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雪辱戦

諸事情により作品名を変更しました。

あのタイトルが好きだったという方には申し訳ありません。

 「はい、お前で八匹目。」

 スリーマンセルで動いていたゴブリンを一網打尽にする。安定しすぎて面白味が無いのはここだけの話だ。

 槍の扱いにも大分慣れてきた、レベルも昨日のを含めて6も上がっている。ここはステータスとスキルを新しく取ってもいいんじゃないだろうか。


 ────────────────

名前:クヌギ Lv.10 職業:戦士

生命力(体力) 14 +2

精神力(魔力) 5

持久力(スタミナ) 16

筋肉(筋力) 24

技量(器用) 14

耐久力(防御) 10 +4

敏捷(速度) 8 +1

運命(幸運) 7

ステータスポイント:

スキルポイント:

スキル一覧

狩バチの極意 一閃 速突 槍術の心得 円弧

 装備

 武器:無銘槍

頭:傭兵の鉢巻き(生命力+2)

胴:傭兵の皮鎧(耐久力+3)

腕:無し

足:傭兵のブーツ(耐久力+1、敏捷+1)

装飾品:無し

────────────────


前回と同じようにステータスを振り、槍を使う際に必要なステータスを緩和、スキル威力に補正を入れる「槍術の心得」、横、縦に薙ぎ切りする「円弧」を習得した。

しかしこう取ったスキルというものは一度試してみたくなるものだ。依頼のノルマはあと二匹だが、もう少し戦っていきたいな。

槍を担ぎ直して次の獲物を探しに出る。ダンゾーが回りに索敵に、カグヤは後ろを警戒して付いてきている。ゴブリン以外が出ても狩れるよう意識しておかないとな。

 草をかき分けながら辺りを探る。樹上をダンゾーが飛び跳ねては移動していく。敵は今だ見えず、開けた場所に行って敵を釣ってきてもらった方が早いのかもしれない。

 「ダンゾー、敵を引き付けてきたりってできたりするか」

 できる、そう言っているのだろうか、手を振って離れていく。俺らは先に、武器が振れるぐらいの開けた場所に向かっていこうか。

 そう歩いていると横から飛び出してきたゴブリンが一匹、こちらに襲い掛かろうとする。

 石突で鳩尾辺りを強打する、一撃に耐えられなかったのか膝から崩れ落ちる。

 「苦しめてすまないが、持ち方的にこれが早かったんだ。」

 頭に一突き、確実に止めを刺す。あと一匹、ダンゾーが連れてくるのが先か、それともさっきみたいに飛び出してくるのが先か。

 

 「ダンゾーが何か引き連れてきたな。」

 その数三、こん棒を振って頑張って殺そうとしている。ダンゾーはと言うと柳に風、暖簾に腕押しとでも評そうか、ゆらりゆらりと躱してこっちに向かってくる。

 「ありがとよダンゾー。あとは手を出さないでくれ。」

 そう言って踏み込む。いきなり現れた俺に二匹は付いていけていない。

 「さあ初めて使うんだ、どれだけ強いかな。円弧っ」

 半円分の横薙ぎが腹を裂く。一匹目に強く刺さってしまったため、もう一匹に損傷をあまり与えられない。

 残りの一匹はというと、後ろで静観している。逃げるか戦うか、機を伺っているようだ。

 傷つけられた一匹が激高して襲い掛かって来る。ただでさえ単純だというのに、さらに繊細さを欠いてしまえば、その攻撃は児戯よりも劣る。

 「速突」

 素早い突きが胴体に吸い込まれていく。ゴブリンは激昂の表情を浮かべながら絶命していった。そこまで怒りの念を覚えることが出来るものなのか、少し恐ろしいかもな。

 さて、後ろで待機していた奴はどうするのか。観察しているとこん棒を肩に担いで前に進んでくる。その眼には闘志が伺える。

 仲間意識か、それとも戦うことに何か意味を見出したのか。

 元より逃がすつもりなど無かったが、俺も槍を構え直す。先に動いたのは俺だった。

 「悪いな、待つのは性に合わないんだ。円弧」

 斜めから振り下ろす。ゴブリンはどうやら予想していたようだが、あまり槍と戦いなれていないのか、寸でのところで回避した。

 態勢を立て直し、今度はこっちの番だと言いたげにこん棒を振り上げて走りこんでくる。

 それに対して俺は払って対応する。リーチの差を生かさねば槍である意味が無いしな。

 「そら、こいつは避けられるか。速突、速突、速突ぅ。」

 三連突き、下段から仕掛け上段、最後に中段を打ち込む。右足に刺さる、上段の構えは怯んだゴブリンが屈んだせいもあって外した。最後の攻撃も、後ろに転がって回避された。

 昨日と同じで、多分強い個体だ。でも今回は立場が逆だ。俺が優勢で向こうがピンチ。

 だが油断は禁物。昨日の奴は油断して糸に気づかなかった。俺が何かやらかす可能性がある以上、もう勝負を決したほうがいいだろう。

 「一閃、からの円弧」

 振り下ろし、足の負傷が祟ったのか、ゴブリンは回避できない。肩から腹部にかけて肉が裂ける。そこに左から右への横薙ぎ、もう奴には避ける力が残されていない。

 「チェックメイトだ。」

 さようなら、昨日の強敵。俺は今日お前を超えたよ。

 

 「十匹狩ってもレベルが上がらない、か。」

 昨日のレベルアップはもしかしたらさっきのような奴を倒したからなのかもな。強敵を狩らないとこれ以上のレベリングは難しいかもしれない。

 「ダンゾー、さっきみたいな奴ってまだまだいそうか?」

 ダンゾーはふるふると首を振っている。どうやらそこまで数多くいるわけではないようだ。……それだったら軽く武装した集団でゴブリンぐらい抑えられないものか。

 「一旦報告しに戻って別の依頼受けに行こうか。」

 前からの違和感がまた蘇ってくる。何だろう、確実にあの人たちは何かを隠している。

 他のプレイヤーがいないのも気になる。何か、巻き込まれているのか、それとも

 「今度コナラさんやフウランさんに聞いてみるか。」

 もしかしたら何か知っているかもしれないし。

 「さあみんな、帰ろうか。」

 出口へと進んでいく。まただ、また顔に蜘蛛の巣が張り付いた、そんな感じがした。


いつもご愛読いただきありがとうございます。

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