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混沌チートゲーム  作者: 灰狐
5/12

息を殺す者

「ふん、貴方の才能は見切りました。」

「なっ、何だと!」

二方は嘲るように言う。

「貴方の才能は統制のとれた集団にしか聞かない。それならば・・・コレはどうですか?」

「なっ!」

二方が召喚した物、それは何の関わりも無い二つの部隊だった。

「っ!〝Neverending nightmare〟!」

「無駄ですよ、暁深夜。」

「!!」

特殊隊員に気を取られている隙に、既に二方は背後に居た。

「これで終わりです!!」

二方が筆を振り下ろした瞬間、

「・・・仕方ないか、・・・〝銀か鉛か《Plata O Plomo》〟解除。」

そこに居た暁はいつの間にか消え、代わりに彼の声だけが響いた。

「何故だ・・・今のは、"才能"?!」

その出来事に、二方はまるで地獄の淵を見たかの様に叫ぶ。

「何故二つも才能を持っているんです?!」

あの時響いた暁の声、それは才能使用の宣言に違いなかった。だが、

「才能は原則一人一つ・・・なのに何故?」

「・・・僕があんなに喋ると思いますか?さっきのは幻覚ですよ・・・」

「幻覚?」

「Neverending Nightmareなんて嘘っぱちです・・・。最近見つけたB級映画の題名ですよ・・・。」

「なに?ならどうして特殊部隊員(私の部下)は何故倒されたのだ??」

「それこそが暁深夜の才能の真骨頂なのよ。」

「貴様、緋乃崇乃!それに高橋駿!生きていたのか・・・。」

そこには緋乃、それに高橋が二方を嘲るように立っていた。

「アイツの才能は、麻薬の禁断症状強化版だ。」

「味覚、聴覚、視覚、触覚、嗅覚、痛覚、あらゆる面で最高レベルの幻覚を見せる才能。それが暁の才能よ!」

「お前が威張ってどうする。」

「あ、ゴメン・・・まあ、兎に角、そういう事!」

「貴様ら・・・!!」

筆を握りしめながら二方が言う。

「まあいい、ならば!!」

そう言い、七、八枚の短冊を一気に破く。

「弾幕で押すというのはどうだ!!」

瞬時に、八十人位の兵士が銃を構える。

「撃てえええええええええ!!!」

「っ!!」

「焦るな、暁。任せてくれ。」

「?」

「才能"選別殺人鬼"《Serial killer》」

その瞬間、


銃を構えた兵士達の


首が

「敵は要らない。"選別"する。」

一斉に潰れた。

ぐじゅり、という様な、肉と水を押しつぶす音と共に、

グジャッ、という様な、骨と肉をすり潰す音と共に、

路地裏に、肉と骨と血と付けていたヘルメットの破片が、

一斉に飛び散った。

まるで人の頭をミキサーにかけたかの様な光景だった。

「な、な に?」

二方は、まるで訳がわからない、といった顔をしていた。

それもそのはず、自分の大量の部下が、一瞬で肉塊になったからだ。

そしてその奇妙なオブジェをまるで芸術家が品定めするように、

「うーん。なかなか難しいね、綺麗にやるのは。」

高橋は立っていた。

「何者なんだ貴様はあああ!!」

「うるさいな、叫ばないでよ。」

太陽は沈み、辺りはすっかり暗くなっていた。

その為、二方は彼がどんな顔をしているかわからなかった、が、

「折角、一仕事したんだから。」

二方には分かった、彼は今間違いなく笑っている、と。

もしかしたら自分は、とんでもない狂気の産物を相手にしているんじゃないかと。

確かに暁や、緋乃の才能も恐ろしかった、だが、コイツには別の恐ろしさがある。

まるで善も悪も、光も暗闇も、生も死も、全てがペテンに見える、そんな気がしたのだ。

彼の才能でなく、彼自身に。

(才能だけならつまらない殺人鬼の才能だ。だが何だ?この感覚は?奴はそれ以外の物を、いや、それ以上の物を持っている!どこかで聞いたことがある・・・この感覚は・・一体・・・?)

「そろそろ終わりにしようか。」

「いや、待て。高橋。」

「?」

「色々と聞きたい事があるんだ。生かしておいて。」

「・・・分かった。」

「いつも通りたのむよ。」

「ハイハイ。」

そう言うと、彼は彼自身の才能、赤黒く光るナイフを取り出した。

(奴の才能・・・?何をするつもりだ?)

すると、彼は呟いた。この感覚の正体を。

「才能"息を殺す者《the person who kill breath》"」

(この才能は・・・まさか!!・・・それなら奴の才能にも納得がいく・・・だがまさか・・・奴が・・。)

その才能に二方は聞き覚えがあった。かつての醜悪の象徴。この世界をこんな世の中にした張本人。

「まさか・・・お前が・・"カイン"・・なのか・・・。」

そう呟くと、二方の意識は途切れた。








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