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手帳の1ページ目~キャタピラー編の図鑑

設定回です。

締めはもうちょと待っててね。

 これは入団試験に応募した内容では無く、主人公が独自に書いている図鑑である。

 その一端をお見せしましょう。


・キャタピラー

 昆虫族の魔物で北の大地を除くごく一般的に分布している。

 極東の一部地域では生糸を得るために家畜化されている。

 この生物の特徴的な性質は腐敗臭のする体液である。

 恐らく主食としている草のえぐみ、苦み成分を蓄え続け、獲得毒のように使っているものと推測される。

 死亡時に体を破裂させ体液をまき散らすこの生態は恐らく、別個体が捕食される可能性を最小限に抑え、種の絶滅を回避する為だと考えられる。

 正統な手順で成長すればカネナクシと呼ばれる農業害虫になる。

 幼虫の段階で霜降り花を摂食した個体のみが特殊な成長を遂げる。またその成長後の姿は摂食時の霜降り花の成長具合で異なる。

 神経部位は胸部中心よりやや左上。貫通するほど刺すのは逆効果で破裂するのみである。

 天敵は通常状態なら存在しない。体液を完全に抜き出した時のみ捕食される。

 体長30cm~50cm オスとメスを見分ける方法は成虫になるまで存在しない。


・カネナクシ

 キャタピラーの成虫の名称。由来は農作物の実、花、葉、茎をすべて食べ尽くしてしまうため、農家から金(財産)を無くしてしまうといったことから。

 食性は雑食で、基本は草食性だが餌に困ると腐肉や極稀に自身の幼虫に手を付ける。

 もしかしたらキャタピラーの体液は成虫から身を守るために獲得したのかもしれない。

 生息域は幼虫の頃と変わらず、育った場所に居つく。そのため畑で見かけたら率先して駆除に回らないといけない。

 外骨格は硬く、初期装備では傷つけることすらできない。また非常に軽いので、翅を重ねて鎧とする地域もあるという。

 体長50cm~60cm 

 雌雄の区別方法として、オスはメスより前肢が発達していることが挙げられる。

 これは餌場やメスの取り合いを行う際に有利であるからと考えられる。

 ヤンバルテナガコガネのようなものだろうか。


・サクヤ姫

 元ネタはコノハナサクヤ姫。未熟な霜降り花を摂食することによって繭を作ったキャタピラーが成長する姿。その姿は妖艶で見る者すべてを魅了する。

 極東では彼女は天女、女神などと呼び重宝し、権力者に献上される。

 “羽化”は朝日が繭に差し込んでから始まる。彼女が生まれてくるタイミングはそれ以外に縛りを受けない。

 寿命は朝露のように儚く、たった一日でこの世を去る。その時に自らの亡骸を残さないことも天女と呼ばれる所以なのかもしれない。

 食性は不明。蜉蝣やヤママユガのように食事をとらない可能性もある。


・コノハナ姫

 名前の元ネタはコノハナサクヤ姫だが、見た目の元ネタは神話上彼女の姉に当たるイワナガ姫である。その姿はサクヤ姫と比較して異形である。

 サクヤ姫は麗人であり、ほとんど人であるが、コノハナ姫は昆虫の要素を多く持って誕生する。

 眼は複眼の集合体である。しかし片目は正常な人間と同じ単眼である為何故複眼を残すのかは不明。

 次に手足の総数が6本である。人間の手や足に当たる部分に差異はあまりないのだが、残りの二本は昆虫のように節があり、そして先がかぎ爪状になっている。

 この足は人体の胸部ではなく腹部、背中付近から生えている。

 また触角も有する。しかし鼻も持っている為その役割に疑問が残る。

 最後にサクヤ姫に無い最大の特徴は翅を有するということである。うっすらと向こう側が見える程度の透過度であり、元ネタはアポロヤママユだと想定される。

 人間部分に気持ち悪い塩梅に昆虫要素が付け加えられた運営のいたずらで生まれた子。

 何故アポロヤママユを題材にした魔物にしなかったのか、運営のみぞ知る。

 体色は白く、末端に行くにつれて茶色が混ざり始める。また、体毛、特に髪は根本が黒く先に行くにつれて薄くなり、先端は真っ白になっている。

 元となったヤママユガは口が退化しており摂食できないが、どうやらコノハナ姫は取ることが出来る。食性は雑食で、なんでもよく食べる。





 ………盤外情報を提供……

 その実態は、本来ならば完全なる異形、妖のような出で立ちで現れるはずだった。

 しかし主人公への歪んだ愛情が姿を変えようと作用し、変形していった。

 それでも異質さが抜けない理由は羽化に掛かった時間である。

 もしこれがあと一週間でも長ければ彼女はサクヤ姫足りえたかもしれない。しかし今回掛かった時間はあまりにも短く、変化しきるには足りなかったのだ。

 性質は冷酷で残忍。主人公以外の生物はただの肉塊としか捉えていない。

 また、主人公との認識のズレもある。

 主人公は、自分への感情は親への愛だと考えているのに対し、彼女の持っている愛情は番に対するものである。

 また、他の女性に攻撃的では無くなった理由はカミサマに仲を認めてもらったと勘違いしているからである。もしこのままいけばいつか破綻が生じる。


 コノハナ姫の形態は3種類あり、完全な怪物、今回のような半人半虫、そして完全な人である。

 形態によって理解力(知能)も異なり、順に赤子、童子、大人となっている。

 

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