24時間の舞踏会
予約投稿に成功したので今回も予約投稿です。
いつもご愛読いただき誠にありがとうございます。
本作は終点、最終話に向けて着地点を探していますが、見つからないので当分終わらなさそうです。
これからも本作をよろしくお願いいたします。
エントランスに入る。薄暗く、必要最低限の光源しか確保されていない。まさかマジでホラー路線なのか。
そう身構えているとコツコツと足音が聞こえてくる。奥の闇からヌッと出てきたのは初老を迎えた辺りの白髪の爺さんだった。
格好からして執事さんだろうか、燕尾服着てるし。
「当館へようこそ、クヌギ様。広間で皆さまがお待ちです、私に付いてきてください。」
しわがれた声でそう言ってくる。そしてそのままこちらのことを考えずにまた来た道を進んでいく。
ぼうっとしている場合ではない、ついていかないと。慌てて執事の後ろをついていく。
しっかし何でこう洋館って廊下がこんなに長いんだ、外観だけでもそう思えるぐらい長いのに。
爺さんは見た目以上に速い、一切こっちのことなんて考えていない速度で歩いていく。
罠クエストとは知っているが、流石にこれは露骨すぎてここで皆気づくだろ。
三分程歩いてようやく広間にたどり着く。一体何が待ち受けているのだろうか。
「どうぞ、お入りくださいませ。」
老人がドアを引いて入る事を促してくる。まあ入るしかないなもう。
「ダンゾー、覚悟はできたか。」
小声で肩に乗るダンゾーに囁く。オッケーらしい、足で俺を突っついてくる。
「失礼します。」
そういって中に入る、瞬間後ろのドアが勢いよく閉まる。ですよねー。
お約束の展開が来たとある種の感動のようなものを覚えていると、何処からともなく小型の蜘蛛がワラワラと現れだす。
出迎えムードじゃなさそうだ。だって飛びかかって噛もうとしてきたからな。
「なるほど、この洋館自体がお前ら蜘蛛の巣ってことね。」
槍を構え先ほど習得した技で遅い掛かる。
「さあお披露目だ、風車。」
一回転二回転三回転、風車のように横薙ぎに槍を回転させ切り刻む円弧の上位互換スキル。蜘蛛は穂先に当たっては死んでいく。
一匹一匹の戦闘力は極端に無い。しかし
「やっべ、噛まれた。」
このように掻い潜っては噛みついて毒で攻撃してくる。これも一匹だけならそこまで脅威は無いのだろうけども一斉に襲い掛かれたら、ハムナプトラのようになりそうだ。
案の定、俺らは蜘蛛に覆われ振りほどけなくなる。
「クッソお前ら、離れろっ」
床に押し付けて振り払おうとするが、地面に着く寸前にその部位から離れていく。頭がいいなこいつら。
どれだけ纏わりつかれていたのか、途中から噛まれなくなって不審に思っていたが程なくして蜘蛛が体から離れ始める。
「一体何だったんだよこれ。」
あれか、これされている間に従魔が連れてかれるとかなのか。じゃあさっさとダンゾーを見つけないと。
離してしまっていた槍を拾う。するとその穂先に手のひらサイズの蜘蛛がいる。
「ってダンゾー、何でまだここにいるんだ。」
紛れもなくそれはダンゾーであった、名前の表記も出てるし。
今のイベントは全くの別物なのか、そう思っていると何処からか声がする。
頭に直接語りかけているようでとても気持ち悪い。
『ふふふ、楽しんでもらえたかしら。』
「あれを楽しめるのはよっぽどの蜘蛛好きか変態だよ。」
流石にあそこまで集られるのは気持ち悪くていけないな。ゾワゾワするぜまったく。
『中々いい子を連れているじゃない、私妬けてしまいそう。』
なんだこいつ、見も知らない相手に嫉妬しているぞ。うちの子に嫉妬してもらえるのなら嬉しいね。ところでさっさと面見せな。
「聞いた話だと従魔連れていくらしいじゃん。でもダンゾーここにいるぜ。」
ちょっと挑発、何やってるんだって感じでね。
『ええ、その子はいいわ。蜘蛛なんていっぱいいるもの。』
どういうことだ、従魔を連れていくことが条件じゃないのか。蜘蛛駄目って流石にひどくないか。
『だからね、貴方の大切な娘さん、貰っちゃった。』
「は?」
どういうことだと思っていると部屋の壁に映像が投影される。
蜘蛛の巣だろうか、大量の蜘蛛糸で部屋が覆われている。そんなことはどうでも良くなる情報も一緒に飛び込んでくる。
カグヤがその巣に絡めとられている。どういうことだよ、だってここにいないのに。
『ふふふ、精々必死に足掻いて探すのね。じゃないと殺してしまうもの。』
頭が真っ白になる中で、狂気のクエストが今始まるのであった。
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まだの方は、してくださると幸いです。
あといつも誤字、誤改行の報告ありがとうございます。確認が足りずご迷惑をおかけしています。




