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ダンゾーの調査~食性~

祝!4万5千PV突破!

本当にありがとうございます!

 物凄く嫌そうな感じを出しながらダンゾーが前を歩く。今から狩の様子を見せてくれるのだろうか、糸を木から木へと結びつけ蜘蛛の巣を作り始める。いや真面目な話お前徘徊性なのか造網性なのかどっちかはっきりしてくれ。

 巣を作り終えたら端っこに行くでも枝に紛れて隠れるでもなく降りてきた。その顔には、はいはいこれで満足とでも言いたげな感情がありありと見て取れた。

 「いや、この前やってた餌おいて釣る作戦しないの?」

 前回ゴブリンを釣ろうと木の根っこを巣にくっつけようとしていたのだが、あの行為はもしかして巣を隠すためだったのか。そう思って聞いてみるがこいつ、何言ってんだみたいな態度を取ってやがる。無かったことにしたいらしい。

 「はいはい、そうですか。そういうことにしておきますよ。」

 傍から見たら虫に話しかけてる異常者にでも思われそうだな、まあここ誰もいないんだけどね。

 ダンゾーは作った巣を置いてまた前を走っていく。もしかして多数作ってそれを巡回していくのだろうか。

 いや、違った。歩いていたゴブリンにバックアタック、がら空きの首筋に飛びついた。

 何をされたのか気づいていない。当たり前だ、無警戒の状態でどうやって避けろというのだ。毒を流し込んだのか、ゴブリンは目を見開いたまま崩れ落ちる。南無。

 この狩の仕方は徘徊型の蜘蛛が行うやり方だ。抑え込んで毒牙で処理する合理的な方法。

 「なあ、それやるなら巣作った意味って何だったんだ。」

 純粋な疑問を零す。食べる量と腹回りを見るに造巣に使うエネルギー量は相当なもののはず。それなら今のように飛びついて狩りをする方がエネルギー量的にも都合がよくないか、だってまだ食べたそうにしているしな。

 ダンゾーはまだまだ思考が浅いなと言いたげに巣の方向に戻っていく。何でこっち来たんだよ。そう思って戻ってみると、巣には数匹の獲物がぶら下がっていた。

 鳥、こいつは見たことないな、多分好物なのだろう。なんせ真っ先に食いついたからな。ものの一瞬で骨すら残らず、そこにいたことを証明できるのは羽だけになるぐらいには美味しかったのだろう。羽の根本も名残惜しそうにしゃぶっている。

 「なんだっけ、鳥食べるみたいな名前してる蜘蛛いたよな。」

 確かゴライアスバードイーターだったか、別に鳥を捕食するわけでは無く主にカエルやトカゲ、昆虫類を捕食する世界最大級の蜘蛛だ。

 ダンゾーのレベルになると最早イーターじゃなくてプレデターな気もするがな。

 鳥を食べてご満足なのか上機嫌になって次の獲物に手を出す。こいつはカネナクシだ。

 カネナクシはキャタピラーが正式の手段を踏んだ個体が成虫となった姿だ。こいつの体液の臭いがどうなったかは武器が通らずまだ調べることが出来なかった。ここでお目にかかるとは思わなかったが、データの更新に役立つ、さあ存分に食べてくれ。

 一口、歯を通して液を啜るまでもなくぽいっとダンゾーは捨て去った。不味かったらしい、必死になって口元を拭おうと暴れまわっている。

 そりゃ天敵も生まれないわな。多分体液を処理しないと食えたもんじゃないんだろう。

 二日酔いのおっさんの方がまだいい顔をしていると思わせるぐらいグロッキーになりながら最後の獲物に手を伸ばす。最後は何だろう、蝶の翅を持った鳥がくっついていた。

 妖精かな、いやこんな環境にいるはずもないか。いやそもそもいるのかすら知らないが。

 さっき食べた鳥がよほど美味かったのか、すぐさま飛びついて捕食しに向かう。齧り付いていることから相当美味いのだろう、もしくは普通だけどアレの後に食べたからマシだと感じているのかもしれないがな。

 「好物は暫定的だが鳥、カネナクシは確実に捕食しない、と。」

 また一ページ図鑑が豊かになっていくな。


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