エゴ
このタイトル見覚えあるぞって方、大正解です。
はい、本当にすいませんでした(再投稿)。
「コナラさん、何であんな場所に連れてきたんですか。」
馬を買うにしても何故あんな場所にという意味を含ませて話す。正直気分のいい場所では無かったし、ゲームでありながらも世界であるという現実に引き戻され、一気に幻想が失われた。コナラさんは責められないだろうけども、でも何故あそこなのか。
「ただのエゴ、あそこに行く子はただ殺されるだけだから。」
そう言われてしまうとなにも言えなくなってしまう、確かにあそこで買ったからこの子は救うことができた。でも救えるのはこの命だけだ、すべてじゃない。やらない善よりやる偽善だと言うが、これではあまりにも後味が良くない。カグヤと長くいた弊害なのだろうか、NPCへの感情移入が凄まじいことになっている。もうすこし割り切らないといけないのかもしれないな。できる気がしないけども。
「ごめん」
はー…、なに謝らせてるんだ俺、傍から見たらすっげえダサい奴じゃんか。現実にある事を見せられて受け入れられなくて、それを他人に当たるなんてさ。
カグヤの教育に悪いのはもしかしたら俺かもな。
「…いえ、謝らないでください。受け入れられない子供みたいな癇癪ですので。」
カグヤを馬に乗せる。おお、目を輝かせている、楽しいのかな。こう見ると良い所のお嬢様のようだ、俺が人攫いに思われるのもまあ仕方がないか。
「そういえば、飼い葉ってどうしているんですか。」
さっきからまた出歩いてるとふと思ってしまった。馬にとって一番大切なメシ、飼い葉に関しての処理についてはどうなっているんだろうか。このゲームのことだから設定されているだろうしな。
「基本牧場から仕入れているとこだったり宿屋で売っている。もしくは外で食べさせてあげれば大丈夫。」
ぶるると鼻息が横から飛んでくる。腹が減っているのだろうか、飼い葉にメシという言葉に反応したようでこっちを見てくる。ただ、その目は相変わらず死んでいた。4歳未勝利、この世界に勝たないことで好かれる馬がいないなら、この子は恐らく相当の罵声を今まで受けてきたはずだ。
「どうやらこの子お腹空かせているみたいですし、飼料買いに行っても。」
「わかった、丁度私の馬も餌の時間のはずだから、一緒に食べさせる?」
そう言って歩き出す、どんな馬に乗っているのだろうか。栗毛だろうか鹿毛だろうか、それとも白馬なのか。因みにさっき買った子は青鹿毛で真っ黒、かっこいいな、目が死んでるけど。
「ここ、私が今使っている宿屋。」
ああ、俺らが昨日いた宿屋と比較すると犬小屋と一軒家の差だ。もちろんこっちが一軒家だ。でかい、ただただでかいんだ。こんなところに入るの、新人研修でハワイに行った時に泊まったホテル以来だよ。
「馬はこっち。」
横の厩舎を指さす、おい厩舎もでかいじゃないか。さっきの表現は正しくないな、犬小屋に一軒家、そして本棟はマンションだ。
「おやコナラさま、ご友人ですかな。」
ホテルの従業員のように小奇麗な格好をした使用人が出てくる、やっぱここ高いんだろうな、従業員の質でよくわかる。
「この人の馬にも餌を与えておいて欲しい。」
「ええ、承知いたしました。」
そう言って手綱を受け取りに来る、さあカグヤ降りて、この子のご飯の時間だからさ。
うちの馬が一頭の隣に泊められる、真っ白な毛並みの馬だ。あれがコナラさんの馬なのだろうか。
「あの馬がコナラさんのですか。」
「私のというよりクラン所有の馬。私が普段使いしている子は今団長が使ってるから。」
団所有の馬がいるのか、だったら俺が馬買う必要あったのだろうか。いやあったな。俺まだ本拠地行けないしどうやっても馬を受け取りに行けないしな。
「あれコナラさん、そいつが新人すか。」
そう会話していると後ろから声を掛けられる。男の声、しかも若いな未成人だろう。
「ええそう。この人がクヌギさん。」
「あやっぱり。俺フソウ、よろ。」
「ええよろしく、クヌギです。」
結構ノリが軽いタイプだな、まあ苦手ではない。ただ少し人となりが分かっていない状態でこんな態度だと少し他人をムカつかせるな。流石に言葉使いがなっていないような。
「すっげ、初対面でムカついてない。」
自覚あるのか、自覚あるタイプのそう言う奴は結構危ないぞ。人を選べるのは学生までで、社会に出たらもう選ぶことができる立場じゃなくなるんだからな。まあ何言っても聞かないだろうしここゲームだし。
「とにかく次のミッション頑張りましょうね。」
握手を求められる。なんだろうな、多分性根は良い子なんだろうけどもどこか抜けている子なんだろう。ちょっとその軽い言動直せば全然初対面でも良くなるというのにな。
まあ後4日、その間に人となりを知っておけば大丈夫だろう。
こんなヘマする人ですが、どうか評価ブックマーク感想お願いします。




