


 「お嬢様、最近レンとよくいるのを目にしますがなにかあったのですか?」


 唐突な質問に私は何の事かわからなかったが、すぐに理解できたので返事をする。


 「特になにもないよ?連理君とは小説や漫画の話で盛り上がってて、その事で話してたんだけど」


 連理君は意外とマニアックなところまで食いついてくるし、素直に私の小説の感想を言ってくれるからすごく助かっている。


 「私の立場上、あまり異性に近付きすぎなのはあまりいいとは思えません。まぁレンなら変なこともしないでしょうが……」


 由梨が軽くため息をついている。

 そんなに近かったがだろうか?

 確かに周りに聞こえないように近くで話すことは多かったがそこまでではないと思う。


 「立場上の事ではそういいますが、個人的意見を言わせてもらえば、レンと仲良くしてもらえて私はよいと思います。あんな中学時代のあの子が笑えるようになっているのは喜ばしいことです。」


 「なにかあったの?」


 「さっき言ったようにレンは事故で親を亡くした後に引き取られ武術を習いましたが当時のレンは荒れていました。周りに迷惑をかけないようにはしていましたが、たびたび人と衝突したり、両親の死をまぎらわせようと修業しているような感じでした。少なくとも今のように笑顔は一切ありません」


 私は信じられなかった。

 私が見ている範囲では連理君は基本笑顔が絶えない後輩のイメージだったのでその言葉が信じられなかった。


 「確かあれはレンが中学生になった頃、レンが地元の高校生複数と喧嘩していて負けていた所を大人を呼んで助けたんですが、それがレンのプライドを傷つけたらしく、それから私がレンに喧嘩を売られるようになったんですよ。当時は私の方が経験が長かったですし、レンもそこまで強くなかったからあしらうことができましたが、今ではかないませんね。その後、何度か喧嘩しているうちに仲良くなったんです」


 「なにかきっかけがあったの?」


 「喧嘩の後で、私がなんでいつも怒ってるか聞いたんですよ。そうしたら、周りの皆が自分の親の事を蔑ろにする発言を言ってるから苛立ってたそうです。レンからすれば自分には親がいないのに、いるのを当たり前で蔑ろにする発言されれば自分の親の死を思い出してしまいますからね。だからといってそれだけで暴力を振るうわけにもいかず心のうちに溜められていったんでしょう」


 なるほど、確かに会いたくても会えない両親のことを思い出すし、親がいるという幸せを当たり前だと思っている人ならそんなこと言う人も少なからずいる筈だ。


 「その後、言いたいことを言うと今まで心の奥に溜め込んでいたものが決壊したのか泣き出しちゃったんです」


 「そっか。今まで我慢してたもんね。それで由梨はどうしたの?」


 「小さい子にするみたいに抱き締めてあげましたよ。当時はお嬢様より小さいくらいの伸長でしたし、私は元々体の成長が早かったですしね。当時でも160㎝後半はありましたし」


 えーと、確か私の今の伸長が156㎝だったから確かに男子としては小柄だろう。


 「なんというか、由梨ってば母性に目覚めたの?」


 「母性……ですか?どうでしょうね。今ではレンのことは弟のように思っていますし、あながち間違いではないかもしれませんね」


 その後の話を聞くと、どうやら連理君は気恥ずかしそうに由梨から離れて今まで謝ったそうだ。

 それからは心を入れ換えたかのように人にあたり散らかす事もなく、優しく抱き締めてくれた由梨を尊敬し、姉のように慕うようになったらしい。

 

 「お嬢様。男女の関係になるのは駄目ですが、あの子が笑顔になるなら私個人としては嬉しいです。だから仲良くしてあげて貰えると嬉しいです」


 由梨が私に向かいお願いするように一礼する。

 私としては自分の趣味を話せる数少ない人物なので別に無下にする必要はない。

 というかむしろ私は連理君のことが友人として気に入ってるし、由梨の弟分なら私の弟分のようなものなので絶対ない。

 私達はひとりっ子なので、地味に嬉しかった。

 その事を言うと由梨はホッとしたように微笑んだ。

 2人の強さがどれくらいか気になったので連理君のお祖父さん立ち会いのもと、連理君と由梨の組手を見て貰ったことがあるのだが、一言で言うと凄いの一言につきた。

 互いに胴着を着てもらい組手をして貰ったのだが、2人とも動きが早くて手先を目で追うのも一苦労だった。

 攻撃的な連理君とカウンター特化した由梨なら由梨が優勢だと思ったが、反撃の瞬間に戦法を切り替えてカウンターを受け流しさらにカウンターで返す連理君に翻弄されしばらくして由梨は投げられ腕を固められた。

 カウンターをカウンターで返すって漫画じゃないんだから……

 それからも連理君との付き合いは続き、3人で行動することも多くなった。

 そんなに連理君といることが多いならいっそ生徒会に誘ってみたが断られてしまった。

 家に帰ったら修業をしなくてはいけないらしいので、時間に余裕がある日は手伝ってもらうことにした。

 連理君って想像以上に仕事が出来る人な上、生徒会メンバーとも上手く接してくれるのでこちらとしては大助かりだった。

 それから1年が経ち、春の入学式の為にまた連理君に手伝ってもらったのだがその日が連理君を見た最後の日だった。

 次の日、いつものように連理君の携帯にメールを使用としたが何故か我慢から消えている。

 仕方ないので由梨に頼んだら、予想外の言葉が返ってきた。


 「すいませんが、どなたのことでしょうか?私の知り合いにはいませんが」


 一瞬耳を疑った。

 けど由梨はそんなつまらない嘘を付くようなタイプではないので、なにか大変なことが起きていることを直感した。

 急いで、職員室に行き、連理君のクラスの生徒名簿を確認するが彼の名前はなかった。

 同時進行で由梨に連理君のお祖父さん達に連理君というか孫かいるか確認して貰ったが、いないと言われしまった。

 以前の立ち会いの事も会ったので、二人が知らないなんて思えなかったが、記憶がない以上思い出すことは出来ないだろう。

 いや、むしろ記憶が無くなったではなく、消されたというのが正しいだろう。

 けど一体誰が何の為に……

 そうしているうちに、どんどん日が過ぎていき、連理君がいなくなってから約1ヶ月が経った。

 使える手を尽くしたが結局何の手がかりもなくかったので、自室の机で連理君の捜索資料を見てもう諦めようとした瞬間、足元に魔方陣が現れて光が私を飲み込んだ。

 目を開けると目の前に真っ白な空間があり、果てが見えないほど奥まで続いていた。


 「ここは一体……」


 そう言うと、目の前に1人の女の子が現れた。

 女の私から見ても美少女と言っても過言ではない程の美貌であり、私はその姿から目が離せなかった。


 「あの~、話したいことがあるんですけど、大丈夫ですか~?」


 間伸びした喋りをする女の子が私に話し掛ける。


 「す、すいません。ここは一体、それに貴女は何者なんですか?」


 「え~と、私は地球とは別の世界の女神のセフィラと言います~。ここは私の作り上げた空間で貴女に頼みたいことがありここに来て貰いました~」


 「頼みたいこと……ですか?」


 「はい~。実は私が管理する世界で魔王が現れてしまい、脅威を感じたある国があなたを勇者召喚してしまいましたのです~。ここまま行くと何の力も付与されないままあちらに飛ばされてしまう為、私がこの空間に呼び込みました~。非常に申し訳ないのですが私達の世界を救う為、戦ってくれませんでしょうか~?」


 小説とかでよく見るシーンだが、女神の間伸びした喋り方のせいで全く緊張感が出てこないけど。


 「緊張感がないと言われても、この方が親しみが持てるかな~?と思ったんですけどね~」


 親しみというより、少しアホっぽいというか。

 って口に出してないのにバレてるってことはまさか心を読まれてる?


 「はい~。というか霧生さんといい、なんでみんなアホな子扱いするんでしょう~?」


 女神が眉間にシワを寄せて、腕を組む。

 ん?

 後半、聞き捨てならないことが聞こえてきた。


 「待って下さい!霧生さんってもしかして霧生連理君のことですか!?」


 「は、はい~。も、もしかして霧生さんのお知り合いですか~?」


 「はい。連理君は私の学校の後輩で弟のようなものです。連理君がいなくなったことはまさか貴女が関わってるんじゃないんでしょうね?さぁ、洗いざらい吐いてください!」


 私が問い詰めると、女神セフィラは連理君関係の事を全部話してくれた。

 なんというか……ため息が出てくる内容だった。

 まぁ女神の不注意とはいえ、人を庇って死んでしまうなんてところなんて優しい連理君らしいものだ。

 そして、連理君がお祖父さん達を無駄な心労を掛けないように女神に頼み、地球での連理君の記録、記憶など諸々消したそうだ。

 それなら何故私は覚えているのかを聞いてみると、私の中にある勇者の資質のようなものが女神の力を阻害していた為、覚えていたらしい。

 全く、召喚されなきゃわかりこっないのだから質が悪い。

 正座させながら小一時間くらい説教をしたいものだ。


 「あ、あの~それは流石に足が痺れちゃいますよ~」


 「え?神様って足が痺れるんですか?」


 「この空間だけですよ~。以前連理さんにも説明しましたが、私の力を行使しやすいように体を実体化させてるのです~。それなら勇者の資質に妨害されることなく能力を授けれますからね~」


 どや顔で胸を張る女神、薄い布でしか覆われてない双丘がこれでもかと主張してくる。

 私も地球ではそこまで小さくないとは思っているが、何故だか少しイラッとした。


 「まぁ、良いでしょう。確認したいんですが、私が貴女の世界の世界に行くとしてそうなると地球での私の存在はどうなるんですか?行方不明なのかあちらの時間が止まるんですか?」


 「え~と、この場合は行方不明になりますね~。魔王を倒していただければ、あちらに帰す事ができますよ~。そうすれば召喚された時間まで戻す事ができます~。まぁ、大抵私の世界に居着いちゃう人が多いのであまり帰還する人は少ないんですよね~。あ、霧生さんはあちらでの存在を消してしまったので連れていけませんよ~?」


 また緊張感のないの声に私から力が抜ける。

 そっか。

 出来れば連理君を連れて帰りたかったけど出来ないものだけど、できないなら仕方ない。


 「なるほど、それで私に与えられる力ってなんですか?」


 「そうですね~。霧生さんの場合は見切りと模倣が得意だったので魔法やスキルをコピーする模倣眼イミテーションアイと幾つかの特典をあげたんですけど、あれは連理さんに付けれる素質がありましたからね~」


 「素質ですか?」


 「はい~。そちらの世界でいうなら、ゲームの装備スロットに近い感じですね~。霧生さんの場合はその空きスロットが多いので強力な物がつけれました~。う~ん、本当は貴女の過去を見て、それにあったスキルをあげたいのですが時間もないですし仕方ないですね~。けど貴女も結構空きスロットが多いですし貴女ならこれですかね~?」


 女神が天に向けて手をかざすと、私の足元から光が発生して包まれる。


 「貴女に与えたスキルは、魔力を消費し一時的に超身体強化する『戦乙女ヴァルキュリア』と自分の周囲に特殊な空間を作る『領域テリトリー』です~。あとは霧生さんと同じ言語自動変換とか基礎身体強化とか自己スキルをチェックできるスキルを付けておきますね~」


 名前からしてチート気味なスキルを渡される。

 私に扱いきれるだろうか。


 「大丈夫ですよ~。おや?もう時間のようですね~。貴女ならできますから、頑張って下さい~」


 気の抜けるような女神の声が聞きながら私の意識は薄れていった。


 目が覚めると、広い空間に立っていた。


 「せ、成功だ!勇者様の召喚に成功したぞ!!」


 周りから召喚出来たことを喜ぶ声が聞こえる。


 「静かにしないか!勇者殿が困っているではないか!」


 するとその中から、身なりの良さそうな私と同い年くらいの男の人がやってくる。

 少し癖のある金髪に、目鼻筋がハッキリとした所謂イケメンな人だった。

 

 「初めまして勇者殿、私はアレックス・フォン・ヴァルトネーレ。ヴァルトネーレ王国の第一王子だ。よければ貴女の名を聞いても?」


 「御門詩織。この世界に召喚された勇者です」


 こうして私のこの世界での勇者としての生活が始まった。

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