報告
祝!ユニーク数1万突破!
この作品も一万人の方に見ていただいたんですねぇ。
これからもよろしくお願いいたします。
「どうしたものか。」
団長はまた唸る。今回は少しいい意味での悩みがもたらされたのだ。
新人が蜘蛛のイベントに新しい選択肢を見つけた、しかも今まで表舞台に出てこなかったためにその正体が一切闇に包まれたままだった夫人と戦闘をするといった、先導者が聞いたら絶叫してのたうち回り、泣いてその方法を請いに来るだろう。今まであのイベントで確認されていたルート分岐は三つだけだと思われていて、最適解がもう存在したと皆が安心しきっていたからだ。
三つのうち一つは失敗ルートと呼ばれるものだ。村で受注できるクエストを一定回数失敗することで発生するイベントで、そもそも蜘蛛屋敷に招待されず村からも追放されて終わるといった何も旨味もクソもないルートだ。
二つ目は従魔を連れずにクエストをこなして蜘蛛屋敷を訪れるだ。これは簡単で、屋敷内にいる蜘蛛の撃退といったクエストで、確率で斑蜘蛛の装備を落としていく。だが撃退できる数に限りがある、斑大蜘蛛シリーズはドロップしないといった制限が生じる。
結果不味くは無いけどわざわざこっちを選ぶメリットが無いというのがこの第二ルートだ。
そして最後に、従魔を連れて屋敷に招待されるルートだ。この選択が最もオーソドックスで、仲間を見つけない限り蜘蛛装備を集めることができる。さらに中盤はこれだけでいいと言われるぐらい優秀な斑大蜘蛛装備をドロップするようになる。
そして何よりも、従魔の種族ごとに幽閉されている部屋が決まっているので装備集めもしやすいし、回収も楽だ。結果このルートを通るのが正解と各地で言われるようになった。
「今回のルートは概ね第三とそう大差がない。がしかし…」
一番大きな点がある、夫人との戦闘だ。確かに別の所にいるはずの自分の従魔が連れていかれることも結構な問題点だが、今まで姿を見せなかったNPCが姿を見せ、尚且つ戦闘も行ったという方が大多数のプレイヤーにとって衝撃的だろう。
今回勝利することが叶わなかったが再戦が可能。彼だけが踏み込めるようだから私たちは介入できない。
「だが原因は不明……。」
いや、実際は気づいている。キーパーソンは彼の従魔のカグヤというヒトガタ。今までヒトガタの従魔化の報告は無く、あのイベントに連れ歩いて参加したのは彼が初めてだった。
初心者は誰でも入れるし、過去に蜘蛛を連れて行ったものもいる。彼にあって今までの挑戦者に無いものはたったそれだけなのだから。
「これは公表すべきかどうかだが。」
公表した場合のメリットはあまり見込めない。まずクリア報酬がどうなっているのかが不明だ、その状態で公開したとしてもデマ扱いされて信用を落とすだけだ。
それにヒトガタ入手の為に迷惑行為を繰り広げる奴が出てきてもおかしくない。譲渡機能目当てに強請ってという事件が起きたら目も当てられない。
「要検証案件としてクラン内にだけ公開するとしよう。」
彼以外にヒトガタを確保できるようになったのが出れば、検証は可能になるはずだ。
さて、新人がでかい情報拾ってきたんだ、先輩が良い所見せないとな。
「各員に通達するっと。」
次の目標が定まった。至急メディウスに集まるように、特に虫班。
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