表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

20/186

閑話 ナニカの回想

祝!総合PV2000突破!感謝感激雨霰ってやつです。


ご愛読、評価、ブックマークいつも感謝です!

感想いつも待ってます。

 ─いつものように草を食む。

 自分たちにとって都合よく生えた青苦い草を食べ続ける。良い葉は食べられない。食べようとしても跳ね飛ばされるだけだ。

 育ち過ぎた苦く硬いだけの葉を胃にため込んでいく。


 ─今日も今日とて草を食む。

 端っこの方で大きくなった草を食む。時折人間がやってきてはあいつらを殺して回っていく。まったくいい気味だ。これなら私にも良い葉が回ってくるだろう。

 それでも硬くて不味い葉を胃に詰め込んでいく。


 ─いつまでもいつまでも草を食む。

 真ん中の葉を食うと人間がやってきて殺される。見ていて学習した。日当たりのよいあそこに向かえば美味しい草にありつける。だけど行けば殺される。

 結局私は隅っこで、不味くて青い草を食む。


 ─今日ばかりかと草を食む。

 人間に持ち上げられた。私の命もここまでか。精一杯暴れてみる。だけど人間は離さない。

 そのまま私は連れていかれた。

 だけど人間は私を殺さない。それどころか美味しい美味しい葉っぱをくれた。

 柔らかくて甘い葉っぱをくれた。お腹を撫でられる。気持ちいいという感情が初めて湧き上がってくる。こらえられず糸を吐き出す。人間はそれを拾って満足している。

 

 ─忙しなく草を食む。

 人間は優しい。あいつらと違って草を分けてくれる。食べ過ぎてもう食べられない、そう思っていたのにとても美味しそうな草をくれた。たまらず私は喰らいつく。

 ああ、なんて甘美で、そして深い味わいなのだろうか。これを食べられたのは、世界に私だけなのではないだろうか。あの陽だまりにある柔らかい葉にも、さっき与えてくれた葉さえも、これには及ばない。

 体に変化が訪れる。途端に糸を吐きたくなる。ああ、蛹化の時が来たのだろう。

 木の幹に止まる。すると人間が引き離してくる。

 ああ、人間も私が好きなのか。私をここまで可愛がってくれるのはそうなのか。

 私はこの人にくっつくことにした。


 待  っ  て  て  ね


次回投稿早ければ今夜、遅ければ明日になるかもです……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ