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ハロウィン転生〜結城凛〜外伝「ヒロイン・オブ・プリンセス」〜ストーリー・オブ・エピローグ〜

9話

 その日、人類は初めて目にする。


 人魔の境界線の影が全てパッと晴れ一面が光で包まれている光景を。


 言い伝えでは、勇者が魔王を撃ち倒したその時、勇者の光が人間界を照らし永遠の栄光へと導くのだと書き記されていた。


 誰もが知っている御伽噺が現実になった瞬間、人々は疑いようのない歓声を上げた!


 魔王を撃ち倒した勇者が現れた。


 この世界がまたひとつ平和になった。


 人々は歓喜した後、魔族の残党を狩り領土を広げる為に旧アンダーワールドへ進軍を進めた……


* * *


「デギュが未来視して見たのは、勇者に倒された自分を眺めている君じゃなくて、君に倒されて死んでいく自分の姿だったんだね」


 堕天使アミューズは、魔王デギュスタシオンが消滅した地面を摩りながら物憂げにそう言った。


 グレイスは、しゃがみ込んでこちらを見ないアミューズを見やっては口を開く。


「お友達だったんでしょ?復讐したいとか思わないの?」


 アミューズの性格は知っている6年間も一緒にいたのだ、彼がどれほどデギュスタシオンを慕っていたのかは理解しているつもりだ。


 しかし、アミューズは重いため息をひとつ吐くと。


「ねえ、なんで君はそんなにずっと頭が悪いままなの?馬鹿は6年経っても成長しないもんだ。君はきっと一生馬鹿なままだよ」


 相変わらずの物言いにグレイスはムッとし、何かを言い返してやろうと思ってやめた。


 グレイスは確かに見た。


 俯いてこちらを見向きもしないアミューズの瞳から涙が落ちる瞬間を。


「……アミューズ」


 やるせない気持ちになって近寄ろうとするグレイスにアミューズはバッと白い羽を大きく広げ自身を覆う。


 そして、翼越しに。


「大体!頭のいい僕が6年もの間、君に付き合って特訓してたんだ。僕だってデギュスタシオンが嫌いだったんだ……嫌いだったんだよ。だから、君に倒してもらって清々したってもんさ」


 グレイスはそれ以上、近づいたり何か言うのをやめた。


 少しの沈黙が流れると、アミューズの口から。


「もうここに囚われている必要はないんだ!ほら、さっさとどこかへ行ってしまえ!人間!」


 グレイスは胸に手をやると、アミューズに頭を下げる。


 そして、「ありがとう」と一言だけ言うとその場から立ち去った。


 アミューズは泣いた。


 例え、親しい友が死を望んでいたとしても本当にこれでよかったのだろうかと。


 自分の行いは合っていたのであろうかと。


 弱いアミューズは泣きじゃくりながら、「人間なんて嫌いだ!人間なんて嫌いだ!」と、誰かのせいにする事でしか心を保てなかった。

続きます。

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