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はじめに

アレコレあったものが終わり、しばらくは羽根を伸ばせそうです。自動車の教習があるんですけど。


とりあえず冒頭なので文章量は少なめです。どうぞ



※2014年3月に大幅に改訂しました。


―真っ暗な暗闇の中を俺は走っていた。

どうして走っているのか、どこにいけばいいのか。

目的を考えようとするたびに頭の中はかすんでいき、ただただ焦燥感がまして行くばかりだった。


「はぁ…はぁ…」


肩で息をしていても、足も棒のようになっていても、それでもただひたすら、もがくように走り続けるだけ。

少なくとも、今の俺にとってはそれが唯一のできることだと直感していた。


「うあぁっ!」


もつれたのか、何かに躓いたのかも判然としない。

とにかく俺は転んで、しかも左肘をすりむいたらしく、じんじんとした痛みが伝わってくる。

でも、その痛みのおかげでいくばくか落ち着くことができた。


(まだ、生きてる。…よし!)


そう思い立ち上がろうとした矢先、何かが足首に絡みついた!

ぬめぬめとした感覚と、骨が折れるんじゃないかというくらいの強い力。

俺の落ち着きを吹き飛ばすには、十分すぎるほどだった。


「離せ!このっ!」


絡みついたそれは、俺の蹴りをものともせず、俺を引きずり出した。

ぞぉぉぉぉぉという空気が隙間を縫うような音と、饐えた臭いが次第に強くなってくる。

―食われる。俺はそう直感した。


「やめろ!イヤだ…まだ死にたくないっ!」

『なら手を伸ばせ!』


主さえ分からないその声に言われるまま、俺は手を伸ばす。

すると、世界が白く輝きだした。





「はっ!?」

「にょぁぁっ!?」


『泉八雲』が跳ね起きたとき、どさっと目の前で何かが落ちるような音がした。

彼が目をやると、そこでは級友の『(しのぎ)つくば』が尻餅をついていた。


「いってて~…急に起きるんじゃねぇよ!馬鹿ヤロー!」

「知るか馬鹿。おまえこそ何で俺の席の前にいるんだよ」

「そりゃぁおまえ、うなされてるお前があまりにもみっともなかったからよー…」


八雲は机に突っ伏すような形で、うなされながら寝ていた。

見かねたつくばが起こそうと思ったまでは良かったのだが、普通にゆすっても起きないものだから、八雲の机を引っこ抜こうとしたのだった。


「…みっともなかったから?」

「な、何でもいいじゃねぇかンなもん!それよかおまえ、どんな夢見てたんだ?」


つくばにとっては、ドッキリを仕掛けようとした人が逆にドッキリに嵌ったようなものだ。

逐一説明するのもまたバツが悪いので、言葉を荒げ、話題をそらした。


「夢の話を聞きたがるとか、おまえフロイトにでもなる気か?」

「そうじゃねぇよ。ただ言うだろ?《夢は話すと正夢にならない》って」

「…聞いて面白いものでもないぞ?」


気だるそうに頭を振りながら、八雲は席を立つ。


「どこ行くんだよ?」

「部活。おまえも早く行かないとやばいんじゃない?」

「げぇっ!?もうこんな時間!」


つくばが所属するのは部長が鬼と有名な剣道部だ。

遅刻した人間はとてつもない仕置きが待っていると、一年生はおろか二年生のなかでもまことしやかにささやかれていた。


「俺も行かないと…。八雲!あんま無理すんなよ!じゃ!」


つくばは胴着をもって、ぴゅーっと風を吹かせながら颯爽とかけていった。


「俺も行くか…」


のっそりとカバンを取り出し、八雲も新聞部部室へと足を向けた。

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