死すら生温い祝福をあなたに。
ランキング再浮上感謝!
そして祝!5万5千PV 感謝!
「もう手加減なんてしないわぁ。完全に辞めたくなるぐらいぐちゃぐちゃにしてあげる。」
向こうのスイッチが入ったらしい。最初からやる気じゃないとか刺客として失格だな。
いやそれで助かってるんだけどね。
「いいのか、手加減しないと速攻で倒れるぜ。」
「スキル手加減は継続よぉ。ただ本気で攻撃するだけ」
…やはり潜在的な部分で俺を、俺たちを舐めてる。もうカグヤの準備は整った。
踏み込んでくる、その攻撃をわざと受けその手を掴む。
「……なんのつもりかしら。」
呆れた顔をしている。そうだろう、こっちの事情を知らなきゃただの自殺行為だもんな。
「今だカグヤ、やれっ。」
瞬間、辺り一帯に憎悪が満ち溢れる。足元から鱗粉とそれに混ざった祝福が俺を、奴を包み込んでいく。
慌てて俺の手を振り払うがもう遅い。お前は既に吸い込んだ。
「…何これ、何ともないじゃない。」
ああ、そう思うだろうな。まだカグヤの本質はここからだからな。
辺りに風が吹き舞い上げられていく。無警戒の奴はそれを肺一杯に吸い込んでいく。
「あら?あらあらあら?」
麻痺、今回の毒は筋弛緩の毒だ。力を入れることが出来なくなり、なすすべなく倒れる、そういったものだ。まあほんの少しは動けるんだがな。
「なーんだ、毒だったのね。だったら回りきる前に殺らなきゃぁ。」
かかった、もう遅い。お前が出来ることはただ一つ、逃げるだけだったのに。
「……へ?」
腕が宙を舞っている。オカマの腕の半ばから黒い液体が滴り落ちている。それは地面に吸い込まれると蟲となって奴の足へと歩みを進める。
「ぎゃああああぁああいたいいいいいいたいいい」
どうやら痛覚を切っていなかったようだ、腕が捥げ内側から溶かされる激痛を一身に味わっているようだ。
「お、おおお前、い、一体何をしたっ。」
「おいおい、ロールプレイが剥がれてるぞオカマ。」
それにほいほい手の内明かすかよ、お前じゃあるまいし。
発生した呪いの塊である蟲は足の指先を、腿を、体のあちこちを貪り喰らい始める。ここまで強い呪いだとは思ってもいなかったが、まあ結果オーライだろう。
「まあ人に苦痛負わせたんだ、しっかり味わってくれ。」
オカマはずっと叫び続ける、痛みと俺への恨みを。その呪詛が、その負の感情がより蟲を活発にする。下半身と両腕が無くなった、それでもまだ生きている。
「な、なんでぇ、何でリスポーンしないのぉ。なんでいたいのぉわけがわからないぃぃ」
カグヤの呪いの本質は祝福だ。祝いを転じて呪詛にしているに過ぎない。いわば今奴は祝福を受けているのだ。祝福の途中で死ぬ者がどこにいる。
それに痛いのは当たり前だろ。いや待て、まさか痛覚切ってたのかあいつ。
それだったらすげえ小物だなこいつ、安全地帯でイキってたのかよ。
そんなこと考えていると、ダメージが抜けたのかぴょこっと跳ねてダンゾーがこちらに向かってくる。そしてオカマを見て引いている。まあそうなるはな。
遂に胸部まで食い荒らされたが、良かったなグロ描写抑えておいて。あったらここ内臓まみれだっただろうし。
「最初から手抜いてなければ俺殺せたかもな。」
首を、口を食われたからもう声も出せないのか、痛みと恐怖に染まった目でこっちを見てくる。介錯してほしいのか
「まあ遠慮するなって、最後までじっくりと味わいなさい。」
目が食べられていく。どんな感覚なのだろうか、もう暴れることすら出来ない頭を揺らそうと頬を頑張って引き攣らせている姿を見るとうすら寒さを感じる。
「あばよ、もう二度と顔を見せるな。」
聞こえているだろうか、最後の肉片になる前にそう言っておく。
「カグヤ、ありがとうな。」
正直カグヤがいなかったら確実に負けている戦いだった。ダンゾーでも俺でもない、カグヤがMVPだ。ご褒美に今度何かあげましょう。
カグヤは褒めて欲しそうに頭を差し出す。その柔らかな髪の頂点をゆっくりと撫でていく。
目を細めて嬉しがってくれる様を見ると、またもや父性が湧いてくる。
さて村に戻ろうか、いや待て俺何か忘れてないか。
「あ、ゾンビの討伐クエスト」
やっべ、早くやらんと。なでなでを一時中断、さっさとクエストをクリアしよう、ご褒美の続きはやっぱその後で。
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