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ロキorジャック

 

 黒や紫といった色が混じる光の世界。


 ここに訪れるのは、実に2回目だ。


 家で寝ていたはずだったのだが、いつの間にかまたここへ来てしまっていた。


「死ん……」


「死んでないよ」


 俺がボソッと言いかけた言葉を拾い上げたのは、相変わらずのカボチャコスプレをしたロリっ子。悪戯の神【ロキ】だ。


 ロキを見た瞬間、自然と笑みが浮かぶ。


「それで?なんで俺はここにいるわけ?」


 率直な疑問をロキにぶつけてみる。


 すると、ロキはムフッといい笑顔で。


「いや〜、君をあの世界に送り直して正解だったなと思ってね」


 頭を手の後ろに組んでは、自身の采配に満足しているのだろう。ニヤけた顔に書いてある。


 そんなロキに(やっぱコイツ俺のこと大好きだな)と軽い呆れの気持ちを込めて


「楽しんでもらえてるのなら、何よりだ。それが言いたかっただけか?」


 少し照れの感情も含めて問いかけてみる。


「お話、聞かせてよ。君の軌跡を聞きたいんだ」


「見てきたろ?」


 間髪入れずに言うと、ロキは小さく首を横にふるふると振ると


「君の言葉で聞きたいんだよ」


 そう、満面の笑顔で言ってくる。


「寝る前にお話をおねだりする子供かよ……」


 首をさすりながら俯き、皮肉をこぼす。


 その笑顔の破壊力が凄すぎて、熱くなった顔を思わず背けてしまった。


「どう捉えられたって構わないさ」


 やはり俺の失礼なんぞ、この神様は気にしない。


 その目は相変わらず宝石を散りばめたかのようにキラキラと輝き。


 目に映る俺を期待の眼差しで見つめては、話を楽しみに待つ事しか考えていない。


 俺は、やれやれとため息をひとつ吐く。


 ロキを見ていると、容姿と性格がこれほど似合う奴もそうそういないだろとつくづく思わされる。


 そんな純粋な眼差しで注目され続けるのは、大の苦手だ。


「あー、んー、………それじゃあ、、、……!!」


 うーん、と頭を捻らせていた時に降りてきたひらめき。


 やっぱり俺に受け身は似合わないようだ。


 俺はニヤッとロキに笑顔を向ける。


「?」


「じゃあ、俺がスキル狩りを始めたきっかけになった話をひとつ」


「!!」


「それは、とあるメイド姿をしたゴーストとの出会いだ……」


「オェ……やだそのお話!」


 分かりやすく、舌を出して顔をしかめるロキ。


「お前が話聞きたいって言ったんだろ?」


 俺はニヤニヤしながらロキに言う。


「別にいいんだぜ?お話しなくても」


 ……俺にとっても苦い話に変わりはないからな。


「ぶぅ……」


 頬を膨らませて不機嫌をこちらに訴えてくる。


 どこまでも子供っぽいロリ神だ。


 それでもロキは、頬を膨らませたムゥっとした顔のままでも、三角座りしてこちらを見上げてくる。


 ニヤニヤが止まらない。


 可愛いを愛でたいとか、側に置いときたいとか。そういう感情を持ってる奴は多いだろうが。


 俺は断然、意地悪をしたい。


 可愛い顔を歪ませるのが大好きだ。


 そういう意味でも俺は、魔族側の方が性に合っていたのかもしれない。


「それじゃあ、ご清聴願おうか」


 いい気分。優越感に浸りまくりだ。


 それに、この反応を見ると[やっぱりコイツ俺のこと大好きだな]って心から思えて安心するんだ。


続きます。

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