閑話 ナニカの回想
祝!総合PV2000突破!感謝感激雨霰ってやつです。
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─いつものように草を食む。
自分たちにとって都合よく生えた青苦い草を食べ続ける。良い葉は食べられない。食べようとしても跳ね飛ばされるだけだ。
育ち過ぎた苦く硬いだけの葉を胃にため込んでいく。
─今日も今日とて草を食む。
端っこの方で大きくなった草を食む。時折人間がやってきてはあいつらを殺して回っていく。まったくいい気味だ。これなら私にも良い葉が回ってくるだろう。
それでも硬くて不味い葉を胃に詰め込んでいく。
─いつまでもいつまでも草を食む。
真ん中の葉を食うと人間がやってきて殺される。見ていて学習した。日当たりのよいあそこに向かえば美味しい草にありつける。だけど行けば殺される。
結局私は隅っこで、不味くて青い草を食む。
─今日ばかりかと草を食む。
人間に持ち上げられた。私の命もここまでか。精一杯暴れてみる。だけど人間は離さない。
そのまま私は連れていかれた。
だけど人間は私を殺さない。それどころか美味しい美味しい葉っぱをくれた。
柔らかくて甘い葉っぱをくれた。お腹を撫でられる。気持ちいいという感情が初めて湧き上がってくる。こらえられず糸を吐き出す。人間はそれを拾って満足している。
─忙しなく草を食む。
人間は優しい。あいつらと違って草を分けてくれる。食べ過ぎてもう食べられない、そう思っていたのにとても美味しそうな草をくれた。たまらず私は喰らいつく。
ああ、なんて甘美で、そして深い味わいなのだろうか。これを食べられたのは、世界に私だけなのではないだろうか。あの陽だまりにある柔らかい葉にも、さっき与えてくれた葉さえも、これには及ばない。
体に変化が訪れる。途端に糸を吐きたくなる。ああ、蛹化の時が来たのだろう。
木の幹に止まる。すると人間が引き離してくる。
ああ、人間も私が好きなのか。私をここまで可愛がってくれるのはそうなのか。
私はこの人にくっつくことにした。
待 っ て て ね
次回投稿早ければ今夜、遅ければ明日になるかもです……。