幕間:レベル2のニュービー
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「団長、彼の調査書はどうだった。」
発展が村程度で終わっているクラン本拠地で、私は彼の合否を聞く。
「…お前、肩入れしただろう。」
困ったような顔をして団長が調査書から目を離す。確かに肩入れは少しした、でも
「すでに彼は原型を作っていた。私はそれを整える手伝いをしただけに過ぎない。」
「それでも十分肩入れしているだろうに、全く。」
ため息をついている。確かにまずいとは思っている、でもここで確保しないとただでさえ数少ない虫好きの同志が
「今回は不漁だったから別に問題にはならないだろう。だがもし優良資料ばかりだったらどうするつもりだった。ここまでの内容で落としたら他の団員に聞かれるしな。」
今回の入団試験の結果は不漁であった。生態と言ってもふわっとしたものだけで再現性が書かれていない、これだけならまだマシというもので、ただ写真を貼っただけのものまであった。
「優良が少ないことを知った上での行動、それにやる気や才能があれば初心者でも取り入れるという実績になる。」
嘘も方便、別にそこまでは考えていない。
「嘘だな。お前は基本虫が行動理念だ。」
バレた、流石団長。
「今回は目をつぶってやる。確かにいきなりキャタピラーの依頼を受けるのは生粋の虫好きか自身を主人公だと考えている変人か、それともマゾだけだからな。」
結構酷いことを言う、自分だって毛玉を目にしたら嬉々とした顔で突っ込んでいくのに。
「合格ってことでいいの。」
「かまわん。それともし外野が何か言ってきても気にするなと言っていたってその新米に伝えておけ。俺らは歓迎するとな。」
よかった、同志確保。やっぱ団長は話が分かる人だ。さっきの酷い言い回しは不問にしよう。
「それで、その新米のレベルは今いくつなんだ。ここに来れるのか。」
「レベル2」
「はっ?」
団長が素っ頓狂な声をあげる、無理もない6日も最初の村に留まっている人なんてクヌギさんぐらいだろうから。
「ユニーク絡みで最初の村から出ることが出来なかった。」
多分嘘言っても今の団長には通じない。嘘みたいな本当をぶつけるしかない。
「キャタピラーのか」
あ、失敗かも。食いついちゃった。
「詳しくは言えない、クヌギさんだけじゃなくてNPCとの約束だから。それに私は条件を知らない。」
実際にそうだ、繭になることは知っているが何故繭になるかは知らない。嘘は言ってない。
「……そうか。それなら仕方ない。」
どっちについてそう言ったのか、レベルかユニークか、それとも両方か。
「もう伝えてきていいぞ。申請が来たら許可するから。」
その言葉を最後まで聞かずにチャットを送る。
コナラ:クヌギさん、フィールドワークへの入団許可が下りました。
コナラ:クラン一覧から送っておいてください。
「…もうフレンド登録済ませていたのか。」
団長が苦笑している。
「まるで蜘蛛だな」
何を言っているんだろうかこの人は
「団長、蜘蛛を昆虫だと思っているのなら小学生からやり直して。」
「そんぐらい知ってるし分類だと虫だろうが。」
活動報告で、文字数に関する質問をしております。
できれば答えていただけると幸いです。




