Cthulhu Mythos
友達にクトルゥー神話好きがいまして、そいつから教えてもらいました。
クトルゥー神話って難しいですね・・・。
「”他者に才能を与える”才能・・・それがラブクラフトの才能なんですね。江戸川さん。」
「ああそうだ高橋。”宇宙的恐怖”。”クトゥルー神話にまつわる力を才能にして他者に与える”才能だ。」
彼らはひとまず、高橋達の”部室”に集まっていた。
「・・・緋乃先輩。ラブクラフトの人格を乗っ取ることは出来ないんですか?」
「ああ、それがね・・・。まあ、ちょっと見てて。・・・才能名、《我が闘争》。」
そう言って、緋乃は才能を使った。
緋乃の左目に鉤十字の紋章が浮かび上がる。
「ん~・・・。やっぱ無理。」
「無理って・・・どういうことなんだ?緋乃。」
「いやね、どの人格もあいつを見つけられないし、知らないの。」
すると、二方芭蕉が口をはさんだ。
「当然だ。ラブクラフトは開花者殺しの中でもトップに近い存在。そう簡単に素性がばれるものか。」
「一応、我々は腐っても政府の特殊機関なのでね。」
「そう言えばそうだったな・・・。」
「恐らく、ラブクラフトは次の手を既に用意してるだろう。」
江戸川乱歩が神妙な顔をして言った。
「私や江戸川さんも、既に裏切者。見つかれば即処刑だろうな。大人しく死ぬつもりはさらさらないが。」
「・・・どうすれば、いいんでしょうね?」
『じゃあこうするのはどうでしょう?大人しく全員私に殺される。』
「誰だ!!」
二方が叫ぶ。
しかし周りには誰も見当たらない、が、
「そこにいるのは解ってるぞ!殺気も消せない未熟者め!!」
二方はある窓の奥をにらみながら、叫んだ。
「才能名、《花曇り》!!」
二方の手に文字の書かれた短冊が現れる。
それを二方は手で破った
と、同時に彼の手に自動小銃が現れる。
「失せろ!!」
そして窓枠の上の壁を狙って、引き金を引いた。
その瞬間、
「おっと、危ない危ない!」
窓ガラスを割って、侵入者が入ってきた。
すぐさま
「動くな。」
江戸川が銃の照準を侵入者の男に合わせる。
「誰だ。」
高橋が自らの才能。《選別殺人鬼》の力である赤黒く光るナイフを突きつける。
「おお、怖い怖い。」
「貴方は誰?」
緋乃が侵入者に聞く。
「私のコードネームはランドルフ・カーター。以後、お見知りおきを。」
そして、ランドルフ。カーターと名乗る男は部屋を見回して言った。
「一番面倒なのはこいつらだな・・・。よし。」
「何をぶつぶつ言っている!!」
高橋がランドルフ・カーターに詰め寄る。
「今に分かりますよ。・・・後は任せましたよ、タイタス!」
そう言って、高橋を片足で蹴り飛ばした。
「グッ!」
高橋とランドルフ・カーターの距離が離れる。
そして彼は叫んだ。
「才能名、”I am Randolph Carter”!!」
その瞬間、
「なにっ?!」
「こっ・・これはっ!!」
「きゃっ!!」
二方芭蕉、江戸川乱歩、緋乃崇乃の体が、
「ど、どうしたんだお前ら?」
「緋乃先輩!!」
徐々に透明になって、そして消えてしまった。
「ははは!!これで邪魔者は消えた!!」
ランドルフ・カーターが高らかに笑う。
「・・・どこにやった?」
「ん?」
「緋乃先輩を・・・どこにやった!!才能名!!《銀か鉛か》!!」
その時、
「才能名、”I am Compleat Crow”」
「っっ!! 何なんですか・・・これ・・・。」
突然の才能の使用宣言と共に、暁が発動したはずの才能《銀か鉛か》、高橋が発動したはずの《選別殺人鬼》が打ち消される。
「おいおい、アンタらの相手は俺だぜ。クソガキども。」
「誰だ!!」
敵は、既に背後にまわっていた。
「俺の名前はタイタス・クロウ。ガキども、喜べ。遊んでやるぞ。」
そう言い、彼が取り出したのは自動小銃だった。
「やばっ、逃げるぞ、暁!」
「はい!先輩!」
「逃がすか!!」
暁と高橋は、先程ランドルフ・カーターが蹴破った窓から飛び出した。
「待てよガキども!!」
急いでタイタス・クロウが窓からのぞき込むと、
「・・・逃げたか。」
そこには既に、誰もいなかった。
「奴は恐らく、”才能を打ち消す”才能だ。」
彼らは”部室”から少し離れた下水道の中にいた。
「・・・でもどうしますか?才能を打ち消すなんて・・・。」
「そうだな・・・それに、緋乃や二方、江戸川乱歩もどうなったんだ・・・。」
「・・・はっ!!こ、ここは?」
「起きたか、緋乃。」
「二方芭蕉・・・。ここは一体?」
緋乃が目を覚ますと、そこは見たこともない景色だった。
「どうやら連れ出されたみたいだな。」
江戸川乱歩が言う。
その口ぶりに、緋乃はふと疑問を覚える。
「待って、『みたい』?貴方の才能で調べればいいんじゃないの?」
「それが・・・。」
江戸川乱歩が言いかけたことを、二方が引き継ぐ。
「ここでは才能が使えないだよ。」
「はあ?」
「だから乱歩さんの才能で敵の才能を調べたり、場所を特定したり、俺の才能で武器を出すこともできん。」
「な・・・!!」
「恐らく、敵が危険視した才能開花者をここに閉じ込めて残りを先に殺そう、そういう魂胆だろう。」
江戸川乱歩が呟く。
「そんな・・・一体どうすれば・・・。」
『言っただろう?”次は殺す”と。今がその時だ。』
暗い部屋で、ラブクラフトは満足げに呟いた。