俺の服
イメージは戦国無双の雑賀孫市で、マントの代わりに外套。色は黒を基調とした感じ。
「うーんこれなんてどうかしらぁ~」
「えーそれだったらこっちじゃなーい?」
筋肉に囲まれ剥かれ、何度多種多様な防具を着せられただろうか。15回からもう数えていないや、早く帰ってうちの子達と触れ合いたい。
「この赤い髪に切れ長お目目には絶対こっちよぉ~!」
「いーえ、絶対にこっちの方が似・合・う・の・よ!」
どうでもいいから、不審者じゃなければ良いから……!早くこの地獄みたいな時間を終わらせてくれ。
そもそもどうしてこうなったんだろうか。回想始め
「それでぇ?今日はどんなご用?」
「ええと…防具を探してまして…」
そうそう入ってすぐにまずは今日の要件を伝えたんだよな、新しい防具が欲しいって。
「うーん…でもそれ大斑蜘蛛の装備よねぇ?まだ装備更新には早いんじゃないかしら」
実際この装備は優秀で、ステルスできるし軽いのに防御性能もそこらへんの下手な装備より良い。でもねえ…。
「前この装備を着てたら衛兵に人攫いと勘違いされましてね…。」
「あらぁそれは大変ねぇ…良いでしょう、貴方に合った素敵なお洋服、選んであ・げ・る♡」
「お、お願いします……。」
やっぱキャラ濃すぎだってここの店の人たち……前駅前にあったラーメン屋の濃厚豚骨ラーメンのスープより濃いって。
以上回想終了。
俺のミスはとても簡単なことだ、あそこで自分が選ぶという選択を取らなかったことだ。あれが最初で最大の失敗、基礎の間違った家は倒壊するように俺の安寧の時間は崩れ去ったのだ。
「んもぉう貴方達!まずはお客様の用途を聞きなさぁい!」
だが意外な場所から助け船がやってきた、パンさんだ。
「カッコいい服を着せるのはわかるわぁ…で・もその人がどんなプレイを望んでいるか考えて選ぶのが私達の仕事でしょ?」
おお、凄くマトモだ。そんだけマトモなのに何でそうも肌露出の高い服を着てるのだろうか。
「はいまずクヌギさんの装備を見て、なにが分かるかしら?」
「槍に軽装…」
「所属クランは?」
「フィールドワーク…」
「そういう人が望むような服を持ってらっしゃい!」
「「イエス・マム!」」
……あの早くしてもらってもいいですかね?あ、無理ですか。
「へえ~娘さんの服も探してるの?」
「ええ、できれば動きやすいものとゆったりしたものが欲しいんですよ。」
あ、これとかどうなのとあっちからこっちから先ほどよりかは戦闘向けだったり探索向けの防具が持ってこられる中で、パンさんと話し込んでいる。
「あんまりセンスが良くないので、どういったのがよさそうとかありますかね。」
「ん~……写真とかあるかしら」
「一応スクリーンショットが…あこれです」
あそのロングコートカッコいい、しかも隠密性能高いの良いな。
「なるほどぉ…その服、私が選んでも構わないかしら?」
「ええ、逆に助かります。」
へえ、皮だけど鉱石系列の装備並みに硬いのかぁ。それ一式でいいかもしれないな。
「因みにおいくらぐらいに…」
「これ一式だと5万ゲルくらいかしら」
急いで財布の中身を確認する。この前のミッションで得たお金にクエスト達成金、それ以外の素材を売却した分のお金で今現在12万ゲルが入っていた。
「高いですね」
「この皮加工が難しいのよぉ~」
なるほど、素材の難易度で跳ね上がってるのか。
「ではそれください」
「着ていくかしら?」
ええすぐにでもこのファッションから抜け出したいので。