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おようふく

オヒサシブリデス……

約四か月ぶりの投稿となります こんな小説でも続きを楽しみにしてくれてる方が……え?いない? あ、痛い! 石投げないで!!

「お客様でしたらこちらの黒いドレスなどお似合いになられると思いますが……」

「いや、旅してるからそういうやつじゃなくて動きやすい服が……」

「そのような美貌を持たれているのにもったいない! ドレスがお気に召さないならこちらの……」


先ほどから同じようなやりとりばかり続けているリオンと女性店員を眺めながらも、頭の中はひとつの思考で占められていた。


(なんでリオンが女に? それに宿屋の主人の言葉も気になる。 あの宿にはおかみさんもいた、リオンが言うように男好きだとは考えづらい。 それにさっきの斧戦士も俺たちを見て「宿で隣だった[奴ら]」と言っていた。 リオンが女になっているにも拘らず複数形だ。 もちろん俺だけを見て判断した可能性もあるが……)

「おいカイン! こいつどうにかしてくれ!」


突然の大声に思考に集中していた俺は一気に現実へ戻される。 声の方向を見るとそこにはリオンがーー


「無理やりこれ着せて買わせようとしてきやがる!」

「お客様とてもお似合いですわ。 お連れ様もそう思われますわよね?」

「うるさい! 似合うかどうかじゃなくて動きやすい服が欲しいってーー」

「その点は大きく入ったスリットで解決していると思われますが……」

「そういうのじゃなくて! オレは普通に……旅をするための服が欲しいんだよ!」


俺の視線の先に居たリオンは絹で作られた、美しい黒いドレスを身に纏っていた。 抑えめの装飾と大胆に晒された肌が高貴ささえ感じさせる。


「似合うな……」


気づいた時には、そう呟いていた。


「は!?」

「ですわよねお客様!」

「お前正気か!? こんなののどこがオレに似合ってるんだよ!」

「ほら、お連れ様もああ仰っていることですしそちらお買い上げ……」

「オレは絶対こんなの買わないからな!」


再び激しい言い争いを始める二人。 ここで俺ははたと気づく。


「……それ、おいくらですか?」


リオンが鬼気迫る形相で俺の方を振り返る。


「おいカイン! まさかこれ買うつもりか!?」

「いや……これかなり上等な素材だろ……」

「……あ」


リオンも気付いたらしい。 二人して店員の言葉を待つ。

店員は微笑んでその金額を告げた。


「こちら72000ゴールドとなっております」


俺は無言で財布の中身を手のひらの上に出す。

「……5638ゴールーー」

「またのご来店お待ちしておりまーす」


その言葉が聞こえた時には既に、リオンは元々着ていた服に着替えさせられ、二人とも店の外に締め出されていた。


「…………」

「…………」

「……カイン、今のこの服したて直せるか?」

「……やってみよう」

「今日もこの村に泊まることになるのか……」

「どうせだし早めに宿に入ってこれからのことを話し合うか……」

「そうだな……」

「「ハァ……」」


二人して見上げた空はうっすら曇り始めていた。


ここまでお読みくださってありがとうございました 次話は……デキルカギリハヤクトウコウシタイトオモイマス

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