表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

88/186

馬上戦闘(対人)

総接続数が16万を突破しました。いつもご愛読ありがとうございます。

これからもずっと頑張っていきますので、どうかよろしくお願いいたします。

 なんだかどっと疲れたような気がする、そこまで俺ってあいつ嫌だったのだろうか。思い返せば家ゴキブリには悪い思い出しかなかったからな。朝起きたら俺の枕の横で、やあおはよう顔でも洗ってきたらとでも言わんばかりに俺の顔を覗いてきたワモンゴキブリのせいだろうか。それとも友人のいたずらでガマグチ(ゴキブリの卵のうのこと)をカマキリの卵のうと取り換えられてることに気づかず、春先に孵るのを楽しみにしていたら虫かごに大量のチャバネゴキブリが湧いたことだっただろうか。

 やっべ、結構あるじゃん。そりゃあゴキブリに対する苦手意識も付きますはな。だからさダンゾー、ちょっと俺にくっ付くのはもうちょっと後にしてくれないか。

 そうやってダンゾーを置く位置を試行錯誤していると、向こうから砂埃が舞っているのが見えてくる。何かと戦っているようで、馬に乗った男たちが画一的な装備に身を包んだ屈強な男に追いかけまわされている。

 「俺が何したってんだっこの人形共がっ。」

 追いかけられている男たちが口々にそう揃えて叫ぶ。ああ、あいつらプレイヤーか。じゃあ後ろから追っかけているのは騎士団か、このゲームで口悪い奴らがNPCのことを人形と言っているのはこの前知ったからな。

 「お前たちには強盗殺人に罪器物損壊、名誉棄損で手配されている。それが理由だ。」

 つまり現実じゃないからってハメ外しまくってNPCのこと殺しちゃって何なら家もぶっ壊して各々口々に罵ったという訳か、我ながら頭の回転速いな惚れ惚れするぜ。

 ただなぁ、あいつらなんかこっちに向かってきてるんだよな。加勢するならどっちかな、まあ普通に考えるのなら騎士団だけどもな。でもなぁ、意外とあいつら狡いことするからな。もしかしたら虚偽の可能性だってあるしな。

 「おい邪魔だどけクソ。」

 おいおいなんて口の利きかただい坊主、なって無いな全く。声の特徴からして声変わり前の二次成長期前、善悪に関して最も無頓着な時期だね。俺の偏見かもだけど。

 だが数が多いな、ここは一回横に逸れて騎士団を援護する形で突いていこうか。いやなんかそれ面倒くさいな、真っ向勝負しようぜ。まだしまっていない槍を担いで前進命令を出す。まずは一番端っこにいるお前だ。まさか自分が攻撃されるとでも思っていなかったのか驚いて武器を構えるが穂先が体に刺さって落馬する。はい一人、次は誰かな。

 速度を緩めてさっきの馬群を追うように旋回する。騎士団も俺が加勢することが分かったからか右には展開せずに左回りで追い詰めようとする。はいはい、右を突いていけばいいんだね。

 「おい、何でプレイヤー攻撃するんだよっ。人形共殺せよわけわかんないよ。」

 「俺からすれば殺人に強盗、その他もろもろやっておきながら自分がやられること想定していないことの方がわけわからんよ。」

 はいまた一人、こいつらレベル上げてはいるんだろうけども何だろうか、技量が無い。力こそパワー、筋力で今までどうにかしていたんだろう。だってさっきから見え見えの隙に乗っかってこようとしてそのまま切らないでも落馬させられているんだもん。

 「お仲間さんどんどん減ってるけど大丈夫かい、ここらで一旦捕まったらどうだ。」

 「うるせえじじい!」

 俺まだ20代なんだけどなぁ。世間一般からはおじさん言われることもあるけども、まだ流石にじじい言われる年じゃないんだよな。あ、これが語彙力の無さ故の中身のない罵倒と言う奴か。なんやかんや今まで無かったから分からなかったよ。

 「はいはい、そうイキらないで。」

 そう言って槍を振る。あれ、この子はしっかりしているな。ちゃんと槍を受け止めないで逸らそうとした。ははーん、さてはそういった力に溺れてなんでもできそうになったんだな。

 そうだな、石突で馬を押して落馬させるのもいいんだけども、多分窃盗ってこの馬のことだろうし下手なこと出来ないな。

 後ろをちらっと見る。さっきまでそれなりにいた数はほとんどが捕まり辺りにいるのは鎧に身を包んだ騎士のみである。

 もう時間の問題だろうしここらで戦闘訓練とさせてもらいますか。

 「偃月」

 かける言葉なんてもう要らないでしょ、半月状の軌跡を描いて槍を振り下ろす。馬に当てないように細心の注意を払っての行動。相手は受け止めようして弾かれる。馬もその衝撃で態勢を崩して減速する。

 「クソっ何でだよ、何でなんだよ。リベンジスラッシュっ」

 知らないスキルだ、何か赤黒いオーラを剣に纏わせて振りかぶって来る。でもさ、その攻撃リーチ差のこと考えて無くないか。大振りになったその腹に一発入れ込んでやりますか。

 「速突、色々と甘かったね。」

 着ていた局所を守るアーマーを貫いてそう言う。大蜘蛛の毒が入りこんだだろうからもう確実に動けんでしょ。想像通り、そのまま落馬して倒れこむ。

 「うーんあまり練習にならなかったな。」

 やっぱ今度コナラさんにお願いして馬上訓練に付き合ってもらおう。


ブックマーク、評価、感想ありがとうございます。

まだの方はどうかお願いいたします。また誤字がありましたら連絡していただけますと幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ