表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
剣に選ばれない俺だけが、剣の支配を断ち切れる ――落ちこぼれ剣士と“名剣”の世界――  作者: カクカクシカジカ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/22

第17話 認定試験への道

 剣士認定試験の会場は、剣士養成院の最奥にあった。


 普段は立ち入りを禁じられた区域。

 そこへ続く回廊を進むにつれ、空気がわずかに変わっていく。


(……近づいてる)


 カナタ・シグレは、理由のわからない圧迫感を覚えていた。


 隣を歩くミオ・アヤセも、無意識に歩幅を落としている。


「……静かすぎない?」


「そうだな」


 音がないわけではない。

 だが、音が吸われていくような感覚があった。


 やがて、開けた空間に出る。


 円形の闘場。

 天井はなく、空だけが広がっている。


 その中央に立った瞬間、カナタは確信した。


(ここだ)


 剣士として、選別される場所。


 すでに何人もの剣士が集まっていた。

 その中には、見覚えのある顔もある。


「……レン」


 レン・クガは、少し離れた位置に立っていた。


 腰には正宗。

 抜かれていないにもかかわらず、周囲とは明らかに違う存在感を放っている。


 視線が一瞬だけ交差し、すぐに逸れる。


 言葉はない。


 だが、互いに理解していた。


 ――ここから先は、同じ場所には立てないかもしれない。


 そのとき、闘場の中央に一人の男が歩み出た。


 教官ギンセイ。


 静かな所作。

 だが、その場の空気が一段締まる。


「集まったな」


 短い一言で、全員の意識が集中する。


「これより、お前たちは剣士認定試験に臨む」


 ざわめきが起きる。


 だが、ギンセイは続けた。


「詳細な説明はしない。必要なことは、試験の中で示される」


 冷淡とも取れる言い方だった。


「一つだけ言っておく」


 視線が、闘場全体をなぞる。


「ここに立った時点で、お前たちは“剣士として評価される側”だ」


 カナタは、喉の奥がひりつくのを感じた。


 評価される。

 剣に選ばれない自分が。


「覚悟のない者は、いま引き返せ」


 誰も動かない。


 沈黙の中で、カナタは腰の無銘剣に触れた。


 相変わらず、反応はない。


(……それでも)


 ここまで来た。


 来てしまったのではない。

 来たのだ。


「よし」


 ギンセイが頷く。


「では――認定試験を開始する」


 その言葉を合図に、

 闘場の空気が、わずかに変わった。


 まだ剣は鳴らない。

 まだ、戦いは始まらない。


 だが。


 確実に、扉は開いた。


 カナタ・シグレは、前を見据える。


 ここから先が、剣士の世界だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ