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ダンゾーの調査

 「ありがとうございます。これで森に安心して木を取りに行けるというものです。」

 討伐報告をしたカウンターで、さっきとは違うおっさんに感謝される。あの人はどこに行ったのだろうか。

 「すいません、昨日と今朝いらっしゃった方はどうなさったので。」

 「ああ、ブーラックさんは体調を崩してね。臨時で代わったんですよ。」

 あの人はブーラックさんだったのか、そういえば一切名前聞いてなかったな。

 しかし体調不良か、あの顔色の悪さは深刻さではなく身体面だったのか。

 「ほかに依頼とかってあったりしませんかね。」

 「それが……今のところは無くてですね。」

 ゴブリンだけが森の頂点捕食者だったのだろうか。それにしては数が多くないだろうか。

 基本捕食者というのは上の段階に行くにつれてその数を減らしていく。餌の確保が難しくなっていくからだ。だとしたらあの集団の作り方はおかしくないか。

 少し、いや大分疑いを持つようになったが、そこはゲーム、竜やらゾンビやら、何でも数多く出てくるのだから関係ないのかもしれない。

 最後の一線だけ残しておこう。今疑おうにも材料が無い。

 「分かりました。何か緊急の依頼がありましたらそのときは。」

 そう言ってドアへと向かっていく。薄気味悪さが頭に残っている。


 時間が空いた。コナラさんにこの村のことを聞いておこうか。

 チャットを開く。オフライン状態になっているけど、メッセージを残しておけばいつか返って来るだろう。

  

  クヌギ:すいませんコナラさん、実は聞きたいことがありまして。

  クヌギ:マヌラ村という場所に今滞在しているのですが

  クヌギ:何か強烈な違和感を感じるんです。

  クヌギ:この村のことについて何か知っていたりしませんか?


 これで良し、と。後はどうしようか。依頼関係なく森に入ってレベル上げしよか。

 そう考えている視界の端のダンゾーが映る。そうだ、こいつの生態調査をしよう。

 


 「ダンゾー、今からいつものように普通に過ごしてくれ。」

 また森にやってきた俺ら一行。ダンゾーを地面におろして生態を確認しようとする。

 俺の意図を汲んでくれたのか、ぴょこっと飛び跳ねて木へと飛び移っていく。意外と速いから見失わないようしっかりついていかないと。

 最初にあった時も木から落ちてきたことを考えるに、トリッキースパイダーは樹上性の生き物なのだろう。追っていると少しキラリとお尻辺りが光っている。あれは蜘蛛糸の反射光だろう。移動時に糸を使用しているのは現実の蜘蛛と一緒だな。

 あ、止まった。何か見つけたのだろうか、じっと動かないでいる。てかここ、さっきゴブリン倒した場所じゃないか。

 今回は糸を使ってスルスルと降りてくる。そのまま死体の上に乗っかったと思うと、その糸で巻き始める。凄い量だな、自分よりも遥かに大きい物体をグルグル巻きにできるんだから。もしかしていっぱい食べている理由って糸のカロリー消費を補うためなのか?

 一体上に引き上げ切ったところで食事に入る。蜘蛛の食事方法は口で肉を寸断するといったものではなく、消化液を流し込んで吸い込むといった、カメムシ科に似たような食べ方をする。まあ昆虫で溶解して捕食する奴って結構いるんだけどね。

 だんだんグルグル巻きにされた糸達磨が萎んでいく。内部で溶かされて吸い出されるというのは見ているだけでも鳥肌が立つな。

 あっという間に糸の中身が消え失せる。全部ぱんぱんになったダンゾーの腹の中にしまわれたのだろう。敵に回したくないな。

 するするっとまた降りてくる。これでいいとでも言いたげだな。

 「いや?まだだぞ。まだ狩りしたり何を食べないのかとか好物とか調べきれてないからな。」

 あ、嫌そうな雰囲気出している。ダメだ、ちゃんと調査しないと再現性の有無とかそういったの調べられないでしょ。


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