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混沌チートゲーム  作者: 灰狐
3/12

無法地帯を楽しむ才能

「・・・。」

朝四時、目が覚めた。眠い・・・

「どうした、眠たそうだな。」

「・・・誰だ!」テンッ!てかんじの音と共に、頭の上に!が立った。

「あ、私を誰だか忘れた?」

緋乃(ひの)・・・何で?」

昨日、すき焼きパーティーを共にした緋乃崇乃(ひのたかの)がいた。

「あんたこそ何寝ぼけているの?高橋。」

「何って・・・」

「仕事の依頼きたわよ。起きなさい。」

「朝っぱらからかよ・・・てか、どうやって入った?」

「昨日、あんたに鍵を開けとくように“命令”しておいた。」

「マジかよ・・・。鍵開けっ放しで寝てたのか。」

コイツの言う“命令”とは、それは、コイツの才能に他ならない。

「自分に敵意を持たない生物の洗脳・・・“我が闘争”か・・・。」

少し強すぎないか?

「才能はチートな位なのがちょうどいいのよ。それに、あんただって人の事言える?」

「まあな・・・。」

緋乃が靴を履きながら言ってきた。

「条件に当てはまる人間の殺害・・・“選別殺人鬼”だっけ?デス〇ートか」

「あれほど万能じゃないよ。」

そう言いながら、靴を履き終える。

「朝食は“部室”で食べるよ。」

「解ってるよ。」

俺たちが部室と呼ぶのは裏路地の一角にある俺たちの事務所の様なもの。

こんな世界なんだから無論、働かないと生きていけない。なら折角だから私達の“才能”を活かしましょう!

そう最初に言ったのは緋乃だった、そうして出来たのが何でも引き受ける俺達のなんでも屋だった。

メンバーは三人しかいないが、全員才能開花者だ。

「あれ、そういえばアイツは?」

アイツとは三人目のメンバー、年が三つ下の暁深夜(あかつきしんや)の事だ。

コイツは裏路地に居たところを緋乃が勧誘した。どうやら才能が暴走した時に助けたらしい。

「暁なら犬探しの依頼が終わって部室で寝てるわよ。」

「寝てる?」

「徹夜で探し回ったの。」

「・・・。」何でも屋とはいえ、良い依頼ばかり来る訳では無い。

「才能が台無しだな・・・。」

俺は最近の俺達の流行語大賞になりつつある

台詞を言った。

「仕方ないでしょ。なんでも屋なんだから。」ため息まじりにそう言った。

でも、と彼女は言い、俺に笑いかけながら言った。

「今回の依頼は大丈夫!高橋が好きそうな

仕事(ウェットワーク)よ!」

「いや、好きなわけではないが…。」

残念ながら俺の才能は汚れ仕事(ウェットワーク)には向いているのだ。




「貴方が依頼人さんですね。」

部室に着いた俺達は依頼人に会っていた。

「ああ、ボランティアで学校の教師をやっている

二方芭蕉(ふたかたばしょう)だ。」

「へえー。学校ですか。行ったこと無いんですよね。」

「ほう、ならば何処で勉学を教わったのかな?」

「昔居た所の大人の人に。」

「ほう。それは良いね。」

「それで、依頼とは?汚れ仕事とは聞いていますが。」

「ああ、殺してもらいたい人が居る。」

「へえー。教育者が殺人ね〜。」

「私が出来ないから頼んでいるのだよ。」

「で、誰ですか?標的は。」

その時、ガラッ、と事務所のドアが開いた。

「…おはようございます…。」

チェックのシャツに寝巻きのズボン。

暁深夜が起きた。

「あ、深夜君。お客さん来てるよ。」

「…どうも。暁深夜です…。」

「どうも。暁君。」

「…お茶持って来ます…。」

そう言って暁は出て行った。

「さて、標的なのですが、」

そう言って、二方さんは写真を見せた。

「女性ですか…あ、元交際相手ですか?」

「まあ、そんなところだ。」

「そうですか。分かりました。確実に仕留めます。」

「これは前金だ。」

そう言って、二方さんは封筒を出した。

「三十万…もう少し下さい。」

「お小遣いには充分だろ?お嬢さん(レディ)。」

「分かりましたよ。紳士(ジェントルマン)さん。」

「よろしい。ならば、私は帰らせてもらうよ。授業があるのでね。」

そう言って彼は出て行った。

「…あ、お茶…。」

「いらないよ。君の目覚ましに使いなさい。」




彼の姿が見えなくなってから言った。

「良い仕事じゃん。」

「…。」

「緋乃?聞いてる?」

「あ、ああ。聞いてるよ。」

「何か引っかかるのか?」

「うん。まあ、どうでも良い事。」

「あ、そう。」

「…緋乃先輩の“我が闘争”が…効きませんでしたね…。」

暁が梅昆布茶を飲みながら言った。

「ああ!」そう言われれば。

「私の“我が闘争”は敵意のある奴には効かない…つまりあの依頼人は私達になんらかの敵意がある。」

「でも、何故?」

「分からない、でも何かがある。」

「…面倒ですね…。」

どうやら楽な仕事じゃないらしい。

「はあ…面倒だな。」

そう言って、懐から例の短刀を出し、俺は手を振る。

「“選別殺人鬼”」

短刀がハンマーに変わる。

「前から思ってたんだけど、何で〝そればっか使ってるの?〟高橋の才能どうせ〝それ以外もあるんでしょ?〟」

俺の才能は条件に当てはまる相手を絞殺か撲殺するものだ。〝少なくともこの才能は〟

「ん?まあ気に入ってるんだよね、〝この才能〟」

俺には奥の手が有る。まあ、今のところ使う必要は無いと思うが。

この小説に登場する才能には元ネタの人がいます。

我が闘争 アドルフ:ヒトラー

選別殺人鬼 テッド:バンディ

という感じに。


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