レベルより先にお金の心配をしたほうがいいかもしれない
「どっせいっ!」
「グガッ!?」
眉間に振り下ろした一撃、遠心力を乗せた穂先の威力は凄まじく、オークは白目を剥いてぐたりと倒れ込む。
クエスト名:豚男の怪、依頼者は虫取り少年。いつものように森に入ったら、豚の頭を身に着けた怪人がいたという。大人はこんな所にオークがいるはずがない、だれかの悪戯だろうと信じてくれない。本当にオークだったら村が危ないし、虫も取りに行けない、だから見てきて欲しいという依頼だ。
「しかしコイツの皮膚硬いな、イノシシみたいだ」
じいちゃん家に行くと偶に出る牡丹鍋。一度その解体を手伝ったことがあるが、やっぱり皮の感じが厚みがあって硬かった。
証拠品として首を切ろうにも、持っているナイフじゃ刃の通りが悪すぎる。槍で切ろうにも取り回しが悪いし、かといってコイツを持っていこうにも重すぎる。
「木に縛り付けておいて、こっちに呼び出すか」
ダンゾー、糸で絡めとっておいてくれ。
「これでステータスポイントが4、あと最低でも6か」
このオーク討伐クエストだが、村長から追加報酬が得られる。一つは金、まああんまり貰えないのでこれを選ぶ人は少ない。もう一つはスキルポイント、まあ有りだという選択肢。そして最後がステータスポイント+1だ。そう、このクエストは実質+2ポイントなのだ。攻略wikiでもこれがメインと言わんばかりに取り上げられている。
そしてこれが今のステータスだ
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名前:クヌギ Lv.54 職業:戦士
生命力(体力) 23
精神力(魔力) 5 +10
持久力 40
筋肉(筋力) 54 +2
技量(器用) 40 +30
耐久力(防御) 10 +120
敏捷(速度) 12 +30
運命(幸運) 7 +3
状態:呪い(絡新婦の祝福)
ステータスポイント:
スキルポイント:0
スキル一覧
狩バチの極意 天衣無縫の構え(槍術の心得、鋼の意志) 五月雨(速突) 風車(円弧) 偃月 一閃 鬼神照覧(演舞) 致命 戦士の咆哮
装備
武器:斑大蜘蛛の槍 属性:毒(麻痺、睡眠)
頭:劣等翼竜の耳飾り 耐久+15 精神力+10 運命+3
胴:劣等飛竜のコート 耐久+45 敏捷+15
腕:劣等飛竜のレザーグローブ 耐久+30 技量+30
足:劣等飛竜のブーツ 耐久+30 敏捷+15 軽業
セット効果:耐火 防寒 隠密(小)
装飾品:カグヤの糸人形 (効果なし) 戦士のタリスマン(筋力+3%)
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ステポは全部生命力に振った。後また散財することとなったが、スキル本を購入して物理ダメージにバフをかける『戦士の咆哮』を習得した。因みにこれで金がほぼ無くなった。
「後はレベルを3あげて……ついでに金策もやらなきゃ」
「もぐもぐ」
最近カグヤの食欲も旺盛になってきて、売りに出せるアイテムが少ないんだよな。肉類はダンゾーも一緒になってぺろりと平らげちゃうから、売れるのは皮と骨系のドロップ品だけだし。
現に今も倒したランナーリザードをもぐもぐと食んでいる。皮だけは器用に残してくれるからまあいいんだけどね?でもランナーリザードの素材で一番高く売れるのは肉なんだけどね……。
「カグヤとダンゾーの食欲を満たしながらも売れる素材を確保する……どうするよ」
『それこそドラゴンでも狩らないといけませんねえ~』
「無理だろ」
いやでも…劣等飛竜ことレッサーワイバーン君の、それも弱めの個体ならそろそろ行けるか?あいつは翼膜、爪、牙、皮、肉どれも余すところのない、さながらマグロみたいな良い奴だ。
「俺一人ならともかくカグヤもダンゾーもいる。飛んでいるときにロベリアの幻覚で地に叩き落すか?」
『ええお任せください!何て言ったって久しぶりの出番ですから!』
多分その出番速攻終わるぞ。