朝の問答
かなり久しぶりの投稿となります
水瓶の底からこちらを覗き込んでいる少女はまさに十人が十人美少女と言うであろう美しさを持っていた。
いや、美少女と言うよりは美人と呼ぶべきだろうか
「って、そんなこと考えてる場合じゃないな……」
よく考えると声も鈴の鳴るような音に変わっている。
とりあえず安らかな寝息を立てて寝ている相棒を起こそう。
「おい。カイン 起き――っ!!」
服の裾を踏み、盛大にこける。
顔面を床に思いっきり打ち付け、耐え難い痛みにその場を転がる。
体が全体的に小さくなり服のサイズも合わなくなっていたようだ。
そうこうしているうちに相棒――カインが目を覚ましたらしい。 だいぶ暴れまわっていたせいだろうが。
「ふぁ……、おはよう……リオン 朝から暴れまわってどうし……って、誰?」
「ったぁ……あ、カイン起きたか。オレだ。 リオンだ」
「……は? リオンは女性ではありませんよ?」
「だからオレも混乱してる けどオレは正真正銘、本物のリオンだよ」
「いや、でも、そんなこと言ったって……」
まったく信じてもらえない
まぁ当然の事だろう。
本来のリオンは男であり、今の容姿には一切の面影もないのだ。この状態で、自分は昨日までお前と一緒に旅をしていた男だ、などと言われて信じるほうがどうにかしている。
「それで? あなたは誰なんです?」
目の前の少年の目にはもはや警戒心さえ宿っている。
当然だ。見知らぬ女が同じ狭い部屋の中にいるのだから。
それも、自らの仲間を名乗って。
「オレはリオンだ。 お前と一緒に旅をしているリオン」
「いい加減に――」
「ベルハの村の村長に拾われてそのまま育てられる。 5歳のころ村の中心の噴水でお前と出会ってつるみだした。 この旅に出たのは今年の春だ。 出発直前にお前のバッグの底が破れて大騒ぎになった。」
「え……?」
「これで、オレだって証明になったか?」
「……ホントに、お前、なのか? リオン……」
「最初っからそう言ってるだろ」
カインはいまだに信じられないという顔をしている。
「何だったらお前の家族構成まで言ってやろうか?」
「……いや、いい。 信じる。 そこまで言われたら信じるしかないだろ。」
カインはそう言うと部屋の隅にある椅子に座った
「とりあえず、どういうことか説明してくれ」
最初に投稿したときから書き直しました