チュートリアル(前編)
ようやく、チュートリアルなのだ。
「チュートリアルステージへようこそ、プレイヤーさん。」
ふわっと着地。見るんじゃないよニュー〇、俺は少し吐きそうだ。
「まず初めに保護機能の設定をさせていただきます。」
保護機能、フルダイブに移行してから問題となったトラウマ量産に対する解決策の一つ。
例えばゾンビパニック物のホラーゲームで臭いまで完全再現した問題作「パニックシティ」。
こいつは腐乱臭に硝煙の臭い、血液の臭いや質感も再現し、結果発禁処分となった作品だ。
そして作品以前から言われていた精神面の保護の話題が、再燃するにはぴったりの燃料だったというのは当時のワイドショーを見れば分かるだろう。あれ一色だからな。
これによって各ゲーム会社は、保護機能によるフィルターを追加していった。臭いを消す、モザイクやデフォルメをするなどして視覚、嗅覚に配慮する機能を続々と追加し、今のようになっていった。
「プレイヤーさん、保護機能はどのようにしますか。保護機能は後でも変えられます。」
目の前にパネルが出現する。どれどれ、臭いに見た目に、痛覚、味まである。
小説の主人公たちってこういうのoffにしてるよな。ドMなのかな。流石に痛いのは嫌だ。
「痛覚保護機能だけonにしてください。それ以外はそのままで。」
「了解しました。保護機能の設定は以上です。これからチュートリアルに入ります。」
ようやくチュートリアルのようだ。まぁ設定は大事だ。飛ばしていいことはあんまりない。
この長さが安心を買うと考えるのなら妥当な長さだ。
「プレイヤーさん、前に進んでください。」
「こんなもんか?」
数歩前にでる。ナチュレイの顔を見る限り…わからん。さっきから一切表情が変わってない。
「はい、大丈夫です。」
どうやら良かったようだ。それより最初の元気のよさはどこに消えたんだ。
「今からマネキンを出現させます。ジョブ一覧から職業を選択して攻撃の練習をしてください。攻撃方法が分からない場合はその都度お教えします。」
またパネルが現れた。これが俗にいうメニューボードなのだろうか。これがわからない。
とりあえずオーソドックスな戦士を選択、すると右手に刃渡り一メートル弱の剣、左手にラウンドシールドが装着された。
「へぇ、テンション上がるなぁ。」
思い切ってマネキンに振りかぶる。剣はガスッといい音を立ててマネキンを切断する。
いいね、剣にときめかない男の子はいない。これ自明の理である。
「職業を確定しますか?」
「ああ、戦士でいい。」
他を試さないのかって?こういうのはフィーリングだよ。
「わかりました、では次にスキルの説明に移らせていただきます。」
やはりあるのかスキルシステム。ツリー式かな、それともLv習得式かな。
「この世界ではレベルが上昇するにつれてポイントが取得でき、ポイントを消費することでスキルを習得できます。また、そのスキルを研鑽することによって発展技能を習得できるようになります。」
なるほど、ツリー式か。使い込むことによって分岐が出来上がっていく、やりこみ要素もしっかりとしているのか。これ時間足りるか?
「またスキルには常時自身のステータスを強化したり仲間に影響するものもあります。多様なスキルを組み合わせて戦っていきましょう。」
へぇ、攻撃だけ取るのはまずそうだな。当たり前か。
「初級スキルを使用可能にしました。マネキンにスキルを打ち込んでみてください。スキル名を口に出すことで効果を発動します。」
なるほど、音声認識ね。さて、いっちょやってみますか。
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