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 神楽暦23年七月二十四日。

 カウターブル大陸中央から北西の小国、セルリードを中心に大規模な地揺れがおこる。

 世界最大の大陸であるカウターブルに住まう国家や民族は、その日初めて大地が不動ではないという真実に気づき、恐れおののいた。

 大陸全土を揺らした地揺れは一昼夜にして収まったが、その明け方大陸の三大覇権を握る大国のうち、セルリード王国を緩衝剤としていた大国二国に耳を疑う情報が流れてた。


 『セルリード王国が消滅した』


 だがこの王国消滅という情報は、厳密には間違いがあった。

 正しくは、セルリード王国の首都であるエグレリコスが消えて無くなったというのが事の真実である。

 しかし、過去に例の無い地揺れを経験し実際の現場を見たものにとってその光景は、世界の終わりでも見たかのようなものだったのだろう。

 首都を失ったエグレリコス跡に代わりに現れた物は、面積670.25 km2に及ぶ巨大すぎる大穴だった。

 首都を文字通り失い、王族と呼ばれる指導者を失ったセルリードは簡単に分裂、消滅し内乱状態に陥ってしまったのだ。

 国境に配置された軍や騎士団は、災害と同時発生した指導者消滅に右往左往し、本来の職務である治安維持や復旧作業すら出来ず各地で強盗や殺人が横行。

 しまいには、国や民を護る兵や騎士たちも壊滅しそれぞれ強盗に身を窶し国を捨てていった。

 これを機と、以前から独立を高々に叫んでいた二つの民族が決起し、空となったセルリード王国の覇権を巡り闘争を始めてしまう。

 西の民族ウイグルと、東の民族カルータが始めた内乱による紛争は、後に生まれた地震という言葉になぞらえ旧セルリードの言語から地と揺れるという意味を繋げテレモト戦争と名付けられ後の歴史書に記される事になる。

 地揺れから両国首都に二日後に届いた誤報は、十日後には既に誤報ではなくなっていた。そしてさらに一月が経てば、それは開戦の火蓋を切る戦争開始の合図となった。

 旧セルリード王国とは、西と東の大国を挟んだ緩衝国となっていたのだ。

 西の芸術と盾の大国グレハリア大皇国と、東の軍事国家オールラント諸国連合国の武力衝突を防ぐ朽木の一つとして今まで存在していた。

 代理戦争という言葉がある。

 各々の国家は、内乱をする二つの勢力に息を吹きかけ自らに都合の良い政権を樹立する為、対面の相手と土地を巡ったボードゲームを始めたのだ。

 流される血は所詮他国民のもの。痛くも痒くもなければ戦争需要により儲け話にも繋がるビッグイベントだ。勝てばその政権を傀儡に出来、更なる利益を得る事が出来る。

 だがそんな折、思いもよらぬ出来事がおこる。独立軍戦争をおこしていた両軍は、ほぼ同時期にある希少鉱石の鉱脈を発見したのだ。

 場所は、首都エグレリコスが存在していた場所。当時セメトリテポトワールと呼ばれた、なにもかもを呑み込んだ大穴の内部である。

 

 

 

 


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