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混沌チートゲーム  作者: 灰狐
6/12

真実の一端

二方芭蕉は夢を見ていた。今まであったことを、起こった出来事が頭の中を駆け巡る。

(ああ、これが走馬燈ってやつか。)

才能が暴走し、仲間を間違って封印してしまい、そのことで開花者ということがばれ、開花者殺し共に目をつけられた、が。

(あれが全ての始まりだったな・・・。)

そんな中、一人だけ彼の処分に反対する者がいた、その名は江戸川乱歩。彼は一連の事件を故意じゃないとみなし、罪滅ぼしと監視を兼ねて新たにメンバーにしよう、と提案し見事にその意見を通したのだ。

(乱歩さんがいなきゃ、私は今頃・・・。)

だがそれも終わりだ、自分は高橋達に殺された、そう二方は思っていた。

『二方!おい!二方!』

(ああ、乱歩さんの声が聞こえる。なんでだろう?)

『二方!おい!』

その声はますます大きくなる。

(お願いだ、乱歩さん。このまま寝かしてくれ。)

『おい!二方・・・・』

声が徐々に近くに迫ってくる。

「二方!」

「!!」

恩人の声で目覚めると、そこは・・・。

「ここはいつもの隠れ家・・・?」

そこは二方達開花者殺しが隠れていた廃ビルだった。

「ゆ・・夢?」

そう思い、ふらつく頭を支えながら奥の方に座っている乱歩の方に移動する。

「乱歩さん・・私、実は酷い夢を見ていたんですよ・・・」

「ああ、二方・・・」

すると乱歩は憐れむような、そして悲しむような眼で二方を見た。

「ああ、二方、残念だが・・・。」

「?」

「残念ながら夢じゃないんだよね~。」

「!!」

乱歩の背後から声が聞こえる。聴き間違うことは無い。まぎれもなく、

「高橋 駿!」

「どうも~。」

「ちょっと!私も居るんですけど!」

「・・・緋乃先輩、今は高橋先輩のターンです・・。」

「貴様っ!乱歩さんに何をした!」

すかさず二方は短冊の封印を解くき、銃を取り出す。

「おっと!そんな事していいのかな?」

「?」

すると緋乃が叫んだ。

「〝全力で私達を守れ〟!」

すると、突然、柱の影から五、六人の人が現れた。

「!お前らは!!」

柱の影から現れたのはかつての二方の同僚や先輩、部下だった。

「ま・・まさか!」

「貴方は私の才能を少し勘違いしていたようね。」

「なに?!」

「確かに私の才能は敵意を持つ相手にかける事は出来ない、というデメリットが有る。

よって敵意さえあれば洗脳にはかからない。まあ、あながち間違ってはいないけどね。」

「じゃあ何故!」

「ねえ、“常に私に敵意を抱いている人間って居ると思う?”」

「っ!まさか・・!」

「そう。“一瞬でも私への敵意を忘れたら”あとは私がそいつの顔と名前さえ知っていれば洗脳出来るわ。」

「なん・・だって・・」

その時、ふと乱歩が叫んだ。

「殺せ!二方!」

「乱歩さん?!何を言って・・・。」

「あいつ等もそう言う筈だ!こいつ等を、そして私を殺せば“人質”で悩む必要も無い!」

「乱歩さん・・」

「殺せ!命令だ!」

「乱歩さん・・解りました!地獄で会いましょう!」

そう言うと、吹っ切れたかの様に銃をかつての部下、同僚、先輩達に向ける。

「はい、ストップ!」

「?!」

「そいつ等今殺されたらマズイんだよね〜。根性有るって事だけは認めとくよ。暁!」

「・・・解りました、緋乃先輩・・“Plata O Plomo”《銀か鉛か》」

「糞っ!また幻覚か!」

そう思った瞬間、

「なっ!な、んだこれ、は?」

二方は突然、体の感覚が途切れるのを感じた。

「あ・・あ、あ。」

声を出そうにも上手く発音出来ない。

そのまま銃を取り落とし、床に倒れてしまう。

「おい!二方!おい!」

「落ち着いて下さいよ江戸川さん。死んじゃいません。」

「二方に何をした!言え!」

「そういえばウチの暁の才能説明してませんでしたね。高橋先生解説どうぞ。」

「暁の才能は麻薬の症状を強化、弱体化、一点集中など色々変化させた状態で射程圏内の生物にその症状を発症させる才能。まあ、さほど戦闘には使えないが、あいつの才能の売りは射程距離でな、今までやった中だと最大で県一つ覆えるだよ。まあ、サポートとか追い打ち用だな。」

「麻薬の症状・・まさかパブロ エスコバルか

。」

「?誰それ?何が言いたいの?」

「これを説明するという事はお前が聞いてきた質問に答えるという事だ。」

「“俺達のこの才能は一体何処から生まれているのか?カインとは何か?” という質問だな。答えてくれ。」

高橋達がわざわざ二方を生かして、そしてこの廃ビルに連れて来た理由、それは自分達の才能の正体、そして二方の言っていた『カイン』の意味を知る為だった。

「条件だ。説明するからあいつ等を解放してくれ。」

「解った。緋乃。」

「はいよ。」

すると、操られていた人達が次々と気を失い、倒れていった。

「洗脳の副作用だ。じきに起きる。」

「よし、説明しよう。まずは私の才能からだ。」

すると乱歩は紙とペンを取り出して言った。

「私の才能名は“Key to the true ending《真実の結末への鍵》”。知りたい真実の一端を知る事ができる才能だ。」

「予言か?」

「まあ、そんな所だ。さて、それでは本題だ。お前達の求めてる答えだ。」

そういって、乱歩はペンを握った。

「Key to the true ending《真実の結末への鍵》!」

そう叫ぶと、握っているペンがひとりでに何かを書き始めた。

その書かれた文を見て、高橋は不思議そうに言った。

「・・才能には輪廻が関係している?」

「そうだ。reincarnation《輪廻転生》、聞いた事は有るだろう。」

「どういう事だ?」

「私はこう解釈する。“才能とは、過去の人間から受け継いだ物”だと。」

「何だって?!」

「大体判ると思うが、私の名前、江戸川乱歩とは私の本名では無く、部隊内でのコードネームだ。」

「江戸川乱歩・・・確か何十年も前の作家だっけ?」

「まだ世界の崩壊していない、才能が公に出なかった時代だ。」

「つまり私達のも・・」

「そうだ、つまり君達の才能も才能の元となる人物が居るんだ。緋乃君、君はアドルフ ヒトラーという独裁者。暁君はパブロ エスコバルという麻薬王。どちらもかなり昔の人物だ。」

「そんな昔の人の才能が今更になって何故?」

「それこそが我々開花者殺しが結成された理由、そしてカインの意味だ。」

乱歩は一呼吸置いてこう言った。

「世界が崩壊した理由は知っているな?才能開花者が大量に増え、才能開花者による反乱、日本にいた奇跡を操る才能開花者があの時動かなければ、今頃世界は才能を持っている者と持たざる者の大戦争に発展していただろう・・。さて、その才能開花者がこんなに増えたのは実はある才能開花者の才能のせいだ。カインとはそいつの名前だ。そのカインは死んだが、才能がある人物に受け継がれた。その人物こそ・・高橋 駿!君だ!」

「!!何だって!」

「二方が君達を殺そうとしたのも全ては二回目の崩壊を防ぐための、今の日本政府からの命令だ。」

「・・・そのカインって奴は一体どんな奴なんだ?」

「旧約聖書に人類初の殺人を行ったカインという青年がいる。」

「そいつの才能を受け継いだ奴か?」

「いや、違う。世界崩壊の原因のカインとは・・・旧約聖書に出てくるカインと同一人物だ。」


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