クヌギ、大地に立つ
祝:総合PV300突破!
着々と増えています。嬉しさ五月雨の如しです!
土の香りがする。冷涼で爽やかな風が頬をくすぐっては通り抜けていく。その風にのって運ばれてきた青臭い草花の香りがここを現実だと脳をさらに誤認させる。
「凄いな。」
試しに足元に生えている草を引っこ抜いてみる。葉の瑞々しさと土が手に付着したこそばゆい感覚、いつも感じるあの感覚と遜色ない再現性に別世界に来たんじゃないかと思ってしまう。それぐらいこの世界はリアルだった。惜しむべきはこれを表す言葉が現実そのものだという語彙しか思い浮かばないことだろう。
「質感から風、匂いまですべて現実みたいだ。」
後ろを振り返ってみる。緩やかな斜面になっており、のどかな草原が続いている。前に目を凝らす。少し離れたところに村のようなものがある。あれが最初の村的なやつだろうか。
「そういえばステータス画面確認してなかったな。」
チュートリアルですっ飛ばしてしまったことに今更気づいた。
「ステータスオープン」
青白いパネルが現れる。覗き込めばそこに自身のステータスが表示される機能だ。
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名前:クヌギ Lv.1 職業:戦士
生命力(体力) 14 +2
精神力(魔力) 5
持久力 11
筋肉(筋力) 17
技量(器用) 8
耐久力(防御) 10 +4
敏捷(速度) 8 +1
運命(幸運) 7
スキルポイント:1
スキル一覧
無し
装備
武器:青銅の剣
頭:傭兵の鉢巻き(生命力+2)
胴:傭兵の皮鎧(耐久力+3)
腕:無し
足:傭兵のブーツ(耐久力+1、敏捷+1)
装飾品:無し
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閲覧一番の感想はステータスの比較をしておけばよかった、これに尽きる。何がフィーリングだ、どれがどう違うか分からないのは結構不味いぞ。数十分前の俺を殴ってやりたい。何が高くて何が低いのか一切わからないとか、滑り出し絶不調ではないか。
そういえばお前キャラメイクはどうしたって?野郎のキャラメイクなんて見ても面白いもん無いぞ。現実だと髪染められないから明るい赤毛にして目も濃い赤にした、それだけだ。
閑話休題。
分からないもんは仕方がない、後で掲示板見るなりして考えるしかない。とりあえずすべきことは前進して村に入る事だろう。まさか正解は後ろの道まっすぐなんてことないだろうし。
最低限道とわかる押し固められた土を歩く。ついこの前帰った実家を思い出す、車の通る道を除けばこんな道がまだ結構ある、そんな場所だった。
しかし景色がいい。緑の絨毯の先には林が見える。村の奥と考えるとあそこから木材を調達しているのだろうか。人が手入れしている林であるならば昆虫もまた生育しやすい環境だったりする。名前元のクヌギの木は人の手が加わらないと野生化で数を減らしてしまう木である。理由は陽樹という日光を多く必要とする樹木の性質にある。他に成長した木があると生えなくなる。それがクヌギの木なのだ。ただ雑木林か杉林か、後者に甲虫はあまり付かないのだが。
「杉林なわけないだろう、日本の山じゃあるまいし。」
期待と不安を入り混じらせながら歩幅を大きくする。
村まであと数百メートル。
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