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転生or地獄

連続投稿します!次話は今日の夕方17時ごろ投稿予定です。


「うーん……勇者として欲しかったのは、この2人だけなんだよね」


 笑えない。

 茶番もいいところだ。


「キミは魔物側にでも行ってもらおかな?まあ、せいぜい頑張って生きなよ」


 本当に笑えない。

 俺は顔をひきつらせながら目の前にいる女神を見る。


 幼なじみの姉妹の肩に手をのせた、金髪サラサラのナイスバディ女神様は、それはそれは明るく嬉しそうな笑顔でそう仰った。


 ……まじでふざけんな


 荘厳な光の世界。


 こんなに光ってるのに眩しくもなければ、俺を含めた全員が白飛びして見えにくい事もない。


 女神様が金髪なのに丸ハゲに見えないのがいい証拠だ。


 いや、そんな冷静に世界を観察できる状況ではないんだけど……


 俺たちは死んだ。


 幼なじみで5歳歳上の双子の姉妹。


《“結城 凜”(20)黒髪サラサラストレート眼鏡の胸控えめ優等生》


《“結城 蘭”(20)茶髪サバサバ脳筋ゴリラの胸大きめスポーツ女子》

 

 双子の姉妹に渋谷のハロウィンに荷物持ちとして連れ出されたのが事の発端だった。


 仮装に着替えるためにとったビジネスホテルで、思春期真っ只中の男子中学生に刺激たっぷりの痺れるような体験をさせた2人の女子大生が原因で、俺は今ここにいるわけだが……


 先程からチラチラと双子の胸元に目線を運んでは頬を赤くさせているムッツリ女神様を見て少し引きつつ、


「……なあ、勇者にしろとか贅沢な事言わないからさ。せめて人間側にしてくれよ女神様ぁ〜。2人のサポート役かなんかで転生させて、凜と蘭が魔物倒したお金で生きてくみたいな!」


「はぁ!?なに堂々とニート発言してんだこのチビ!」


「やめなよ、蘭。この子の性格は死んでも治んないっておばさんが言ってたでしょ」


 すげ〜、母さんの言ってた事あってるわ。と、感心していたところ、


「ごめんなさいね〜ぼく。まだ15歳の子供にこんな事言うのもなんなんだけど……」


 困ったように頬に手を当てて話してくる女神様。


「あなた、ずっと悪戯しては他人に迷惑ばかりかけ続けてきたでしょう?だから、天界の決まりで人間側には転生させてあげられないの」


「……」

「当然ね」

「自業自得、神様はよく見てるわ」


 2人がうるさい。


「もしも、転生が気に入らないのなら死後の世界で過ごすって方法もあるけれど」


 女神様の提案に俺は表情をパッと明るくさせて


「あ、じゃあ。そっちで!むしろそっちが良いですお願いします!」


 即決即断の俺に女神様はフフッと微笑んで


「でもね。その場合、行き先は地獄で罪を償う為の過酷な場所に身を置く事になるけどそれで良い?」


 女神様の発言に固まった俺を他所よそ


「まあ、当然よね」

「自業自得、地獄で根性叩き直してもらったら良いわ」


 2人がほんとうるさい!

 てか、女神様も俺の地獄行きになんで笑った?


「クソッ、俺に味方はいないのかよ!」


 俺は俯き唇を噛みしめて涙を堪えて嘆いた。

 

 すると、


「まあ、事実。アンタのせいで私たち死んだようなもんだしね」


 蘭のおそらく冷たい視線に俺は心臓がドッとはねた。


「……シャワー浴びてるとこにカメラ持って入ってきたと思ったら、コードに足引っ掛けてドライヤーごと浴槽に突っ込んでくるとか人間地雷もいいところ」


 凜の言葉で冷や汗が止まらない。


 噛んでいた唇から血が出てきて鉄の味がじわっと口の中に広がる。


 …………気がつけば俺は自然と床に手をついて2人に対して土下座をしていた…………


「……ほんと、申し訳ございませんでした」


 思春期の男子中学生からしたら、薄い壁から聞こえてくる女子大生のキャッキャ、ウフフ、な楽しそうな声も、バスルームから漏れる甘く爽やかなシトラスの香りも刺激的すぎた。


 ……あと、ネットで売れそうな女子大生のグッズを拝借はいしゃくしようとかも実はあった。


 そのあと刺激たっぷりの電撃ショックで死んだというお粗末な結果になったのは、たまれないが……


「はい!そんなわけで地獄行きで良いわよね?だって事故とはいえ、人殺してるんだし!」


 だからアンタは、なんでそんな嬉しそうなんだよ。


 謝っても、凜と蘭が全く許す気のない目でこちらを見てくる。

 どうやら、本気で庇ってはくれなさそうだ。


 俺は指で目頭を押さえてから


「……ッふぅ、魔族側に行きます。いえ、行かせてください」


 納得がいかない。


 それでも、声を枯らしながら女神様に懇願した。


「わかりました。新たな道を歩むあなたに祝福を」


 祈る姿をして薄っぺらい言葉を吐く女神様を俺は鼻で笑う。


 俺が魔族側へ行く事が決まって場がひと段落すると、女神様は何やら身体をもぞもぞし始めて


「で、では本題である、あなた達2人についてなのですが!」


 女神様は、(待ってました!)と言わんばかりの嬉しそうな顔を2人に向けると、目の前にいる俺になんの配慮もせず堂々と凜と蘭の唇を奪った。


 いきなり女神様が発情してこんな行動に至った訳ではない……多分ない。

 これは勇者になる前の儀式のようなものだ。


 ムッツリ女神様とキスする事によって女神の寵愛を受けた事となり勇者はチートスキルを獲得するらしい。


 女神様が何度も「やましい気持ちはないから、仕事だから」とキャバクラ行った妻子持ちサラリーマンみたく説明してくれた。


 ちなみに。


 なぜか、凜とのキスが長かった。

 キスが終わったあと、手で口を抑えた凜の息がなまめかしく漏れては、頬っぺたがほんのり赤くなっていた。


 どうやら、女神様は凜が好みのようだ。


 女神様にキスされ、とろんとした表情をしている2人の姿を見て息をつく。


 女神様にキスされていいなと思っていたわけではない……断じて違う。


 俺が魔族側に転生することを拒んだ理由……


 それは、凜と蘭が魔族を討つ勇者で俺が討たれる側の魔族になるからだ。


 さらに向こうは、神様からの寵愛を受けたチートスキル持ち。


 俺は、魔族側だから女神の寵愛もなし。この身ひとつで転生するしかない。


 勝てる見込みゼロ。無理ゲーもいいところ。


 転生して、また新たな命を宿したかと思ったのと同時に、目の前にいる幼なじみに殺される運命を背負ってしまった。


 お互いに殺し合ってこれでおあいこ。チャラだ。


 ……なんて考え出来るわけないだろ。こちとら善人じゃねーんだよ!


 幼なじみに殺される事が前提の異世界転生。


 ほんと、茶番もいいところ

読んでいただきありがとうございました!

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