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過剰な捕食

祝!3万5千pv突破!


いつもご愛読、評価、ブックマーク、感想、どうもありがとうございます。


 ずるずる、何か啜っている音をBGMにして名前を考える。まずこいつの分析をしっかりしないといい名前は付けられない。

 まず見て目から、俺は初めハエトリグモであると仮定していた。威嚇の仕方に移動方法、体格を加味した結果だ。

 次に特性、これは俺の想像を裏切る形となった。蜘蛛は全種が基本蜘蛛糸を出すことが出来るとされている。しかしその糸の使い方は異なるのだ。

 蜘蛛は糸の使い方で二分される。造網性、徘徊性の二つである。

 ハエトリグモはどちらかと言うと徘徊型に分類される。糸は主に移動手段に使用し、獲物を捕らえるときは自身の跳躍力で襲い掛かり、捕食する。

 だがこいつはさっき網で罠を作り出しただけでなく、獲物を捕縛する為にも使用した。

 このことから二種類のモチーフが存在するのではないかと予想する。ハエトリグモと造網性の何かを組み合わせた蜘蛛が、トリッキースパイダーの正体なのでは無いだろうか。

 「まあそれが分かったところで感はあるんだがな。」

 俺のネーミングセンスの無さは自分が一番自覚している。

 そうアンニュイになりかけている俺の横でまだ体液を啜っている。

 「お前食いしん坊だな。腹なんて鬼蜘蛛みたいにパンパンになってるぞ。」

 もしかしたらモチーフ鬼蜘蛛も入っているのかもな。

 でも小鬼退治しているんだよな、同士討ちかな。

 鬼…罠…、鬼取りはかっこよくないな、鬼平はなんか不味そうな雰囲気がする、主に著作権的に。

 纏まらない思考を続けているうちに食べ終わったのか、ゆっくりとこちらに向かって歩いてくる。さっきまでの俊敏さは見る影もない。

 「お前…まだ狩るんだぞ。そんな腹で動けるのか?」

 いや、無理だな。そう思った矢先に何かがやって来る気配を感じる。覗けばまたゴブリンであった。その数三、一人でやるならまだ現実的な数か。

 やはり馬鹿なのだろう。小鬼らは回りを確認せずにまた罠に向かって突っ走っていく。それともここらには奴らの捕食者がいないのだろうか。いや、だったら群れを作る意味がほぼ無いか。

 今度は二匹引っ掛かった、必死にもがいているが糸は全然解けない。それどころか動けば動くほど粘着し、絡みついていく。

 まずはまだ何が起きたか分かっていない一匹から間引く。不意打ち判定なのか、さっきから簡単に切り伏せられる。それともそこまで強くないのか。

 あとは絡めとられた哀れな獲物をさっと〆る。神経締め?いいえただの血抜きです。

 「後二匹」



 ドロップ品は粗暴なこん棒のみでうまみはない。肉は俺は食べられないだろうし、カグヤにもあまり食わせたくはないな。

 じゅうじゅる、溶かして吸い出す音がまた聞こえる。

 「お前…まだ食べるのか。」

 糸を出すのにそんなにカロリー消費をしたのか、それとも食いだめするタイプの生物なのか、分からないけどそれ、腹破裂しないか?

 

 もう腹がさっきの三倍ほどまで膨れ上がっている。逆によくあの量食べてその程度で済んでるな。

 満足そうにゴブリンを食い切った蜘蛛は流石に満足したのか、ようやく死体から離れてまるで楊枝を咥えるかのように器用に足で牙を磨いている。

 実はお前元人間だったりしないか?

 「しっかしよく食うな、食いしん坊みたいな名前にしてやろうか?」

 まあレパートリー無いし思いつかない場合の方が多そうだし止めといた方がいいんだけどね。

 蜘蛛はというと、まるで失礼なと怒ったような素振りを見せ、やれやれと頭胸部と振って前足を外に開いている。微妙にうざったい動きなのはなんなのか。

 「いやその体格でそんだけ食べれば流石に食いしん坊と言わざるを得ないだろ。」

 あ、今度はふうとため息ついたような素振りを見せやがった。やっぱこいつ言葉とジェスチャーを理解してやがるな。


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